腹痛や便通異常が続く「過敏性腸症候群(IBS)」受診の目安と具体的な治療法【医師解説】
過敏性腸症候群(IBS)という疾患名を聞いたことがあるでしょうか? これは多くの人々が悩む消化器系の機能性疾患で、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。そこで、横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック 横浜駅院の鈴木謙一先生に、 IBSの治療法について話を聞きました。
監修医師:
鈴木 謙一(横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック 横浜駅院)
埼玉医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学病院や昭和大学横浜市北部病院消化器センターなどで経験を積み、2024年に横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック横浜駅院を開院、院長となる。日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医、日本消化管学会認定胃腸科専門医、日本内科学会認定認定内科医、日本消化器内視鏡学会認定上部消化管内視鏡スクリーニング認定医・大腸内視鏡スクリーニング認定医、日本ヘリコバクター学会認定H.pylori(ピロリ菌)感染症認定医。
編集部
症状がどのくらい続いたら受診すべきでしょうか?
鈴木先生
症状が数週間以上続く場合や、日常生活に支障をきたす場合は、早めの受診をお勧めします。IBSは市販の整腸剤や下剤では改善することが少ないという特徴があるため、医療機関に相談することが大切です。血便や体重減少などの症状がある場合は、IBSではなく、ほかの病気の可能性もありますので、この場合も速やかに医療機関を受診してください。
編集部
受診すると、どのような検査がおこなわれますか?
鈴木先生
問診や身体診察に加えて、血液検査や便検査、内視鏡検査(大腸カメラ)、腹部のレントゲンやCT検査などがおこなわれることがあります。これらの検査で大腸がんなどのほかの疾患を除外し、IBSの診断を確定します。また、胃痛や早期満腹感などで慢性的に悩まされている場合「機能性ディスペプシア」という病気を合併していることも考えられるため、胃カメラも検討していきます。
編集部
では、IBSの治療についても教えてください。
鈴木先生
早期で軽症の場合、2~3日で自然に治ることもありますが、中等度以上であれば自然に治ることはないため、食事療法や生活習慣の改善、薬物療法などを中心とした治療をしていきます。また、ストレス管理や心理的サポートを薬物療法に併用していくことが重要になります。
編集部
食事療法では具体的に何をおこないますか?
鈴木先生
下痢型のIBSの人に対しては、「低FODMAP(※)食」が有効であるといわれています。また、特定の炭水化物の摂取を制限する食事法が効果的とされており、油っぽいものや刺激物の摂取を控えることも推奨されています。※FODMAPとは、小腸で吸収されにくく、大腸で発酵しやすい糖質。F:発酵性の(Fermentable)、O:オリゴ糖(Oligosaccharides)、D:二糖類(Disaccharides)、M:単糖類(Monosaccharide)、[And]P:糖アルコール(Polyols)の頭文字をとったもの
編集部
薬物療法ではどのような薬が使用されますか?
鈴木先生
IBSが下痢型か便秘型か、混合型かによって異なります。症状に応じて漢方薬、下痢止めや便秘薬、鎮痙薬、抗うつ薬などが処方されることがあります。医師と相談の上、適切な薬を選択することが重要です。
※この記事はメディカルドックにて<女性に多い腹痛「過敏性腸症候群」の症状をご存じですか? ストレスが原因とも>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
