横浜中華の地元名店4選|星川・阪東橋・鶴見・神奈川区の四天王
横浜中華の名店を取り上げてきた当シリーズもいよいよ最終回になりました。これまで、中華街や野毛を紹介してきましたが、いずれも住所は「横浜市中区」、いわゆる、「横浜都心部」のお店でした。今回は少し足を伸ばし、中区以外のお店を4軒ご紹介したいと思います。いわば「地元の名店四天王」。ここにも強豪が揃っており、さすが横浜と唸るばかりです。どうぞご期待ください。
完成まで1時間、星川「伊勢屋」の超絶カツ丼
前半パートは保土ヶ谷区と南区の名店を取り上げます。最初に『伊勢屋(保土ヶ谷区)』をご紹介しますが、その前に少しアイスブレイクを。町中華店で出す「カツ丼」や「オムライス」に外れはない、そんな話はよく耳にします。中華料理の命、ラーメンスープが効いているからかも知れません。
中でも東京・西荻窪にあった中華食堂「坂本屋」の「かつ丼(同店のメニュー表記)」は全国的に有名で、「カツ丼の最高峰」とまで言われる一品でした。残念ながら店を畳んで、はや2年。中華料理店で食べるカツ丼に飢えていたところ、ひょんなことから知ったのが、「伊勢屋」です。しかも噂では「つくるのに1時間かかるカツ丼」として有名で、これは何としても食べなければなりません。

伊勢屋
早速、とある土曜日に「伊勢屋」に向かいました。横浜駅から相鉄本線に乗り、特急で1駅。「星川駅」前にお店を構えています。当日は朝ごはん抜きで出陣。11時30分開店ですが、少し早めにうかがい11時ごろ到着しました。先客は3人。開店と同時にカウンターに通され、早速「カツ丼」を注文しました。「1時間かかりますが大丈夫ですか?」と聞かれましたが、もちろんOK。ビールと餃子を合わせながらゆっくりじっくり待つことにしました。

伊勢屋(餃子)
厨房の様子を観察すると、大将が豚肉の塊をやおら冷蔵庫から取り出し、なんと厚さ5センチほどに分厚くカット。これを、じっくり時間をかけて低温調理するのでしょう、凄いこだわりです。入ってくる客の多くはカツ丼を注文しますが、「2時間待ち」になっており、皆さんさすがに断念。代わって、チャーハンや焼きそばの注文が多かったようです。驚いたのは、カツ丼以外の料理の提供は結構早いこと。とんかつを揚げてる間に他の料理を作ってる、って感じでしょうか(笑)。そうこうしているうちに、タイマーが鳴りました。注文から55分。とんかつが揚がったようです。卵や玉ねぎを入れカツ丼を仕上げ、丁度1時間で着丼。すごい。

伊勢屋(カツ丼)
5センチのとんかつ。見て下さい、この分厚さ。弾力はありますが、めちゃくちゃ柔らかく、サクっと歯が通ります。こんなカツ丼は初めてです。

伊勢屋(カツ丼、断面図)
いやー、旨いなんてもんじゃないかつ丼。凄い経験でした。たぶん東京のど真ん中にトンカツ専門店を出しても大繁盛かと思いますが、あの大将はこれからも星川で中華鍋を振るのでしょう。それは素敵な人生と思います。
ドラマにも使われる昭和空間、名物「酔来丼」の魅力
続いての地元の名店は、阪東橋にある『酔来軒(すいらいけん、横浜市南区)』です。店名が”酔い”ですね(笑)。店頭にはお店の名物なのでしょう、「酔来丼」と大きな看板が出ています。店内は昭和の町中華そのまま。常連さんらしき人が、いい具合に出来上がっています(笑)。

酔来軒
負けじとビールをいただきます。お通しはもやしのナムルっぽい料理。こんなのがいいんですよね〜。ビール好きは、簡単なものでもお通しがあれば一生そのお店を忘れません。

酔来軒(ビールとお通し)
同店でいただいたのは、名物「酔来丼」です。チャーシュー、メンマ、ネギ、もやし、とほぼラーメンと同じ具材がご飯の上に載っており、目玉焼きがどどんと真ん中に鎮座しています。ラーメンスープを濃くしたような特性タレで仕上げられており、なんともB級感あふれる味わいがお店の雰囲気とマッチして食欲をそそります。

酔来軒(酔来丼)
この雰囲気を求めて、同店ではドラマなどの撮影もよく行われるようです。店内にも多くの俳優さんの写真がありました。昭和感満載の「酔来軒」で、皆さまも”酔い”一日をお過ごしください。
ビール発祥の地・鶴見で飲む、国道駅前「青龍」の幸福
では、後半パート、「鶴見区」と「神奈川区」の名店紹介に移りましょう。その前に、もう一つ雑談を。「横浜」といえば皆さま何を思い浮かべますか?港があるおしゃれな街、異国情緒あふれる街、中には横浜DeNAベイスターズ、横浜F・マリノス、という方もいらっしゃるかも知れません。色んな顔がある横浜ですが、ビール好きの筆者にとって、「横浜はビールの街」です。
なにせ、1869年(明治2年)、日本で最初のビール醸造所「ジャパン・ヨコハマ・ブルワリー」が開設されたのが横浜でした。同じころ他にも2つのビール醸造所が出来ていたことから横浜は日本のビール産業発祥の地とも言われています。そして今、「横浜のビール」と言えばキリンビール。1888年(明治21年)に横浜山手でそのブランドが誕生し、京急本線「生麦駅」近くには今年で操業100周年を迎えるビール工場も構えています。
同工場からほど近いJR鶴見線「国道駅」に、地元の名店『青龍(横浜市鶴見区)』があります。

青龍
のれんをくぐり、早速ビールを注文しました。100年超の時を経て受け継がれるビールを、その地元で飲む幸せを噛みしめます。「酔来軒」同様、簡単なつまみ(メンマでした)があるのも嬉しいですね。一生このお店を忘れないでしょう(笑)。

青龍(ビールとお通し)
続いて餃子を注文。焼き上がりを待つあいだ聞こえてきたのが、常連さんと女将さんの会話です。まるで漫才のような盛り上がりで、この会話を聞くだけでも訪れる価値ありです。そんな雰囲気の中で食べる手作り餃子は美味しいに決まっています。

青龍(餃子)
最後は同店の一番人気、「五目チャーハン」で締めました。まずはルックスが美しい。結構ボリューミーで、具だくさんでしっとり系。そこに、黄色いたくあんがほどよいアクセントになっていて、見た目にも箸休めとしても、とてもいい存在感を放っていました。

青龍(五目チャーハン)
甘くて熱い餡がたまらない、東神奈川「南京亭」のサンマー麺
「横浜と言えば、、」。「ビール」に続いては、「サンマーメン」を取り上げます。横浜を代表するご当地グルメで、中華街界隈には有名店も多くありますが、地元の名店といえば『南京亭(横浜市神奈川区)』でしょう。JR京浜東北線「東神奈川駅」にほど近い、国道1号沿いに店を構えています。
久しぶりに食べたサンマー麺は、餡がめちゃくちゃ甘い。しかも、ものすごく熱い(笑)。具材は、もやし、ニラ、椎茸、白菜、くわい、豚肉などでしょうか。客のほとんどはサンマー麺をハフハフしながら食べていました。

南京亭(サンマー麺)
サンマーメンを代表する名店、「南京亭」。ぜひ訪問されてください。
4週にわたり、横浜中華をご紹介しました。中華街の推しメニューから野毛へ、そして地元の名店四天王へ。記事を書きながら、横浜中華の底力を感じた1か月です。GWも終わり、これから夏に向かいます。スタミナ満点の中華料理を食べて、元気にお過ごしください。
文・写真/十朱伸吾
おとなの週末Web専属ライター。全国のご当地グルメを求めて40年余。2013年には、“47都道府県食べ歩き”を達成した。訪れた飲食店は1万軒をゆうに超える。旅と食とお酒をこよなく愛するオプチミスト。特にビールには一家言あり。競馬と写真とゴルフも趣味。週1の自転車ツーリングとサウナでダイエットにも成功した。好きな言葉は「発想力は移動時間に比例する」。
