大宮の神田が、プリンス関東1部開幕戦で好パフォーマンスを披露した。写真:松尾祐希

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 悔しさは忘れていない。2025年9月下旬のことだ。同年11月のU-17ワールドカップ出場に向け、主力と目されていたMF神田泰斗(3年/RB大宮アルディージャ)は、大阪で行なわれた最終選考となる合宿に順当に名を連ねた。

 しかし、怪我の影響で招集辞退。最終的にコンディションは本番までに戻らず、本大会行きを逃した。

「怪我明けでも呼ばれる選手になってほしい。廣山望監督(現・U-16日本代表監督)にもそういう話をされて、(自分は呼ばれなかったので)本当にその通りだと思う。いろんなことを教わったし、感謝をしています。やっぱり、大会前に怪我をしない。コンディションを大会に向けて整える。来年のU-20ワールドカップやその先のA代表もそうですけど、そういう悔しさを1回味わっているので、教訓になると捉えています」(神田)

 落選の悔しさは当事者にしか分からない。それでも、前向きに捉え、意味あるものとするためにさらなる努力を重ねてきた。正確な左足のキックを活かした展開力やスルーパスはもちろん、世代屈指と称されるゲームを読む力も磨きをかけてきた。大宮U-18でプレーしていた昨夏にプロ契約を結び、今季はトップチームで活動するなかで、自分の特徴をプロの世界で活かすために課題と向き合ってきた。

 それが守備面とフィジカル面の強化だ。さらなる成長を目ざすなか、特に力を入れたのが身体の部分。180センチを超えた身長に見合うような筋力をつけるべく、空いた時間で今まで以上にウェイトトレーニングを実施した。

「チームのフィジカルコーチや栄養士さんとコミュニケーションを取りながら、もっともっと身体を大きくしていかないといけないので、そのために色々やっている」と本人が話したように、週1回のフィジカル測定で筋肉量やスピードなど、細かく変化をチェックしてきた。トップチームに昇格したからこそできる取り組みであり、4月5日のU-18高円宮杯プリンスリーグ関東1部開幕戦でのプレーは、今までの積み重ねを感じさせるパフォーマンスだった。
 
 4日のJ2・J3百年構想リーグ地域リーグラウンド第9節・岐阜戦(3−0)では87分から出場し、プロデビューを飾った。その翌日、フィジカルコンディションに問題もなく、千葉U-18戦にスタートからピッチにたった神田は、4−3−3のインサイドハーフで存在感を示した。

 アンカーのMFエドワード真秀(3年)とポジションを入れ替えるだけではなく、試合展開に応じてダブルボランチ気味になるなど、臨機応変な対応でゲームをコントロール。ほとんどU-18の練習に参加しておらず、ぶっつけ本番でのプレーとなったが、冷静な判断で味方をリードした。

 14分には左足で得意の見事なサイドチェンジを披露し、MF小林柚希(3年)の先制点をお膳立て。ゴールに絡んだロングキックも含めて、フィジカル面で成長の跡を示し、同世代の戦いで競り負けることはなかった。90分走り切れる運動量も含め、2−1で勝利したチームにおいて格の違いを示した。

 とはいえ、今日のパフォーマンスに本人は満足していない。同世代の戦いで活躍するのは当たり前であり、視座はさらに高いところにある。プロの世界で活躍し、来年のU-20ワールドカップをターゲットとするチームに加わっていくためにも、さらに高みを目ざさないといけない。

 新たな景色を見るための冒険はまだ始まったばかり。大宮の未来を担う有望株の挑戦に今後も目が離せない。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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