専業主婦ですが、パートで「年120万円」稼ぎたいです。夫に「年金ほぼ増えなくて損」と言われますが、どういうことですか?“支払う保険料・将来の年金額”を比較
第3号被保険者の仕組み
会社員や公務員の配偶者である専業主婦(主夫)は、一定の条件を満たせば「第3号被保険者」として国民年金へ加入できます。この場合、自分で国民年金保険料を納める必要はなく、将来の老齢基礎年金を受け取るための加入期間としてカウントされます。
ただし、収入や勤務条件によっては、第3号被保険者に該当しなくなり、社会保険に加入する必要が出てきます。
年収120万円で働くと年金保険料はどうなる?
社会保険の扶養については「年収130万円の壁」が一般に認知されており、年収120万円という水準は、いわゆる扶養の範囲内とされることもあります。しかし、次の条件を全て満たすと社会保険に加入する必要が発生します。
・週の所定労働時間が20時間以上
・所定内賃金が月額8万8000円以上
・勤務先の従業員が51人以上
・2ヶ月を超えて働く見込みがある
・学生でない
短時間労働者として社会保険に加入した場合、保険料の金額は給与に応じて決まります。東京都では年収が120万円で上記条件を満たす場合、月額で8967円の年金保険料が発生します。(別途、健康保険料なども発生)
保険料を払うと将来の年金はどれくらい増える? 保険料と比べて損?
それでは、第3号被保険者ではなくなり、保険料を負担するようになると損なのでしょうか。仮に、毎月8967円の保険料を支払いながら20年間働いたとすると、支払総額は次の通りです。
8967円×12ヶ月×20年=約215万円
一方で、厚生年金に加入することで、将来受け取れる年金額は増えます。今回の前提では、増加分は年額で12万8913円です。
これを65歳から85歳までの20年間受け取るとすると、総額は次の通りです。
12万8913円×20年=約258万円
つまり、条件により違いはありますが、単純計算では支払った保険料よりも年金を多く受け取れる可能性があります。
年金以外にもある社会保険加入のメリット
扶養から外れて社会保険に加入するメリットは、将来の年金額だけではありません。例えば、病気やけがで働けなくなった場合の「傷病手当金」や、万一の際の「遺族厚生年金」・「障害厚生年金」といった保障を受けられるようになります。
このように、社会保険に加入することは保険料の負担が増える代わりに保障が手厚くなるという側面もあります。
専業主婦のままか、年収120万円で働くかの考え方
専業主婦のままでいるか、年収120万円程度で働くかは、一概にどちらが得とは言い切れません。働き方によって社会保険への加入の必要が発生した場合、保険料負担だけを見ると「働くのが損」と感じるかもしれませんが、将来の年金額や保障の充実を考えると、一概に不利とは言えないからです。
また、収入が増えることで家計に余裕が生まれるというメリットもあります。一方で、勤務時間の増加や家事・育児とのバランスも考慮する必要があります。
まとめ
専業主婦がパートで働くと、条件によっては年金保険料の負担が発生します。そのため、短期的には「損」と感じる場面もあるでしょう。しかし、厚生年金に加入することで将来の年金額が増え、保障も手厚くなることを考えると、必ずしも不利とは言えません。
重要なのは、目先の保険料負担だけで判断するのではなく、将来の受取額や保障、そして家計全体への影響をふまえて判断することです。自分たちのライフスタイルに合った働き方を選ぶことが大切と言えるでしょう。
出典
日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内
協会けんぽ 令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
