「30キロの荷物を背負ってヘトヘト、泣きながら後悔」それでも6年続けた…上司との関係性に悩んでいたOLが“ソロキャンプ”に目覚めた理由〉から続く

 ソロキャンプや一人旅の動画が人気の女性YouTuber・miiさん。雪やゲリラ豪雨にもめげずに楽しむ彼女だが、中には女性ひとりと知って、しつこくつきまとう男性もいたという。旅先で危険な目に遭った経験、それでもソロキャンプを続ける理由を聞いた。

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miiさん ©石川啓次/文藝春秋

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「虫は苦手」なのにテントにゴキブリが…

――miiさんは、もともと日焼けや虫が苦手だったそうですね。今では月に2回キャンプに行くそうですが、克服したのでしょうか?

miiさん(以下、mii) 克服したわけではありませんが、自然に囲まれたキャンプ場ではどちらも避けられないので。

 日焼けは、季節関係なく海水浴用の強い日焼け止めを体中に塗りまくってしのいでいます。その上から、登山メーカーのラッシュガードも着て。キャンプを始めたばかりの頃は、さらに日傘も差していたんですけど、今はそこまではしなくなりましたね。だから、汗で日焼け止めが落ちたところから焼けていっちゃって。でも、それも「しょうがないか」と思えるようになりました。

 また、今でもテントに虫が入ってきたら嫌ですけど、ソロキャンプで対処できるのは自分だけだから、手で追い払えるようになりました。ただ、間違いなくテントにゴキブリが入ってくるのが見えたのに、どこにいったか分からなかったときは、ヒヤヒヤしながら夜を明かしましたね(笑)。

 ただ、虫は「しょうがない」で済むんですけど……。

テントの周りから聞こえた「荒い息遣い」の正体は…

――何か、しょうがないでは済まされないものがあった?

mii はい。前に一度、イノシシが現れたことがあって。そこはもともと「夜はイノシシが出る」と言われているキャンプ場だったんですよ。食べ物の匂いにつられて来ちゃうことがあるから、夕飯後にゴミの回収があるんです。でも、私の不注意で、その時間に歯磨きしていてゴミが捨てられなくて。

 仕方なくゴミを抱えたままテントの中に入ったんですけど。夜中、外から音がしたんですよね。私のテントの周りに、他の人はいなかったはずなのに。

――ということは、つまり……。

mii 布一枚隔てて、イノシシがいるんです。テントの周りを、ぐるぐる回って様子を見ている。何かのきっかけで、突進してくるかもしれないと思うとさすがに怖くて。震える手で必死にスマホで「イノシシ いなくなる方法」って検索して、出てきたイノシシが嫌いな音を出してみたりしました。でもそしたら、逆に興奮させてしまって。すぐそこでフーフー言っているのを聞きながら、ただただ耐えていました。

 幸い、1時間くらいで諦めてどこかに行ってしまったのですが、あのときは生きた心地がしなかったです。

キャンプ場にクマが出たというニュースが…

――それからも、同じように野生動物と遭遇することはあったのでしょうか。

mii もうあんな思いはしたくないので、そもそも出る危険があるところは避けるようになりました。例えば最近も、気になるキャンプ場を調べていたら、釣り人がクマに襲われたニュースが出てきて、行き先を変更しました。

――自然が相手だと、動物に限らず予測できないことが多そうです。

mii ほんとにそうなんです。都市部の天気予報を見て大丈夫だと思って行っても、山の天気はまるで違うことも少なくなくて。

 例えば、家を出たときはなんともなかったのにキャンプ場は強風に見舞われていたり、寝ている間に降雪して、朝起きたら雪でテントの一部が埋没してしまっていたり。雨の日は、テント内に水が入ってきて、道具や荷物が濡れてしまったり。

――天気に左右されることが多いのですね。でも、予測が立てづらい。

mii はい。だから想定外のトラブルも多くて、キャンプ後はいつもヘトヘトです。でも、自宅に帰ってきて湯船につかっていると、「雨風を凌げる屋根があって、さらにゆっくりお風呂にはいれる家があるって、なんてありがたいことなんだろう」ってじーんとしちゃうんですよ。

――予測の立てづらさと撮影が絡むと、また違うトラブルもありそうです。

mii あります。キャンプ中にライブ配信をすることがあるのですが、電波がほぼ入らないことがあって。電波がないから、中止の連絡もできない。なぜか電話はつながったから、パニックになりながら家族にかけたのですが、解決策はみつからずに途方にくれました……。楽しみに待ってくれていた視聴者の方々にも申し訳なかったです。

男性につきまとわれるというトラブルも

――誰も助けてくれる人がいない中でトラブルに見舞われると、パニックになりますよね。

mii ほんとうに。それに、怖いのは天候や動物だけじゃなくて。屋久島で一人旅をしていた時、男性に話しかけられて。それが、「どこに泊まってるの?」「一緒に飲みに行こうよ」って、だんだん距離の詰め方がおかしくなってきて。逃げるように近くのスーパーに駆け込んだんですけど、そこにもついてきて、正直とても怖かったです。

 そのトラブルの様子もYouTubeにあげているのですが、視聴者さんから「嫌な時は、無理に笑わない方がいい」とアドバイスをいただいて。それからは、初対面の人にはむやみにニコニコしない。チラチラ見られたら真顔で見返す、を徹底しています。

「女性のソロキャンプ」だからこそ気をつけていること

――その後、同じようなトラブルにあったことは?

mii 毎週のようにソロキャンプや一人旅をしているので、ゼロではないですが、ほとんどありません。以前もらったアドバイスを実行しているから、というのも理由のひとつだと思いますが、私がカメラを持って歩いているからなのかも、と思っています。実際、しつこく声をかけられても「撮影していますよ」と言うと、すんなり身を引いてくれることが多いんですよ。

 あとは、万が一のときのために常に後ろを警戒するとか、常に防犯スプレーを持ち歩くとか。ソロキャンプのときは、ファミリーやカップルで来ている方の近くにテントを張るようにしています。

「スキンケア」と「筋トレ」は不可欠

――防犯以外に、キャンプで欠かせないルーティンはありますか。

mii まず、スキンケアですかね。元々肌があまり強くなくて、皮膚科の薬を飲んでいるんです。その薬の影響で肌がすごく乾燥するので、通常のスキンケアの後にワセリンを朝晩しっかり塗っているんです。

 キャンプのために始めた習慣ではないのですが、結果的にアウトドアでも肌を守ってくれているのか、あんまり肌荒れしないんですよ。

 ただ、風速10メートルの日に簡易テントで寝た時は、隙間風が顔に直撃して赤くなってしまいました……。

――体力面ではどうですか。徒歩キャンプだと、かなり荷物が重くなると(前編で)話されていましたが。

mii 週1回ぐらい、仕事の昼休みなどの隙間時間にジムに通ってます。あとは、おっしゃるとおり徒歩キャンプは荷物が重いですし、たくさん歩くから、それ自体が筋トレ代わりになるんですよ(笑)。

 ただ、荷物が重い分姿勢が悪くなりがちなので、できるだけ胸をはって歩くことを意識したり、骨盤ベルトをつけたりもしています。それでも、すぐ肩がまるまっちゃう。重い荷物を背負っていても、良い姿勢を保つ方法を知っている方がいらっしゃったら、ぜひ教えていただきたいです。

日焼けもする、体力も使う…それでもソロキャンプを続ける理由

――ここまで日焼け対策や体力面の話を伺いましたが、ソロキャンプを始めて、自分自身が変わったと感じることはありますか。

mii 風向きや地形を自然と読めるようになりました。「後ろに高い場所があるから、あっちは風が来にくいな」とか。風向きの関係で、焚き火の煙が目に染みて辛い思いをしたことがあるから、「次はこの向きでやろう」って嫌でも学ぶんですよね。

 また、キャンプって準備も撤収も全部一人でやるから、段取りも良くなりました。親からは、「あんなに片付けができなかったのに、成長したね」って驚かれています。実家の私の部屋は、服や物でいつも溢れかえっていたので……(笑)。

――スキル面だけでなく、気持ちの面での変化もありましたか。

mii 「昔はよく泣いていたのに、泣かなくなったよね」「行動力がついたよね」と言われます。たしかに、個室居酒屋で自己啓発本を読みながら泣いたり、初ソロキャンプでは「こんなしんどいなんて知らなかった」って後悔して泣いたりしていましたからね。

――今は、どうして泣かなくなったのでしょう?

mii ソロキャンプを通じて「私にはどんな環境でも生きる力がある」と思えるようになったからかもしれません。テントを張れる、自分で焚き火を起こせる、天気や虫に翻弄されながらも夜を越せるって。つまり、自分に自信がついたのかな。

 ソロキャンプを始めたのは、人間関係で悩んだことがきっかけでした。今の私なら、もし当時と同じ状況になったとしても、「でも、私ならなんとかなる」と思えそうです。

「一人でもいいんだ」と伝えたい

――その「なんとかなる」という感覚は、動画を通じて視聴者にも届いていると思いますか。

mii 届いていたらいいなと思います。コメントで「一人でいてもいいんだって思えました」っていう言葉をもらうことがあるんです。キャンプとか旅の楽しさが伝わるのももちろん嬉しいんですけど、それ以上に、一人でいることを肯定できたらいいな、と。

 人は一人では生きていけないから、一人でいるのはよくないと思っている人って、すごく多いと思うんですよ。でも、私みたいに、本当は一人が好きな人も少なからずいるはず。私自身がソロキャンプや一人旅を通じて「一人でもいいんだ」「一人でも楽しいことはたくさんある」と救われてきたから、それが動画でも伝わっていたら嬉しいですね。

――最後に、今後挑戦してみたいことを聞かせてください。

mii まず、車中泊です。最近ハイエースを買ったんです。もともとペーパードライバーだったんですけど、イノシシの一件もあって、テントだけだとどうしても怖い場面があるので思い切って運転を始めました。サービスエリアでちょっと一泊するとか、改造するとか。そんな企画もやってみたいですね。

 あとは、サブチャンネルの「miiの休み時間」で撮っているボロ宿巡りの動画があるんですけど、もっといろんな場所を回りたいです。全国の味のある宿を、電車や高速バスで巡っていけたらいいなって思ってます。

(仲 奈々)