「HWiNFO」はハードウェア情報の取得および監視が可能なWindowsアプリで、CPU・GPU・メモリ・ストレージ・ケースファンなどPCに含まれるほとんどのハードウェアの情報を取得することができます。そんなHWiNFOはNASAの研究でも活用されています。

HWiNFO - Free System Information, Monitoring and Diagnostics

https://www.hwinfo.com/

HWiNFOの実行例が以下。HWiNFOはCPU・GPU・メモリ・ストレージ・ケースファンなどの情報にアクセス可能で、1つのアプリだけで各種パーツの情報を一度に閲覧することができます。



各パーツの温度やクロック周波数などをリアルタイムでチェックできます。例えば、以下の例ではCPUクロック周波数・CPUコア温度・GPUクロック周波数・GPUコア温度を500ミリ秒ごとに取得してグラフ化しています。HWiNFOでは他にもCPU消費電力・ファン回転数・メモリ使用量など数多くのデータをリアルタイムで取得可能。個人用途なら無料で使えるため、自作PCユーザーなどから人気を集めています。



そんなHWiNFOの公式サイトにはNASAでも使われていることがアピールされています。サイトには「高放射線環境におけるコンピューターのシステム障害監視に使用されている」と記されており、NASAの公式文書へのリンクも掲載されています。



NASAのHWiNFOを用いた実験報告の例が以下。「Advanced Micro Devices(AMD)製プロセッサーの放射線テスト結果」と題した資料で、2013年6月に公開されました。

NEPP ETW 2013: Advanced Micro Devices (AMD) Processor:Radiation Test Results - 1140_LaBel_ AMD Processor Radiation Test Results.pdf

(PDFファイル)https://nepp.nasa.gov/docs/etw/2013/Wed_June12_2013/1140_LaBel_%20AMD%20Processor%20Radiation%20Test%20Results.pdf



実験は「アメリカ以外の半導体製造工場で生産された半導体について、放射線に対する反応を確かめる」という目的で実施されました。この目的に沿った半導体として、GlobalFoundriesのドイツ工場で生産された「AMD A4-3300」が選択されています。



実験の様子はこんな感じ。この状態で放射線を照射して、照射中のCPUやGPUの状態をHWiNFOを用いて監視しました。



実験の結果、放射線によって引き起こされたと考えられる興味深い結果が得られました。以下のグラフは横軸が放射線の線量、縦軸が温度を示しており、赤線がHWiNFOで記録した温度、青線が赤外線サーモグラフィーで記録した温度です。赤外線サーモグラフィーでは温度の低下が確認されたのに対して、HWiNFOでは温度が上昇したことが記録されています。NASAはこの矛盾した結果について「プロセッサーの温度を測定するダイオードが放射線によって劣化したことが原因である」と推測しています。



なお、NASAによるHWiNFOを用いた実験の結果は論文にもなっています。

Hardness Assurance for Total Dose and Dose Rate Testing of a State-of-the-Art Off-Shore 32 nm CMOS Processor | IEEE Conference Publication | IEEE Xplore

https://ieeexplore.ieee.org/document/6658198