てんちむが夫へ″高級時計″プレゼントは自信の表れ? 「3.8億円敗訴」裁判の″控訴資料″を検証
“青汁王子”と幸せ結婚報告も……
3月28日、実業家の元”青汁王子”こと三崎優太氏(37)との電撃結婚を発表したYouTuberのてんちむ(32)。三崎氏からのプロポーズを受け、地方なら一軒家が建つほどの金額だという超高額なダイヤモンド指輪を贈られた彼女だが、その”お返し”もド派手だった。
31日、てんちむはInstagramのストーリーズを更新。〈いつも幸せにしてもらってるから 私もたくさん旦那さんを幸せにする〉と綴り、三崎氏にスイスの高級時計メーカー「オーデマ・ピゲ」の900万円以上の高級時計をプレゼントしたことを報告した。
まさに”セレブ夫婦”全開の姿だが、ニュースサイトのコメント欄やSNSでは手放しで祝福できないファンも多いようだ。
〈てんちむは賠償金完済したんだっけ?〉〈いつの間に借金から解放されたの?〉
世間がそう首を傾げるのも無理はない。というのも彼女は、6年前から続いている”ナイトブラ騒動”の真っ只中で、昨年1月にナイトブラ販売元「YUIKU株式会社(’20年3月にバレットグループから分離、事業を承継)との裁判で、一審判決を不服として控訴しているのだ。一審判決後、「裁判官が使用中」とのことで長らく閲覧できなかった裁判資料がようやく閲覧可能となり、フライデーデジタルは今年3月に入手。「控訴理由書」には彼女の猛反撃が記されていた。巨額トラブルについて、順を追って詳しくお伝えしたい──。
事の発端は’20年8月。てんちむが過去に豊胸手術を受けていた事実を隠し、あたかも自身の努力でバストアップしたかのように装って、ナイトブラ「モテフィット」などの商品をプロデュース・宣伝していたことが暴露されたことだった。
批判が殺到するなか、てんちむは自腹で返金対応を行うことを表明。最終的にその額は総額約3.3億円にのぼった。その対応に追われていた最中の’21年3月、てんちむはYUIKU側を相手取り、未払い報酬など約6,000万円の支払いを求めて提訴した。
だが、これが泥沼の法廷闘争への入り口となった。この提訴に対し、YUIKU側は’22年9月、豊胸の事実を隠していたことで、暴露後に商品を販売することが困難な状況に陥り巨額の損害を受けたとして、逆にてんちむに約5億円の損害賠償を求めて反訴したのである。
’24年12月に東京地裁で言い渡された一審判決では、YUIKU側の主張が大筋で認められ、てんちむに対し約3.8億円の支払いが命じられた。
なぜ、これほどまでの巨額賠償が認定されたのか。アトム法律事務所の松井浩一郎弁護士は、一審判決を3つのポイントで解説する。
「まず一つ目は『悪質性の認定』です。前提事実として、てんちむさんが知人とのLINEで〈まじ余裕すぎた乳って最高〉〈ビジネス乳〉などとやり取りしていたことが、証拠として極めて重く扱われました。『嘘をついて儲けている』という自覚がありながら、意図的に消費者を欺き、販売会社にリスクを負わせたとみなされたのです。
二つ目は『会社側の過失の完全否定』です。てんちむさん側は『会社も調査不足だった』と主張しましたが、裁判所は『手術はプライバシーに関わることなので、会社側がわざわざ聞くのははばかられる』とし、YUIKU側に落ち度はないと一蹴しました」
司法は、てんちむが「嘘」を自覚しながら利益を得ていたとして厳しく批判しただけでなく、YUIKU側の確認不足を責める反論も完全に退けたのだ。
「ポイントの三つ目は『在庫損害の全額認容』です。毎月数万件の注文があった以上、YUIKU側の発注は過剰ではなく、暴露によって販売不能になった約3.5億円の在庫ロスは、すべて原因を作ったてんちむさんが背負うべきだと結論づけました」(前出・松井弁護士)
判決では、約3.5億円の在庫損害に加え、売れ残った商品の廃棄費用や、YUIKU側が負担した弁護士費用など約3,000万円も損害として認められた。その結果、一審判決は最終的に約3.8億円という巨額の支払いを命じる、まさに「圧倒的敗訴」となったのである。
独自入手「控訴理由書」に記された猛反撃
’25年1月、てんちむは自身のYouTubeチャンネルで、
〈圧倒的敗訴です、ボコボコですね。実質7億円稼ぐ必要がある〉
と赤裸々な「敗訴報告」を行った。過去には自己破産の可能性も口にしていたが、そのまま泣き寝入りしたわけではなかった。一審判決を不服として控訴し、泥沼の法廷闘争「第2幕」が切って落とされていたのである。
今回フライデーデジタルが閲覧し詳しく検証した控訴理由書からは、YUIKU側に対する猛烈な反撃の姿勢がみて取れる。
控訴審において、てんちむ側が最大の争点として問題視しているのが、YUIKU側が行っていた「虚偽・誇大広告」の存在だ。てんちむ側の主張は控訴理由書によるとこうだ。
〈バレットグループ(被控訴人)は、モテフィットの販売にあたり、あたかも着けるだけで劇的なバストアップ(豊胸)効果があるかのような広告宣伝を行っていた〉(以下〈〉内は控訴理由書より)
〈モテフィットの購入者(中略)の大半は、控訴人が公開した動画を視聴した者ではなく、バレットグループ(被控訴人)が行っていた虚偽・誇大広告に誘引されて購入した顧客であると考えられる〉
〈顧客の非難の対象は、控訴人が公表動画で豊胸施術の事実がないと説明したことではなく、虚偽・誇大広告によりモテフィットには豊胸効果があると欺罔(編集部註:ぎもう=あざむくこと)されたことによる被害である〉
つまり、
「炎上し、商品が販売不能になった最大の原因は、消費者を騙したYUIKU側の悪質な広告手法にある」
として、過失相殺による大幅な減額を求めているのだ。「過失相殺(かしつそうさい)」とは、トラブルにおいて被害を訴える側(本件ではYUIKU側)にもなんらかの落ち度があった場合、その責任の度合いに応じて損害賠償額を差し引く法律上のルールのこと。
「仮にてんちむ側が豊胸を隠していたことに責任があるとしても、被害をここまで拡大させたのはYUIKU側の違法な広告宣伝なのだから、3.8億円という賠償額は大きく割り引かれるべきだ」
そういうロジックである。
さらに、双方が被る負担の”不均衡”についても強く訴えかけている。てんちむは返金の原資としてYUIKUに預けた2.2億円に加え、自身で直接返金に応じた分を含め、個人として既に約3.3億円もの私財を出捐(しゅつえん=自分の財産を出して、他方に利益を出させること)している。
これに対しYUIKU側は暴露までの間に商品の販売で多額の利益を得ており、控訴理由書では、
〈在庫損失を差し引いても未だ相当額の利益を保持している状況にあると見込まれる〉
と指摘。その上で、こう結んでいる。
〈そのような状況下で、控訴人に被控訴人に対する約3億8500万円もの損害賠償義務(合計約7億1500万円以上の出捐)を認めることは、著しく均衡を欠く判断であり、本事案の具体的解決として全く妥当でない〉
「巨額の利益を手にしたYUIKU側が痛手も負わず、自分だけが総額7億円以上ものペナルティを背負うのは到底納得できない」──。裁判資料からは、そんな彼女の怒りが滲み出ているのである。
泥沼訴訟の”着地点”
では、控訴理由書に記されたYUIKU(バレットグループ)側の「誇大広告」という主張は、控訴審でどの程度認められるのだろうか。前出の松井弁護士は、次のように見解を述べる。
「控訴理由書で力説されている『過失相殺』の主張は、相当程度認められる可能性があると考えます。というのも、『3ヵ月でAカップからDカップ』といった表現は、現在の景品表示法の優良誤認の基準に照らせば、アウトに近い表現です。てんちむさんが豊胸を隠していたことは彼女の落ち度ですが、それを『奇跡のバストアップ』として増幅させ、売り上げを伸ばしたのは会社側の最終的な判断です。二審では、会社側の不当な煽り広告がなければここまで被害は拡大しなかったという、共同不法行為的な側面が重視される可能性は十分にあります」
さらに、この泥沼の法廷闘争の決着について、松井弁護士はこう予測する。
「高裁は一審以上に和解を強く勧める傾向にあります。今回のような、個人が一生かかっても払えないような数億円の賠償を命じる判決は、実効性の観点からも和解の方がよいという判断になりやすい。そのため、一審の3.8億円をある程度減額した金額での和解が想定される着地点でしょう。ただ、てんちむさんも発信力のある立場ですので、安易に和解を受け入れず、最後まで戦う姿勢をあえて見せる可能性も否定できません」
フライデーデジタルは本件の控訴審における主張や今後の展望について、当時の販売・広告の主体であったバレットグループ株式会社と、てんちむの所属事務所双方に質問状を送付した。しかし、ともに期日までに回答は得られなかった。
電撃結婚、そして超高級時計のプレゼントと、順風満帆で華やかな”セレブ生活”を見せるてんちむ。だがその裏では、「総額7億円超」という未曾有のペナルティをめぐる泥沼の巨額訴訟が、まさにクライマックスを迎えようとしている。
取材・文:酒井晋介
