ダイハツのスライドドアワゴン「ムーヴキャンバス」

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ダイハツ「スライドドアワゴン」が“意外なユーザー”から熱い支持!

 今は軽自動車の人気が高く、2025年度(2025年4月から2026年3月)には、国内で販売されたクルマの37%を占めました。

 人気のカテゴリとあって、新型車も活発に投入されており、2025年にダイハツ「ムーヴ」がフルモデルチェンジしました。

【画像】超カッコいい! これがダイハツの「スライドドアワゴン」です!(30枚以上)

 初代ムーヴは1995年に発売。1993年に登場したスズキ初代「ワゴンR」とともに、背の高い軽自動車の先駆的な存在です。

 なお、ムーヴシリーズには、内外装のデザインがかわいくて個性的な派生モデル「ムーヴキャンバス」もあります。女性ユーザーをターゲットにした軽自動車で、2022年に発売されました。

 ムーヴキャンバスは、2025年に発売された現行ムーヴよりも3年前に登場し、発売から4年が経過しますが、実際の販売台数を見ると、ムーヴとほぼ同じ台数が売られています。

 2026年1月と2月の販売台数を算出すると、ムーヴは1か月当たり5380台、ムーヴキャンバスは5590台と、ムーヴキャンバスが少し多いくらいです。

 設計の新しさでは2025年登場のムーヴに軍配が上がりますし、女性向けのムーヴキャンバスよりも幅広いユーザーを対象に開発され、デザインも一般的で購入しやすいはずです。

 では、登場から4年が経過するムーヴキャンバスが、最新ムーヴと同等か、それ以上に売られているのはなぜなのでしょうか。

 販売店に問い合わせると、以下のように返答されました。

「ムーヴキャンバスの売れ行きは、ムーヴがフルモデルチェンジした後も好調です。独特のデザインは人気が高く、男性のお客様も、落ち着いたブルーやベージュのストライプスカラー(2トーンカラー)を購入されます。

 ほかの車種はブラックとホワイトが売れ筋ですが、ムーヴキャンバスには、特定の人気色がありません」

 ムーヴキャンバスは女性向けのイメージがありますが、実際は違うようです。ほかの車種と異なり、外装色がブラックやホワイトにパターン化されておらず、色にこだわるユーザーも引き付けています。外装色の個性も人気の秘訣でしょう。

 販売店では「ムーヴキャンバスは、地域による売れ行きの差が大きいです。子どもの多い住宅地に隣接した店舗では特に人気が高いです」ともいいます。

 ムーヴやムーヴキャンバスのような全高が1600mmを超える軽自動車は、基本的にファミリーカーで、住宅地を中心に売れます。このような地域で、ムーヴキャンバスは高い人気を得ているのです。

 設計の新しいムーヴについては「装備のシンプルな低価格のグレードも用意され、デザインも万人向けなので、法人のお客様が使うことも多い」とのこと。

 ムーヴキャンバスは独特のデザインによって、女性だけでなくファミリー層からも高い支持を得ています。一方のムーヴは、機能的で万人向けのデザインに加え、シンプルな低価格グレードも用意されているのが強みです。

 しかし、ムーヴキャンバスには「価格が実質的に割安」という別のメリットも存在します。

最新ムーヴより実質「13万円」も割安!?

 具体的に、両車の売れ筋グレードである「ムーヴキャンバス ストライプス&セオリーG(2WD)」(175万4500円)と「ムーヴG(2WD)」(171万6000円)を比較してみましょう。

 車両本体価格は、ムーヴキャンバスの方が3万8500円高くなっていますが、ところが、装備内容を詳しく見ると印象が変わります。

 ムーヴキャンバスには、ムーヴではオプション扱いとなる「360度スーパーUV&IRカットガラス+前席シートヒーター」(ムーヴのオプション価格は3万3000円、以下同)や「右側スライドドアの電動機能」(5万5000円相当)が、最初から備わっているのです。これだけで合計8万8000円に達します。

 さらにムーヴキャンバスGには、ムーヴGには設定のない後席の「置きラクボックス」や、カップホルダーの保温機能といった便利な装備まで最初から備わっています。

「ムーヴキャンバス」

 外観についても、2トーンの「ストライプス」だけでなく、同じ価格の「セオリー」でも装飾がより豪華になっています。こうした装備や色彩のグレードアップを金額に換算すると、8万円相当の価値があるといえるでしょう。

 先に挙げたUVカットガラスや右側電動スライドドアの合計8万8000円と合わせれば、ムーヴキャンバスGはムーヴGよりも、トータルで16万8000円分も装備が充実している計算になります。

 つまり、車両価格が3万8500円高いことを差し引いても、機能や装備とのバランスを考えれば、ムーヴキャンバスGの方が実質的に約13万円も割安ということになるのです。

 なお、置きラクボックスとは、後席の下に装着された引き出し式の収納設備です。シューズなどを入れられますが、引き出した状態で、ついたてを立ち上げると、バスケットのような状態になります。この内側に買い物袋などを置くと、走行中に倒れにくいという便利な機能です。

 2022年に発売されたムーヴキャンバスが、2025年に登場したムーヴと同等か、それ以上に多く売られている背景には、ほかの車種では得られないこれらの個性的な装備や外装色を、割安な価格で採用しているからです。

 そして個性的な装備や外装色は、ムーヴキャンバスのユニークな開発テーマに基づいて、互いに関連付けられています。

 ムーヴキャンバスの開発テーマは「母親と同居している娘が、日常的に便利に使える軽自動車」というものです。

 外観は可愛らしく、娘の好みを反映さており、全高が1600mmを超えるボディで車内は広く、乗降性の優れたスライドドアも装着されるため、娘が友人とドライブに出かけた時も便利に使えます。

 一方、母親が買い物に出かけた時は、工夫された導線が力を発揮。買い物を終えたら右側の電動スライドドアを開け、後席の「置きラクボックス」に荷物を収納。そのままドアが閉まるのを待たずに運転席へ移動して、すぐに出発できるのです。

 この「右側後席から運転席へ」というスムーズな動きを重視した結果、ムーヴキャンバスは全グレードで両側電動スライドドアを標準装備しています。

 すべてのユーザーが置きラクボックスを使うわけではないと思いますが、ムーヴキャンバスは、ユーザーの行動やクルマの使い方を入念に研究して開発されました。

 カップホルダーの保温機能や収納設備なども使いやすく、そこに割安な価格も加わり、発売から約4年が経過した今でも売れ行きは好調というわけです。

 車両の開発ではユーザーを研究した開発が大切で、ムーヴキャンバスが成功した理由もそこにあるといえるでしょう。