息子が「月5万円でヤリスに乗れる」と言いますが、7年乗ると“総額420万円”ですよね? 親が「車代270万円」出すほうがサブスクより得ですか?「自動車税」がかからないならアリでしょうか?

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子どもから「サブスクリプションなら月5万円で新車のヤリスに乗れる」と聞き調べてみると、7年間で支払い総額が420万円に及ぶようです。親がお金を貸して一括購入させたほうが安いのではないか……と思うのは自然な感情でしょう。 車のサブスクリプションサービスは人気ですが、月額料金だけでなく将来的なコストまで含めて比較しなくてはなりません。本記事では、総額420万円に含まれる内容や、親が資金を貸し付けて購入したことで発生するコスト、税務上のリスクについて解説します。

サブスクリプションの料金体系とサポート内容

トヨタが展開しているサブスクリプションサービス「KINTO」の料金体系を整理してみましょう。まず、毎月約5万円を7年間支払い続けた場合、支払い総額は約420万円となる見込みです。
車両価格約270万円のヤリスに対して約420万円を支払うと聞くと、損すると感じる人もいるかもしれません。しかし、この月額料金には、車を維持するための費用が幅広く含まれています。
新車登録時の諸費用や毎年の自動車税はもちろんのこと、定期的なメンテナンス費用も対象内です。車検費用や、万一の故障時の修理費などもカバーされます。
突発的な出費が発生しにくく、毎月定額で新車に乗り続けられる利点があり、家計管理もしやすくなることから、幅広い世代からの注目を集めています。

20代の任意保険料と親が貸す場合の維持費を比較

親が270万円を無利子で貸し付け、一括購入した場合をシミュレーションしてみましょう。
まず、車を維持するためには税金や車検代を支払う必要があり、そのなかでも大きな負担となるのが「任意保険料」です。20代など若い人が自動車保険に加入する場合、事故リスクが高いと判定されるため、保険料は高額になります。車両保険を含めると、年間20万円に達することも珍しくありません。
年間20万円の保険料が7年間続いたとすると、保険料だけで140万円になります。ここに車検費用などを加えると、維持費だけで180万円ほどに膨れ上がるでしょう。車両代の270万円と合算すれば、結局450万円近い出費となり、サブスクリプションで支払う金額を超えてしまうケースもあります。

手元に残る資産価値とサブスクリプション利用上の制約に注意

一括購入は、維持費を含めて計算すると、サブスクリプションとの総額の差がほとんどなくなり、場合によっては逆転する可能性もあります。しかし、サブスクリプションのデメリットも無視できません。それは、契約終了時に車をトヨタに返却しなければならず、手元に資産が残らない点です。
親が貸したお金で購入すれば、7年乗ったヤリスでも中古車として売却できます。売却すれば実質的な総負担額はその分だけ安くなるため、自分で購入して売却するほうが金銭的に有利になるケースが多いといえるでしょう。
また、サブスクリプションの場合は、車の使い方にも注意が必要です。走行距離の制限が設けられていたり、車内でたばこが吸えなかったりするなど、さまざまな制約が定められています。完全に自由に扱えるわけではない点も、事前に考慮しておくべきポイントです。

親が270万円を子どもに貸すリスク

金銭的な損得だけでなく、親が子どもに大金を貸すこと自体に潜むリスクも見過ごせません。親子間であっても、契約などを結ばずに安易に270万円を渡してしまうと、年間110万円の基礎控除を超える160万円に対して「贈与税」が課される恐れがあります。
基礎控除後の課税価格が160万円となる場合、税率10%で税額は16万円です。費用を抑えるために親がお金を出しても、税金が発生しては本末転倒になってしまいます。
贈与税を防ぐためには、「金銭消費貸借契約書」を作成し、銀行振り込みで毎月返済させるといった管理が必要です。ただし、返済が滞った場合には親が督促するなどで、家族関係が悪化する恐れもあるでしょう。
サブスクリプションであれば、審査や管理はすべて車メーカーが行うため、余計な金銭トラブルが避けられます。

総額の差だけでなく、デメリットやリスクも考慮しよう

サブスクリプションで月約5万円を7年間契約すると総額は約420万円になりますが、この金額には高額になりやすい若者の任意自動車保険料や車検代など、各種維持費が含まれています。
一方、親が270万円を貸して購入させれば車を返却する必要がなく、将来的に売却することで金銭的に有利になりやすいかもしれません。しかし、贈与税対策として契約書を作成したり、長期にわたって返済管理したりといった家族間でのリスクを負う側面もあります。
シミュレーションによる金額の差だけで判断できるものではないため、面倒な手続きを任せられる利便性や、お金の貸し借りをしない安心感なども含めての比較検討が大切です。どちらの選択が家庭にとって最適なのか、話し合いを重ねた上で、最終的な結論を出すようにください。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4420 親から金銭を借りた場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー