「日本の焼き餃子発祥」説も。ご当地グルメ通が飲ん兵衛の聖地・野毛でおすすめする町中華3軒

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首都圏広しといえども、独特の存在感を放つ盛り場といえば、やはり横浜・野毛ではないでしょうか。夜のとばりが下りるころ、大岡川の周辺に明かりがともり始め、どこか妖しげな空気が漂いはじめます。すぐ近くにJRA日本中央競馬会のWINS(場外馬券売り場)があり、競馬好きのおじ様たちが町を練り歩くのも、そんな空気感に一役買っているのかもしれません。そんな野毛エリアには町中華も数多く、店構えからして、まさに妖しい雰囲気と絶対においしいオーラを放っている店ばかりです。今週はその界隈から、筆者が勝手に「野毛の町中華御三家」と呼ぶお店をご紹介したいと思います。

野毛の雄「第一亭」--チートにパタン、不思議な名前の看板料理たち

トップバッターはやはり『第一亭(横浜市中区)』でしょう。なぜ「やはり」なのか。野毛に相応しい不思議な料理が数多くあるからです。チートにパタン。なんだそれ?なものばかり。

第一亭

同店を初めて知ったのは、有名なライフスタイル雑誌の2016年10月15日号でした。特集はずばり「町の中華」。人気グルメ番組、「町中華でやろうぜ(BS-TBS)」の放送開始が2019年ですから、ずいぶん早くから「町中華」に注目していたものです。しかも普段は、「アート」や「ファッション」などを売りにしていた雑誌のイメージだったので、中央にどどんと「チャーハン」の写真がある表紙を見た時は、度肝を抜かれました。以来、同誌に掲載されていたお店(200軒くらい?)を訪ね歩く巡礼の旅が始まりました。かねてより、町に溶け込んだ中華料理店は大好きでしたが、「町中華」として意識的に伺うようになったのは、そのころからだったと思います。あれから10年経ったのですね、いやー、懐かしいです。

同誌で大きく取り上げていたのが「第一亭」でした。その週末には、早速電車に乗って、JR京浜東北線「桜木町」駅を目指したことを思い出します。以来、10回ほど訪問したと思いますが、いつ訪れても活気にあふれ、もちろんおいしさも変わらない名店中の名店です。

最初に「ホルモン炒め」からご紹介します。まさに「ぷりっぷり」のホルモンが、きれいなあめ色に調理されています。ピリ辛で濃厚なタレが、見た目そのままの弾力のあるホルモンにしっかり絡み、ビールが進みます。

第一亭(ホルモン炒め)

続いていただいたのは「チートのしょうが炒め」です。チートとは、豚のガツ(胃袋)のこと。モツ焼き屋などで、「ガツ刺し」があれば必ず注文する筆者にとっては、ガツを生の千切り生姜で炒めたら美味しいに決まっています。

第一亭(チートのしょうが炒め)

締めは、これも名物料理の「パタン」。ニンニク醤油だれで和えた極細麺の冷たい麺料理で、シンプルながらパンチのある味わいが、わしわし食べるのにぴったりの一皿です。

第一亭(パタン)

パタンは、実はメニューに載っていない裏メニューです。ですが、勇気を出して「パタン!」と注文してみてください。優しいスタッフが笑顔で応えてくれますよ。

野毛で60年愛され続ける理由--老舗「萬福」が守り続ける味

続いてご紹介するのは、3年ほど前に移転オープンした『萬福(横浜市中区)』です。かつては、まさに野毛らしい昭和感満載の店舗でしたが、新店舗は見違えるほどきれいになりました。それでも、味は昔のママ。創業から約60年の長きにわたり、野毛で愛されてきた変わらぬ味をお楽しみいただけます。

萬福

いただいたのは、鳥の唐揚げに甘酸っぱいネギやもやしをかけたもの(メニュー名失念)。油淋鶏(ユーリンチー)にも似た味わいで、前菜にはぴったりです。

萬福(鳥の唐揚げ風)

古い店舗のころにいただいた、赤い縁の「叉焼(やきぶた)」もご紹介します。前回の横浜中華街「一楽」でご説明したように、「赤い縁のチャーシュー」愛が止まりません。都内ではあまり見かけなくなりましたが、さすが横浜にはその伝統が残されています。

萬福(叉焼)

最後に、これも旧店舗の時に食べた「柳麺(ラーメン)」をご紹介します。美しいルックスを見ているだけで幸せな気分になります。しかもチャーシューが赤い(笑)。

萬福(ラーメン)

皆さまも野毛60年の味を求めて、「萬福」を目指してはいかがでしょうか。

野毛の歴史とともに歩む「萬里」--充実の小皿メニューも嬉しいポイント

最後にご紹介するのは、『萬里(横浜市中区)』です。1949年(昭和24年)創業。横浜で最初に餃子を出したお店と言われており、一説では「日本の焼き餃子発祥の店」とも言われています。戦後の闇市から発展し、野毛の歴史とともに歩んできた、地域住民に長く愛される名店です。

萬里

伝統の餃子を食べようとメニューを見ると、「小皿(ハーフ)メニュー」が目に入りました。その数、約20品。これは注目です。しかも、ここにも赤い縁の「焼豚」があるではないですか!。食べないと一生後悔します(笑)。同じく愛してやまない「麻婆豆腐」と一緒に注文しました。

「焼豚」は弾力があって肉肉しく、「麻婆豆腐」はそれほど辛くないスタンダードなタイプで、歴史に培われた安定感のある料理でした。

萬里(焼豚ハーフ)

萬里(麻婆豆腐ハーフ)

締めにいただいたのは、「五目そば」。思えば一時期、五目そばばかり食べていたことがあります。ラーメンって、なぜか特定のメニューに夢中になる時期があります。味噌ラーメンにハマることもあれば、タンメンばかり食べてしまうこともあって、気がつくとそれしか食べていない、なんてこともあります。

萬里(五目そば)

同店は「豚のモツのうま煮」などのホルモン料理も有名ですので、ぜひ「第一亭」と食べ比べてみてください。

今日は野毛の中華御三家をご紹介しました。冒頭で、野毛界隈にはWINSがあると申し上げましたが、「第一亭」の写真にチラリ勝馬投票券(馬券)が映っています。はい、野毛に行く時は、たいてい競馬もセットです。御三家のカウンターで食事に舌鼓を打ちながら、レースの結果を予想する。これほど楽しい時間はありません。競馬新聞片手に赤ペンを握るおじさん。そんな筆者も、野毛の妖しい雰囲気にひと役買っているのかもしれません。

文・写真/十朱伸吾

おとなの週末Web専属ライター。全国のご当地グルメを求めて40年余。2013年には、“47都道府県食べ歩き”を達成した。訪れた飲食店は1万軒をゆうに超える。旅と食とお酒をこよなく愛するオプチミスト。特にビールには一家言あり。競馬と写真とゴルフも趣味。週1の自転車ツーリングとサウナでダイエットにも成功した。好きな言葉は「発想力は移動時間に比例する」。

【画像】野毛で愛される町中華3軒の渋旨メニューは見た目からもう旨い!(12枚)