ARTE TOKYO統括プロデューサーの齋藤精一氏

東京都および東京国際文化芸術祭実行委員会は、10月10日から12月31日まで、都市を舞台とする新たな文化芸術祭「ARTE TOKYO(アルテ トーキョー)」(東京国際文化芸術祭)を開催する。同芸術祭は、秋から冬にかけて東京で催されるアート、演劇、音楽、イルミネーション、エンターテインメントなど多彩なプログラムを結び合わせ、一つひとつの輝きを都市全体の魅力として描き出すフェスティバルとなる。4月28日に行われた記者説明会では、同芸術祭の指揮を執るARTE TOKYO統括プロデューサーの齋藤精一氏が登壇し、プロジェクトの全体像やコアエリアの展開構想、パートナープログラムなどについて説明した。


「これまで東京都では、アートに関わるさまざまなプログラムを各エリアで個別に展開してきた。今回の芸術祭は、これらのプログラムをつなぎ、1つの共創プラットフォームとして展開する画期的な取り組みとなる。イベント名の『ARTE』は、ラテン語の『ARS(技芸・才能)』に由来し、イタリア語・スペイン語で『芸術・アート』を意味する。そして、アートを基軸に、Technology、Entertainment、Experience、Engagement、Ecosystemなど、多様な表現を重ねたコンセプトワードとなっている」と、齋藤氏が「ARTE TOKYO」の開催背景や名称の由来を紹介。「初開催となる今年は、象徴的なイベントが集積する『臨海エリア』、『日比谷・丸の内エリア』、『代々木・渋谷エリア』の3つのコアエリアを中心に、都内で展開される様々なイベントと連動。点在する一つひとつの輝きを結び合わせ、面的に秋冬の東京の新たな価値を創造する。コアエリアでは芸術祭の中核を担う『コアプログラム』と官民団体主催による『ハイライトプログラム』、都内各地では『パートナープログラム』を展開し、この3つのプログラムを『ARTE TOKYO』として一体的にプロモーションしていく」と、新たな芸術祭の全体像を明らかにした。


ARTE TOKYO統括プロデューサーの齋藤精一氏

「『ARTE TOKYO』を通じて、地域に点在する文化資源を面的に再構成し、都市全体を包む一体的な文化体験へと昇華。アートや創造的表現によって東京の文化地層を掘り起こし、土地の個性や価値を浮かび上がらせていく。また、共通の地図とカレンダーを軸に、各エリアのプログラムを都市空間の演出やテーマ性を有する企画などでつなぎ、文化体験と共に都市の回遊性をデザインする。さらに、季節性や時間帯を活かしたアートや創造的体験を仕掛け、秋冬の東京に新たな文化観光価値を創造していく」と、「ARTE TOKYO」のミッションについても言及。「アーティストやクリエイター、地域、企業など、多様な人々が交わることで、都市に新たな文化のうねりを生み出す磁場を形成。そして、行政・企業・文化施設・地域・アーティスト・クリエイターが連携することで、単発のイベントにとどまらない持続可能な芸術祭のモデルを構築。共創的な都市型フェスティバルの形を、東京から世界へ発信していく」と、「ARTE TOKYO」を起点に都市と人の関係をひらき、東京の新たな可能性を編み上げていくと意欲を語った。

3つのコアエリアの展開構想について齋藤氏は、「コアエリアで展開される現代アートやイルミネーション、舞台芸術、音楽、パフォーミングアートなどのプログラムは、都市に新たなリズムと視点をもたらし、人とまち、まち固有の文脈との新たな出会いを生み出す。また、暮らす場所や働く場所など使い分けられた都市の境界をゆるやかに溶かし、異なる活動や時間が重なり合うことで、都市の持つ多層的な魅力を再構築。コアエリア全体を舞台とし、東京という重厚な地層の上に成り立つ都市の新たな『遊び方』を提示する」との考えを示した。


「臨海エリア」の展開構想

それでは、各コアエリアの具体的な展開構想を紹介しよう。「臨海エリア」は、東京港を借景に、レインボーブリッジや東京タワー、高層ビル群がまちの輝きを彩る、開放的な都市空間。エンターテインメントのコンテンツが集積する臨海副都心を、ひとつの大きなプレイグラウンドにするという。3月に運用を開始した 「東京アクアシンフォニー」の噴水演出や、芸術祭と同時期に開催される「国際美術展 TOKYO ATLAS」、臨海副都心の風物詩である「イルミネーションアイランドお台場」などと連動しながら、スケールを生かした、没入的な体験を広げる。お台場海浜公園の水辺のきらめきと、臨海副都心の都市インフラが生み出すコントラストの中で、光や水、音が重なりあい、時間の移ろいとともに風景が変化。砂浜は自然のキャンバスとなり、人が過ごすことで風景の表情が変わっていく。多くの人が通過するブリッジは、いつもとは異なる姿へと転じ、非日常の空間をさらに演出するとのこと。


「日比谷・丸の内エリア」の展開構想

「日比谷・丸の内エリア」は、高層ビル群と緑が調和する、歴史ある都市空間。オフィスワーカーや買い物客、観劇客などが行き交うこのまちに、普段とは異なる景色を差し込み、新たな出会いと気づきを生み出す。丸の内から有楽町、日比谷へと連なるストリートに広がる、イルミネーションの煌めき。日比谷公園やKK線(旧東京高速道路)で展開されるアートや文化芸術プログラムと響き合い、特別な体験がエリア全体へとにじみ出ていく。秋冬ならではの情景のなかで、通りや広場は、行き交う場から、集い、佇む場へと変わっていく。まちに点在するアート作品がもたらす小さな違和感は、人の流れをゆるやかに変え、通りから通りへと回遊を生み出す。いつもと違う視点でまちを眺めることで、これまで気づかなかった都市の風景が見えてくるという。


「代々木・渋谷エリア」の展開構想

「代々木・渋谷エリア」は、若者文化やクリエイティブが交差するカルチャーの発信地。建物や人の密度が高く、情報や音が重なり合うこのまちでは、歩くことそのものが体験となる。まちの各所に点在する場所をつなぎながら、人の流れに沿って新たな視点と体験が立ち上がり、にぎわいの中にまぎれ込むように、アートとの出会いが生まれる。このエリアの冬の顔になっている渋谷公園通りや表参道のイルミネーションと呼応するように、代々木公園は夜を中心としたアート空間へと変化。周辺エリアを横断的に接続することで、都市空間そのものを一つの舞台として拡張するとのこと。さらに、「旧こどもの城跡地」周辺をもうひとつの結節点に位置付け、都市に潜在するレイヤーを浮かび上がらせる。まちを巡るたびに発見が重なり、出会いが連なるエリアとしていく。

なお、「ARTE TOKYO」と連携し、会期中の東京を一緒に盛り上げる文化・芸術・エンターテインメントに関するプログラム「パートナープログラム」を5月15日まで公募している。「パートナープログラム」は、都内各地で展開するプログラムとして、ARTE TOKYO公式広報媒体での紹介や情報発信、関係団体とのネットワーク形成など多面的に連携する。相互誘客・相互送客を図るほか、プログラム同士の連携を通じて企画面での連携も目指していく。パートナープログラムの実施数は、50件程度を予定している。

[「ARTE TOKYO」(東京国際文化芸術祭)概要]
開催期間:10月10日(土)〜12月31日(木)
開催コアエリア:臨海エリア、日比谷・丸の内エリア、代々木・渋谷エリア
主催:東京都、東京国際文化芸術祭実行委員会

東京都=https://www.metro.tokyo.lg.jp/
ARTE TOKYO公式サイト=https://artetokyo.jp/ja/