罰金2000円は安すぎ 東京・渋谷ごみのポイ捨て、6月からその場で徴収
東京・渋谷区は6月から、ごみのポイ捨てをした人から罰則として過料2000円を徴収する。「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」の一部改正が4月に施行されたことによるものだ。
渋谷区によると、コロナ禍以降、渋谷の街を訪れる人が増加し、渋谷駅や原宿駅周辺の路上でごみのポイ捨てが深刻化していたという。罰則として罰金を徴収する条例改正案が昨年12月に可決・成立した。
区の指導員などが巡回し、ポイ捨てをした人を発見次第、過料2000円を徴収する。ポイ捨てが見つかった後に、ごみを拾ってごみ箱へ捨て直しても、支払いを免れることはできない。厳しく対応する理由について、区の担当者は「膨大な人が来る渋谷で実効性を確保するため」と話す。
シンガポールはポイ捨てに罰金刑を課して街の美化に成功したが、渋谷区もその事例をイメージしているのだろう。ただ、世界中から観光客が訪れる渋谷だけに、いかに早く「ポイ捨て厳禁」を周知させることができるかが課題かもしれない。シンガポールのように世界中に知れ渡れば勝ちである。
改正された条例のポイントはもう1つある。ごみ箱を増やすべく、飲食店などの事業者にごみ箱設置を義務付けている。設置していないと5万円の過料が徴収される(一部対象区域)。ただ、テロ対策を名目に駅や公共施設からごみ箱が撤去された経緯があり、これらのごみ箱が復活しないまま事業者に負担を押し付けることになれば理解は得られない。
実は、今回の条例改正前から渋谷区では、公共の場所などに吸い殻や空き缶などごみ散乱の原因となる物をみだりに捨てることを条例で禁止していた。違反すれば2万円以下の罰金だったが、これは刑事罰であり、捜査や裁判を経る必要があった。時間も手間もかかるので、ほとんど実効性がなかった。そこで、条例改正によって刑事罰ではなく、過料という行政罰に転換し、指導員が現行犯で徴収できるようにしたわけだ。
大分では実質注意のみ
TBS NEWS DIGによれば、大分・由布市ではすでに、ごみポイ捨てに罰金2000円を科しているが、同市では注意されて捨て直せば罰金は取らないという。実際に運用開始から約1年たっているが、徴収は0件だそうだ。
ただ、由布市の場合は、過料の存在があることで町の人が注意しやすくなったということもあるので、少なくとも住民意識の向上には効果がありそうだ。
SNSには、「日本に旅行に来る外国人にとって2000円は何の抑止力にならないでしょう」「やらないよりやった方がマシですが、安すぎるので抑制になるかどうかは別だと思います」といった投稿が目立った。
外務省海外安全ホームページによれば、シンガポールのポイ捨てに対する罰金は、初回2000ドル(約23万円)、2回目4000ドル(約46万円)、3回目以降は1万ドル(約115万円)と、違反回数に応じて罰金額が跳ね上がる仕組みだ。
そう考えれば、渋谷区の罰金は安すぎるのかもしれないが、ひとまず成果の程を見守りたい。
文/横山渉 内外タイムス
