【為替】円安急反転の分岐点だった120日MA

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120日MA割れ後に5~10%の下落=米ドル/円

米ドル/円が、足下で157円程度まで上昇してきた120日MA(移動平均線)に接近してきた。米ドル/円の方向感の乏しい横這いが続く中で、120日MAが上昇したためだ(図表1参照)。2022年以降米ドル高・円安傾向が続く中でも、120日MAを割れると一時的に米ドル安・円高に向かうパターンが繰り返された。120日MAは、円安から円高への反転における分岐点になってきた。

【図表1】米ドル/円と120日MA(2022年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

2022年以降の米ドル高・円安傾向の中で、それと逆行する米ドル安・円高が120日MAを割れて広がったケースは主に4回あった。この4回では、120日MA割れ後、米ドル/円は5~10%と一段の下落に向かった。

円売りポジションの損益分岐点、120日MA=損失拡大回避で円買い戻し拡大

足下で120日MAは157円程度まで上昇してきた。米ドル/円がこれを割り込むことで、これまでのようにさらに5~10%の下落に向かうなら、140~150円に向かう米ドル安・円高が始まる可能性がある。

それにしてもなぜ、120日MAは円安から円高への反転における分岐点になってきたのか。それは、特に2022~2024年にかけて展開した投機筋の円売り主導の円安局面では、120日MAが円売りポジションの損益分岐点だったためではないか(図表2参照)。損益分岐点割れで円売りポジションの処分(円買い戻し)が拡大、それが一段の米ドル安・円高を後押しした影響が大きかったと考えられる。

【図表2】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

投機筋の円売り慎重姿勢に変化の兆し=円売り越し、2025年以降の最高に

代表的な投機筋であるヘッジファンドの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋のポジションを参考にすると、2025年1月のトランプ政権誕生以降、投機筋は異例なまでに円買いを拡大する一方で、円売りリスクテークには慎重な状況が続いた。ただ、それが最近にかけて少し変化の兆しがある。

投機筋の円売り越しは、4月に入り10万枚近くまで拡大した。経験的に10万枚以上は「売られ過ぎ」圏なので、徐々に円売りの「行き過ぎ」懸念が強くなってきた可能性がありそうだ。そして、そうした行き過ぎ気味になってきた米ドル買い・円売りポジションの損益分岐点の目安、120日MAが157円程度まで上昇してきた。120日MA割れで、円売りポジションの処分が拡大、それが米ドル安・円高の一因になる可能性も頭の片隅に入れておきたい。

吉田 恒 マネックス証券 チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長