《僕のどこがよかったの?》女優・佳那晃子さんの知られざる素顔は「料理好きのゲーマー」 夫・源高志氏が語る馴れ初めと、海への散骨

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「13年2ヶ月、ほんとによく頑張ってくれたよ。(中略)意識がない状態から瞬きや足を動かして意思表示できるぐらいになりましたから」

【写真を見る】若かりし頃の佳那晃子さん。夫の源さんは涙を浮かべながら思い出を語る

 映画『魔界転生』(1981)や『鬼龍院花子の生涯』(1982)などで見せた、妖艶な演技をファンに刻み込んだ大女優・佳那晃子さんは、13年以上に及ぶ壮絶な闘病の末、2026年3月21日に70歳でこの世を去った。

 最期の様子を冒頭のように振り返るのは夫の源高志氏(78)。記事後編では妻・佳那晃子の"素顔"について語ってくれた。【前後編の後編。前編から読む】

 * * * ブラウン管やスクリーンの中で、数々の男たちを虜にし、"危うい女"を演じきった佳那さん。しかし、私生活の彼女は、世間のイメージとはまったく異なる素顔を持っていたという。源氏が語る。

「女性を前面に出したような役柄が多かったんですけど、本人は全然違うんですよ。中身は男ですね(笑)。ブランド物とかにも全く興味がなくて、旅行先でも地元の人が行く雑多な露店街とかが好きでした。ただ、仕事で女優モードになった時は全然変わるんですけどね」(以下同)

 人気放送作家として多忙を極めていた源氏と結婚した後、静岡県伊東市の宇佐美へと移住した2人。「海の見える田舎で暮らすのはどう?」という源氏の提案に、佳那さんは「賛成!」と即答したという。

「あいつはアウトドア派なんですよ。伊東に移住してからは釣りにハマっちゃってね。船釣りはお金がかかるから磯釣りをしていて、一緒に行くと僕はすぐ飽きちゃうんだけど、彼女はずっとやってました。ルアーも自分で作っていたし、小アジがいっぱい釣れたから、それを開いて干物にしたりしてね」

 都内の繁華街で食事をすることは好まず、自然と触れ合うような生活を愛した。さらに、女優のイメージからは想像もつかない意外な趣味もあった。

「すごいゲーマーでしたね。テレビゲームをしょっちゅうやってましたし、撮影の合間にはずっとゲームボーイをやってました。あとは絵を描くのが好きで、倒れる直前まで宮本輝さんの『森のなかの海』作品にインスパイアされた絵を描いていました」

 家庭では、朝昼晩と手早く料理を作ってくれる妻でもあった。

「お互い書斎があったから、ご飯ができると呼んでくれるんですが、『あなたご飯よ〜』って可愛く言う感じじゃなくて、『ご飯!』だけでしたね」(源氏)

ゲームボーイをしていた彼女が前に座って

 そんな2人の出会いは、あるバラエティの特番だったという。

「プロデューサーが女優を3人連れてきて、そのうちの1人が彼女でした。僕は映画とか全然見ないから、彼女のことを知らなかったんですよ。僕はその日、遅れて行ってね。それが出会いです。

 その後、番組がレギュラー化して、いつも控え室で僕は脚本を書いていたんです。そしたら、ゲームボーイをやっている彼女が僕の前に座って『何やってんの』って。『脚本書いてるんだよ』って答えたら、それから毎回僕の前に来るようになったんです。最初は彼女からのアプローチだったんですよ」

 源氏が女優としての姿を知らなかったことが、かえって功を奏したのかもしれないと懐古する。

「女優さんということで周りから気を遣われますよね。僕は知らなかったから全然気を遣わなくて、それが結構嬉しかったんじゃないですかね」

 夫婦となってからも、そして彼女が倒れて言葉を失ってからも、源氏は「僕のどこがよかったの?」と問いかけ続けたという。

「元気な時にも聞いたけど教えてもらえなかったし、倒れた後に聞いても目をパチパチしてましたね」

 その答えは最後まで明かされることはなかった。

遺骨は「自宅の目の前の海に散骨します」

 佳那さんは両親も弟もすでに他界しており、身寄りは源氏ただ一人。今後はどのように彼女を見送るのか。

「お別れ会をやろうという話はあるんですが、亡くなったばかりですし、具体的な話は進んでいません。遺骨は、自宅の目の前の海に散骨します。漁船で沖に出てね。ファンクラブの会長と2人で行きます。

 僕は57歳の時に洗礼を受けたクリスチャンなので、残った遺骨は一緒に熱海のキリスト教共同墓地に入れられたらなと考えているんです」

 長きにわたる闘病を支え、「私も女房のおかげで生かされていました。看取ることができてよかった」と語る源氏。最後に、佳那さんのファンへの感謝を明かした。

「すごい反響で、悲しい気持ちはあるけど、女優ですから世間の人に知られているのを再認識できて、それはやっぱり嬉しいですよね。最後は安らかに、苦しまずに息を引き取りましたよ。死に顔は綺麗だったと伝えたい。亡くなった後も目を閉じないで、最後まで女優さんでした」

 スクリーンで見せる妖艶な姿と素顔の無邪気さ。すべてをひっくるめて愛された女優・佳那晃子さんは、夫の深い愛情に包まれながら、愛した海へと静かに還っていくのだろう。

(了。前編から読む)