東京都心の「廃高速」KK線 正式“廃止”から1年 いまの姿は? 2040年には「上空の歩行者回廊」に大変化へ 銀座ビル街の「元・高速道路」どんな形に生まれ変わるのか
廃止から1年経過したKK線 生まれ変わるのは2040年代
昨年2025年に廃止となった東京都心の高速道路「東京高速道路(KK線)」で、2026年4月25日・26日に、「Roof Park Fes & Walk 2026」が開催されました。
KK線は今後、歩行者中心の空間へと生まれ変わる予定ですが、現状はどうなっており、今後、どのような空間に再生されるのでしょうか。
東京高速道路(通称:KK線、会社線とも)は中央区銀座8丁目の蓬莱橋を起点に、銀座1丁目の新京橋までを結ぶ全長2004.004mの高速道路です。
【画像】「ええぇぇ…」 これが「ホコ天になった都心の廃高速」KK線です! 画像で見る(30枚以上)
1966年に蓬莱橋〜新京橋間の全線が開通し、1973年には首都高八重洲線と接続して完成。都心ネットワークの一翼を担っていました。
前後を八重洲線(Y)に挟まれているため、首都高の一つの路線と認識する人もいますが、運営主体は別会社となっています。
またKK線の下にはショッピングやレストランモールが出店する「銀座インズ」「銀座コリドー」などの施設があり、これらの収入で成り立っているため、通行量は無料となっています。
途中、新橋出入口、土橋入口、西銀座入口、新京橋出口、東銀座出口が設けられ、逆「3の字」を描くように、カーブが続く線形で新京橋に至ります。
東側を通る都心環状線(C1)とは異なり、そのまま銀座中心部に直通することから、金曜日の夜や月末は繁華街に行くサラリーマンを乗せたタクシーやハイヤーの通行も多くありました。
土橋と西銀座の間はJRの線路がすぐ真横を通っており、JR山手線や京浜東北線、東海道線など都心の主要路線に加え、東海道新幹線も通るなど、都心らしい風景を味わえるとしてドライブスポットとしても人気でした。
そんなKK線ですが、全線開通から60年を前にした2025年4月5日、21時30分をもって全線が廃止され、高速道路としての役割を終えました。
廃止の理由は、日本橋周辺で実施される再開発と首都高 都心環状線(C1)の地下化プロジェクトの進行に伴い、新たに整備する「新京橋連絡路」とルートが重複するためです。
このプロジェクトでは、首都高の主要JCTとなる江戸橋JCTの一部ランプが廃止になる計画ですが、そのままにすると都心環状線の「環状」が破綻するため、新たに「新京橋連絡路」を敷設することで、従来通り環状を保つことにします。
いっぽう、新京橋連絡路は八重洲線から直通させるルートが取られますが、そもそも八重洲線はKK線と接続しており、ルートが重複することになります。そこでKK線側を廃止することになりました。
すでにKK線および八重洲線はいずれも通行ができなくなっており、KK線は路線廃止、八重洲線は長期の通行止めが行われ、新京橋連絡路の工事が進められています。
KK線が廃止になった今、かつての高速道路本線となっていた高架は、歩行者中心の“回廊”のような公共空間「Tokyo Sky Corridor」として再生予定で、人とみどりの共存、地域の価値や魅力を高める“憩いの場”として生まれ変わります。
道路幅の広い区間では、歩行者が歩ける空間だけでなく、広場の設置や街を眺められるビュースポットの設置なども予定され、銀座の新たな観光ポイントとなることが期待されています。

KK線廃止から約2週間が経過した2025年4月18日には、再生プロジェクト「Roof Park Project」が正式発表され、Tokyo Sky Corridorだけでなく、その下のテナントや周辺施設を巻き込んだ大プロジェクトとして、官民一体となってひと中心の空間に生まれかわるビジョンが示されました。
本格的な工事などが始まる前には、KK線跡地の活用方法の検討を蓄積するために、実証実験としてさまざまなイベントが行われる予定です。
4月18日・19日には、第一歩となるイベント「Roof Park Fes & Walk」が開催。廃止直後の本線を歩くことができ、KK線から見える町並みを眺めながら、ブース出店やクラシックカーなどの展示、ゲストによるトークセッションなどを楽しむことができました。
これを皮切りに、2026年2月には「東京2025世界陸上」の前夜祭イベントが開催。3月14日には、ドイツのスポーツカー「ポルシェ」の旧式のモデルを中心とした展示イベント「LUFT TOKYO」が開かれました。
また、本線の一部を貸し出し、メディア撮影などにも対応しており、2025年12月31日にNHKで放送された第76回「NHK紅白歌合戦」では、シンガーソングライターの米津玄師さんがKK線跡地で「IRIS OUT」を世界初披露し、SNSを中心に話題となりました。

そして今回、第2回となるイベントRoof Park Fes & Walk 2026が開催。2日間で約1万人の来場を見込むほどの盛況です。
2025年と同様、ウォーキングを中心に、飲食ブースの出店や子どもを中心としたワークショップ、大道芸や壁画、「東をどり」の披露などが行われ、にぎわいを見せていました。
またスケートボードやダブルダッチ(縄跳び)、路上お絵かきなど、子ども連れでも楽しめるアクティビティも多いことから、親子で来場する人の姿も多く見え、また昨年と同様に、並行するJRが行き交う様子を眺める人も多くおり、人中心の空間となったKK線の将来の姿を想像することができました。

イベントのオープニングで登壇した小池百合子 東京都知事は、以下のように話しています。
「KK線は、人が集い、歩き、楽しむという『歩行者中心』の公共的な空間へと今、生まれ変わっております。有楽町、京橋、銀座、そして新橋という、それぞれ個性的で、そして豊かな地域が重なって、その上を歩くっていうことはどんなに素晴らしいことでしょうか。
そして地域の方々はじめ、様々な皆さんと一緒になって、ウォーカブルな街づくりをしっかりと広げていきたいと思います。まさにここが象徴と言える場所ではないかと思っております。
これからは、『東京に来たら、まずKK線に行って楽しもうよ!』という流れを作っていきたいと思っております。国内の皆さんも、それから海外の皆さんも、まずはKK線を目指して来られるというような、賑やかな街づくりを、そして楽しめる街づくり、『ウォーカブル』な街づくり、進めていきたいと思います」

またプロジェクトのビジョンについて、東京高速道路 取締役社長 加藤 浩氏は以下のように話しています。
「現在、私どもは『第二の創業期』という大切な時間を迎えております。東京都のご支援のもとで、この自動車道を歩行者空間に変えていく、この上部空間を歩行者中心の公共的な空間に変えていくという役割を担っております。
しかも、これまでの施設を壊すということではなくて、そのまま利用して再生して使っていくという、今までに例のない事業です。私どもとしては今、この事業の基本設計を進めているところで、その後の利用の仕方、ルール作り、そういったものに取り組んでいます。
プロジェクト自体は、2030年代の一部開放、それから2040年代の全線開通を目指すという非常に息の長い事業になっています。現在まだまだ先のことのようには思えますが、現在がその根幹を作る非常に大事な時期になっているということで、今、多くの方々から意見を聴くということが大事になっています。
そういう意味で、今日参加いただいた皆様にもぜひ楽しんでいただいて、『ただ、こうした施設がもっとあった方がいいよね』とか、『こうした使い方はあった方がいいよね』というようなご意見をぜひ頂戴できればありがたく感じております」
現在のところ、昨年の路線廃止から見える景色に大きな変化はなく、案内標識や標示などがそのまま残置した状態で、途中の出入口や八重洲線との乗継所も残っていました。
プロジェクトは始動したばかりという様子ですが、Roof Park Projectは2040年代に全線で供用と、非常にスケールの大きなものになっています。
クルマで通過すると数分だったこの2kmが、今後どのような形で進化するのか、期待が止まりません。
