米比合同演習 自衛隊参加を抑止力の向上に
「海洋強国」を掲げる中国は、東・南シナ海などで挑発行為を繰り返している。
もはや米国に頼っているだけでは、海洋の安全を守れない。
中国の一方的な現状変更の試みを阻止するには、日本が進んで多国間の協力に参加して抑止力を高めることが重要だ。自衛隊は今回の軍事演習への本格参加を契機とし、各国の軍と連携を深めて対処能力の向上を図る必要がある。
米国とフィリピン両軍が主催する軍事演習が、南シナ海などで先月20日から8日まで行われている。豪州やカナダなども加わっているこの演習に、今回初めて自衛隊の実力部隊が参加した。
陸海空の3自衛隊がそろって、離島への上陸阻止を念頭に置いた共同訓練などに加わった。陸自はまた、地対艦誘導弾の実弾射撃を行った。参加した自衛隊員数は1400人に上るという。
実戦的な訓練を通じ、制服組同士で互いの装備品の運用状況や、指揮命令系統を確認することができれば、即応能力は高まろう。
米国は、この地域に展開していた戦力をイラン攻撃に割いている。このため「力の空白」が生じかねない状況となっている。
日本は、アジアの安定に米軍の抑止力が不可欠であることを米国に説き続けると同時に、多国間の協力を深めることが大切だ。
中国は近年、南シナ海で人工島を建設し、軍事拠点化を進めてきた。中比が領有権を争うフィリピン近海では一昨年、中国空軍機が比当局の航空機に対し、フレア(火炎)を発射して威嚇した。
フィリピンと台湾を結ぶバシー海峡は、原油などの海上交通の要路だ。台湾有事などでこの海峡が封鎖されるような事態となれば、日本への影響は計り知れない。
自衛隊は昨年もこの演習に参加したが、部隊の動員は限定的だった。日比で昨秋、隊員のビザ取得や武器弾薬を持ち込む手続きを簡略化する協定が発効したことで、本格的な参加が可能になった。
一方、小泉防衛相はフィリピンを訪問して防衛相会談に臨み、海自の中古の護衛艦を輸出する方向で協議することを確認した。
日本政府は先月、防衛装備移転3原則とその運用指針を改定し、殺傷能力のある武器の輸出に道を開いた。中古の護衛艦の輸出はその第1弾となる可能性がある。
フィリピン海軍の能力を強化すれば、身勝手な活動を続ける中国を牽制(けんせい)することにつながる。日比間で同じ装備品を運用し、相互に対処能力を高めたい。
