「帯状疱疹」のピリピリは“何”の症状? 大人が知るべき痛みのメカニズム【医師監修】
帯状疱疹特有のピリピリした痛みには、ウイルスと神経の関係が深く関わっています。なぜこのような痛みが生じるのかを理解することで、症状への理解がより深まります。本章では、ウイルスの再活性化と神経への影響、痛みが発生する仕組みについて分かりやすく解説します。
監修医師:
高藤 円香(医師)
防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科
ピリピリした痛みはなぜ起こるのか
帯状疱疹特有のピリピリとした痛みには、明確な医学的メカニズムがあります。この仕組みを理解することで、症状の意味がより深く認識できます。
神経とウイルスの関係
帯状疱疹のピリピリとした痛みは、水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節に潜伏していたものが再活性化し、神経に沿って増殖することで生じます。このウイルスは、初めて感染した際に水痘(水ぼうそう)を引き起こした後、免疫によって抑え込まれますが、完全には排除されず、脊髄後根神経節や脳神経節に潜伏した状態で残り続けます。免疫機能が低下すると、ウイルスが再び活動を始め、神経線維に沿って皮膚方向へ移動していきます。この過程で神経が損傷を受け、炎症が起こることで、特徴的な神経痛が発生します。ピリピリとした痛みは、神経が刺激され、異常な電気信号が発生している状態を反映しているといえます。
痛みを感じるメカニズム
帯状疱疹における痛みの発生メカニズムは複雑です。ウイルスによって神経が直接的に損傷を受けると、神経細胞の機能に異常が生じ、通常では痛みとして感じられない軽い刺激でも強い痛みを感じる状態(アロディニア)が起こることがあります。また、炎症性物質が放出されることで、神経の感受性が高まり、痛みが増幅されます。さらに、神経の損傷が進むと、神経線維自体が異常な興奮状態となり、刺激がなくても自発的に痛みの信号を発するようになります。この神経の病的な変化が、帯状疱疹後神経痛へとつながる可能性があるため、早期に炎症を抑え、神経の損傷を最小限に留めることが重要です。
まとめ
帯状疱疹の初期症状は、ピリピリとした痛みから始まり、その後に特徴的な赤い斑点が現れるという経過をたどります。これらの症状を早期に認識し、速やかに医療機関を受診することで、重症化や帯状疱疹後神経痛といった後遺症のリスクを軽減できる可能性があります。特に50歳以上の方や免疫機能が低下している方は、初期症状に注意を払い、疑わしい症状があれば早めに専門の医師に相談することをおすすめします。
参考文献
国立感染症研究所「水痘(詳細版)」
厚生労働省「帯状疱疹ワクチン」
日本皮膚科学会「帯状疱疹診療ガイドライン 2025」
日本ペインクリニック学会「帯状疱疹後神経痛予防のための神経ブロックの有効性」
