「明日から中国依存をやめたらどうなるの?」日本に起こりうる最悪のシナリオ「リアルな損失額」専門家が分析

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中国は国家戦略として中国産品の輸出を止めたり、逆に日本産の水産物を突如輸入停止するなど、貿易を一種の「カード」として使う。日本からすれば、そんな中国の顔色を窺うより「脱中国」を進めたほうがリスクを小さくできるのでは――と思うかもしれない。

とはいえ、足元を見ると、日本人は食べている食品や使っている家電など、中国産に囲まれて暮らしている。それでは、中国からの輸入品を使わないとしたらどうなってしまうのか。

【前編記事】『「実は誰もが察しています…」今さら日本人に《脱・中国》がとうてい無理筋と言える「これだけの理由」』よりつづく。

農業・畜産業は壊滅待ったなし

日本の農業に詳しい東京大学大学院特任教授の鈴木宣弘氏はこう語る。

「当然、食料不足になるでしょう。日本の食料自給率(カロリーベース)は38%ですが、輸入した畜産用飼料を計算に入れればもっと低いからです。加えて、農産物に必須の化学肥料の原料も中国依存度が高いため、国内で農作物を作れなくなってしまいます。

さらに、日本は大豆の96%、トウモロコシはほぼ全量、小麦も9割近くを輸入に頼っているうえ、その多くは中国の港を経由している。飼料が不足し、畜産業が成り立たなくなるでしょう」

中国産食材への依存をやめるにはどうすればいいのか。

「国産の食材を選んで自炊すれば、脱中国はできますが、冷凍食品やスーパーの惣菜をやめるのも難しいでしょう。海上封鎖のリスクにも備えつつ、食料とその生産資材を国内で調達できる仕組みの強化が不可欠です」(鈴木氏)

時間をかけて脱中国を進めるとしたらどうだろうか。家電やITに詳しいジャーナリストの西田宗千佳氏が「あくまで仮定」として予想する。

「日本が世界各国の合意を得て、メーカーとともに中国以外の生産量を増やす決断をしたうえ、各国政府がそれに投資を惜しまないという様々な難しい条件をクリアしたら、5〜10年で生産拠点を移せるかもしれません。つまり、完全な脱中国は現実的に不可能でも、『依存の割合を減らす』ことはできるのです」

脱中国の結果…12.4兆円が一瞬で溶ける

ただし、中国依存を減らそうとした企業の中には、早々に損害を出した企業もある。

元大手メーカーのバイヤーで、現在は未来調達研究所株式会社の取締役である坂口孝則氏が語る。

「圧倒的に中国が安い場合、あえて他国から輸入することは営利企業には難しい。そんな中、ある国産メーカーでは、調達部門の部長が台湾有事を想定し、『中国に代わる代替ソースも用意しなくてはならない』と発言したところ、その会社の営業部門は中国から締め出されてしまいました。露骨な中国外しは中国を刺激し、日系企業側も大損害を被るでしょう」

すると、日本企業全体が脱中国をした場合、どれだけの損失を被るのか。

オウルズコンサルティンググループ代表取締役CEOで『ビジネスと地政学・経済安全保障』という著書もある羽生田慶介氏が解説する。

「仮に脱中国をして、ASEANや日本に事業を移した場合、弊社の試算では日本の産業にかかるコストは12.4兆円、GDPの2%に上ります。国内の物価高騰に加え、製造が困難となる製品が増えることで、国内企業が苦境に立つ事態もありえます。つまり、トランプ政権も高市政権も、中国との関係を断つことはできず、完全な脱中国も現実的ではないのです」

日本に圧力をかける中国を不愉快に感じても、賢く付き合っていくしかなさそうだ。

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「週刊現代」2026年3月30日号より

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