阿佐ヶ谷デモの様子

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憲法改正に前向きな姿勢を見せる高市早苗政権。一方で、パレスチナやイランへの攻撃を繰り返すイスラエルに対して「NO」を突きつけるデモ活動も全国各地で盛り上がりを見せている。

2026年5月15日18時30分から20時にかけて、市民団体が阿佐ヶ谷駅(東京都杉並区)の南口広場で反戦や憲法改正反対を訴えるデモを開催し、1500人(主催者発表)が参加した。

フリースピーチで訴え...「美術は平和じゃないとできません」

この日は、一般的なデモ同様、「戦争反対」「人権守れ」「税金は暮らしに使え」といったコールに合わせ、参加者はペンライトやプラカードを振っていた。

また、誰でも1分間ステージに立ち、マイクを持って自身の思いを口にできる「フリースピーチ」を実施。介護施設で働いている男性は「ケアの対極にあるのが戦争」「人を殺すこともなく、殺されることもなく生きられる、そんなケアの社会を目指して絶対に戦争起こしてはいけません」と話す。

都内の美大に通う男子学生は「美術は平和じゃないとできません。自由に絵を描いたり、自由に主張したり、自由に文章を書いたりとか、そういうことは全部、戦争になったらできなくなります」と主張するなど、多種多様な「戦争反対」というメッセージが送られた。

原材料高騰で疲弊する人たち...「何もしないよりは声を上げたい」

参加者に直接話を聞いた。40代男性は「今の高市政権のやり方を見ていると、このままファシズムに進んでいくような危うさを感じます。そこに抗いたいなという気持ちで参加しました」という。

50代女性は「10数年前に安保条約が議論されていた時にデモに参加したことがあります。かなりの人が集まったのですが、メディアでほとんど報じられませんでした。そのことがとても残念で、しばらくデモには参加していなかったのですが、憲法改正や武器輸出の規制緩和など、戦争関連の話題ばかりを口にする高市さんのやり方に居ても立っても居られなかったんです」と話し、戦火が広がりそうなことに危機感を持っている人は多いようだ。

また、30代男性は「父親が建設業を営んでいるのですが、中東情勢の悪化で原材料が高騰していて、このままでは建設資材が手に入らず、今後の見通しが立たないと話していました。仮に今、高市首相がイランと交渉して原材料価格が落ち着いても、もう手遅れになる可能性が高いと。それでも、何もしないよりは声を上げたいなと思いました」と切実な思いを語った。

女性議員が「『ごっこ遊び』と言ったのが悲しい」

現政権への違和感を口にする人が目立つ中、門寛子(ひろ子)衆議院議員の「発言」を理由に足を運んだ人は多い。門氏は4月14日に放送されたインターネット番組内で、国会前で行われたデモについて「ごっこ遊びにしか見えない」とコメントした。加えて、杉並区は門氏を国政に送り出した東京8区でもある。そのため、門氏への不満を口にする人も。

70代男性は「声を上げている市民に対して国会議員があんなことを言うのはいけない」、40代男性は「決して『ごっこ遊び』なんかじゃないぞ、ということを発信したくて足を運びました」。ほかにも、30代女性は「もともと女性には参政権がありませんでした。女性が参政権を持てるようになった要因の一つとして、多くの市民が声を上げたことがあると思います。にもかかわらず、女性議員が声を上げる人たちを『ごっこ遊び』と言ったことはとても悲しいです」と口にしていた。

また、怒りや不満をぶつけるだけではない、参加の仕方もある。30代女性は「昨年、カウンターデモに参加したことがあるのですが、その時はすごく怖い雰囲気でした。ただ、ペンライトを振ったりして気軽に参加できますし、『同じ考えを持っている人がこんなにいるんだ』という安心感や勇気を得られます」と話す。別の30代女性も「『遊んでいるだけじゃん』と思われそうですが、私も以前はそう思っていました。ただ、歴史を学んで、遊びのように思えても声を上げることの必要性を学びました」としつつ、「音に合わせてペンライトを振るのは楽しいですね」とも話す。

ほかにも、杉並在住の30代男性は「子どもが小さいので、なかなか都心のほうでやっているデモには行けません。ここは地元なのでありがたいです」、50代男性は「東京の西のほうに住んでいるので、ここなら参加しやすいかなと思って参加しました」などと近場での参加しやすいことを話していた。

杉並区のHPによると、同区は1954年、米国の水爆実験で、日本のマグロ漁船第五福竜丸など日本漁船が被爆した後、住民たちがいち早く水爆反対の活動に取り組み、日本の原水爆禁止署名運動の発祥の地としても知られている。

(望月悠木)