4月20日午後4時52分ごろ、三陸沖を震源とするマグニチュード7.7の地震が発生した。青森県階上町で最大震度5強を観測したほか、沿岸部には一時、津波警報や注意報が発表された。この地震を受け「ABEMA Prime」では、日本地震予知学会会長の長尾年恭氏が、今回の地震の分析や今後の警戒について解説した。

【映像】専門家、津波は「津壁。塊でやってくる」

■「新しいフェーズに入った」青森・北海道沖の現状

 今回の地震について、長尾氏は東日本大震災からの時間の経過と、現在の活動状況の変化を指摘する。

 「今年は東日本大震災から15年、熊本地震から10年。今回の地震そのものとは関係ないが、去年の12月にも似たような地震が起きて、初めて『後発地震』という注意報が出た。東日本大震災の活動はある程度終わっているが、実は今、青森沖と北海道沖で新しいフェーズに入ったと、地震学者の多くが考えていて、その始まりの地震かもしれない」。

 フェーズが変わったという意味について、地下での「割れ残り」の状態を説明する。「東日本大震災では、岩手県沖ぐらいまで岩盤が割れた。青森沖と北海道沖では、まだ割れ残っていて、それが去年の12月ぐらいから割れて、地震が起き出した。大地震の前には、地震の起き方が変わってくる。普段は小さな地震がたくさん起きて、大きな地震は少ししか起きない。だが前兆現象的な地震は、比較的粒ぞろいで中規模の地震がたくさん起きる。さらに、この地域にはひずみが非常に多く溜まっていることが分かっている」。

 また、この危機感は多くの研究機関で共有されているという。「私がいる静岡県立大学だけではなくて、2週間ぐらい前に北海道大学、東北大学、JAMSTEC(海洋研究開発機構)も全部、『同じ場所が危ない』という記者発表をしていた」。

■「後発地震注意情報」の目的

 今回の地震発生後、気象庁は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表した。これは、過去の事例に基づいた情報であると解説する。

 「東日本大震災の時には、3月11日に『本番』が来たが、その2日前に今回ぐらいの地震が起きて、みんなそれが本番だと思った。ところが2日後にとんでもないことが起きた。その経験から、ある程度の規模の地震が起きると、それに引き続いて同じ規模や、さらに大きな地震が起きる可能性があることが分かってきた。何か異常が地下で起きていて、さらに大きなものが来るということを機械的に発表する仕組みだ」。

 この情報で呼びかけられる「1週間」の警戒期間については、科学的というよりも社会的な側面が強いという。

 「一番大事なのは『1週間警戒』。この1週間には(地震が再度起きるという)科学的根拠が全くない。これは、人間が我慢できる時間(の限界)だ。社会的な要請で1週間と決まっているだけだ。1週間であれば、普段より5倍や10倍、地震の可能性が高いというのが、この後発地震情報の意味だ」。

■「津壁」としての脅威と命を守る避難

 津波の恐ろしさについて、長尾氏は「波」ではなく「水の塊」であると強調する。

 「津波は塊。『水の壁』で、波ではない。1メートルの津波に入ると、残念ながら死亡率は100%とも言われている。しかも溺死ではなく打撲。水中でコンテナにぶつかったり、船にぶつかったりして亡くなる。家が壊れるのも、塊としてぶつかるからだ」。

 避難については、ハザードマップの確認と躊躇ない行動を求めた。

 「大事なのは、非常に大きく長く揺れたら躊躇なく高いところへ逃げる。津波に関しても高いところにさえ逃げれば問題ない。ハザードマップについては、自宅が津波浸水域に入っているか否か。あとはできる限り地震の場合はご自宅で過ごしてほしい。もし津波の影響がなければ、自宅で暮らすということが一番いいです。避難所の環境は劣悪だ」。

■現代の備えは「スマホと水」

 具体的な備蓄や対策について、長尾氏はライフラインが止まった際の実践的なアドバイスを送る。強く伝えたのは「水とスマホ」の重要度だ。

 「今は防災のための備蓄ではなくて、『ローリングストック』といって、例えばレトルト食品でも、カレーライスを買っておいたら古いものから食べて、また補充する。そういう形で普段の生活に組み込んでいく防災が望まれている」。

 さらに水については「断水の場合、下水道がやられることが多い。そうするとトイレが使えない。さらに風呂にも入らないでくださいとなってしまう」。

 現代において「スマホ」の維持は死活問題となる。

 「全てのものは電気仕掛け。そのために、スマホを持つことも対策だ。スマホの充電を残しておくこと。60%になったら必ず充電することも、対策と言える。私は3つのキャリアで端末を持っている。今の時代、スマホがなければ『絶海の孤島』だ」。
(『ABEMA Prime』より)