殺人事件があった「事故物件」だと知らされずに破格の値段で契約…2年後に事実を知った32歳会社員の絶望

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事故物件」は決して少なくない

「殺人事件があった家に2年間も住んでいたなんて、今思うとゾッとします。そういえば、あの頃は時々、ワケもなく肩が重くなることがありました」

東京都内に暮らす会社員の田中美咲さん(32歳・仮名)がそう振り返る。「駅から徒歩数分でこの家賃は破格だ」と契約した賃貸物件だったが、ある日の仕事帰り、近所に住む年配の男性から「あの部屋はどうだ? 幽霊とか出るのか?」と声をかけられ、4年前に殺人事件があった現場だと初めて知ったという。「もしも事前に知らされていたら、絶対にあの家には住んでいなかったです」と後悔の表情を見せた―。

高齢化が進む日本では、一人暮らしの高齢者などが自宅で息を引き取り、発見が遅れる孤立死が年間2万人以上にのぼるとされる。殺人ではなくても、過去にその場所で人が亡くなった「事故物件」は、決して少なくないのだ。

そもそも事故物件とは、前の居住者の遺体が発見されるなど、いわゆる「心理的瑕疵」にあたる事案が発生した物件を指す。

告知義務の基準が明確化、それでも…

「老衰による自然死、自宅での転倒といった不慮の事故による死亡は、原則として告知義務が生じません。一方、自殺や他殺、もしくは遺体の発見が遅れ、長期間放置されて消臭措置などの特殊清掃が必要になった場合は告知の対象です。

国土交通省のガイドラインにより、賃貸物件であれば事案発生ないし発覚から3年以内、売買物件については期間にかかわらず告知しなければならないというのが基本的な考え方です」(ベリーベスト法律事務所の齊田貴士氏)

ガイドラインが策定されたのは5年前。告知義務の基準ができたことで、トラブルの数は減った可能性はあるが、注意は必要だ。

事故物件公示サイト「大島てる」を運営する、大島てる氏は次のように語る。

事故物件に住んで、霊が見えた、怪奇現象に悩まされたと主張する人は跡を絶ちません。実際、同じ部屋で自殺が繰り返されるといった、にわかには信じがたい物件があるのも事実です。事故物件とわかったうえで住むのは構いませんが、知らないまま住むのは避けたい。不動産業者が積極的に教えてくれるとは限らないので、入居者自身が何かしらの対策を講じることが必要です」

入居する前に必ず質問する

では、どうすればいいのか。まず挙げられるのが、入居者側から積極的に質問することだ。大島氏が続ける。

「不動産業者の多くは、告知に関して消極的な立場をとります。積極的に事故の有無を調査して開示するよりも、『聞かれなかったから答えなかった』『知らなかったことにしておく』という姿勢も散見されます。また、賃貸物件の場合、告知義務期間の3年を少しでも超えたら一切告知しないと開き直る業者も出てきています。

しかし、ガイドラインには『入居希望者に問われた場合は、3年経過後でも答える必要がある』という旨が書かれている。必ず『この物件で過去に何かありましたか』と質問することが大事です」

告知義務については、「一度誰かが住めば事故物件ではなくなる」という俗説がかつてあったという。いまだにそう信じている業者もおり、悪意なく告知されないまま契約に至るケースは少なくない。万が一、入居後に事故物件であることが発覚して業者を訴える場合、自分から質問したかどうかが明暗を分ける場合もあるので、物件探しの際には必ず確認しよう。

【後編を読む】事故物件」を隠して売りつける…不動産業界で行われる「悪質過ぎる行為」

「週刊現代」2026年5月25日号より

【つづきを読む】「事故物件」を隠して売りつける…不動産業界で行われる「悪質過ぎる行為」