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須藤早貴被告(30) 2審も『無罪』

 「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家男性の死亡をめぐる裁判。2審も元妻に無罪を言い渡しました。

【写真を見る】無罪判決を言い渡された瞬間も表情を変えない須藤早貴被告(廷内スケッチ)

 再び無罪判決を言い渡された瞬間、須藤早貴被告(30)は、表情を変えることはありませんでした。

 和歌山県田辺市の資産家だった野粼幸助さん(死亡当時77歳)。奔放な女性遍歴から「紀州のドン・ファン」の異名で知られました。

 野粼さんが亡くなる3か月前に結婚したのが、50歳以上歳の離れた須藤被告でした。

 しかし、2018年5月、野粼さんは突如死亡。死因は、覚醒剤を多量に摂取したことによる急性覚醒剤中毒でした。

「直接的な証拠なし」も状況証拠から逮捕

 事件の3年後、警察は須藤被告を逮捕。直接的な証拠がない中、須藤被告が覚醒剤の密売人と接触していたことなど状況証拠から、殺害した疑いがあると判断したのです。

 1審で須藤被告は全面的に無罪を主張。密売人との接触について「野粼さんから覚醒剤の購入を頼まれたため」と説明しました。

 「“(性的な満足を得られず)ダメだから覚醒剤を買ってきてくれませんか?”と言われました。“お金くれたらいいよ”と冗談で言ったら、(野粼さんが)20万円を渡してきました」

1審「自らが覚醒剤を入手・使用し、誤って過剰摂取した可能性がないとは言い切れない」

 密売人から受け取った物を渡した後の野粼さんの反応については。

 「“あれは使いもんにならん、偽物や”“もうお前には頼まん”と言われました」

 1審判決で和歌山地裁は、須藤被告の説明は信用できないとしながらも、密売人が被告に渡した物が本物の覚醒剤ではなく氷砂糖だった可能性を認定。

 さらに野粼さん本人が死亡前、知人女性に、「覚醒剤やってるで」と電話していた点などを踏まえ、「野粼さん自らが覚醒剤を入手・使用し、誤って過剰摂取した可能性がないとは言い切れない」と判断。須藤被告に無罪を言い渡しました。

2審「致死量を超える覚醒剤を摂取させることは不可能ではないものの容易ではない」1審判決を支持

 検察側が控訴し、裁判の舞台は2審に移っていましたが、23日の判決で大阪高裁は「野粼さんに不審感や違和感を持たれることなく致死量を超える覚醒剤を摂取させることは不可能ではないものの容易ではない。野粼さんが覚醒剤を入手することがまったく考え難い状況でもなかった」などとして、1審判決を支持。検察側の控訴を退けました。

 検察側が最高裁に上告しなければ須藤被告の無罪が確定します。

【MBS柳瀬記者の報告】8年前にも取材、きょうの須藤被告の様子は…

 大阪高裁前から、取材したMBS・柳瀬良太記者の報告です。

 8年前、野粼さんが亡くなった直後、現地で須藤被告を取材しました。須藤被告は今回の無罪判決が言い渡された時も、あまり表情を変えることなく、判決文を聞き終わると、裁判長の方に一礼をして法廷を去っていきました。

 今回の判決のポイントは、須藤被告が覚醒剤を摂取させて殺害したのか、それとも野粼さん自らが覚醒剤を入手、使用し、誤って過剰摂取してしまったのかという点でした。

■大阪高裁の判決のポイント:”疑わしきは罰せず”

 須藤被告に犯人性を疑わせる事情はあるものの、殺害したと推認するには足りない、という判断でした。

 大阪高裁は判決の中で「須藤被告に密売人と接触するなど、犯人と強く疑わせる事情になりうるものもある一方で、野粼さんが覚醒剤を入手すること自体それほど困難ではない」などとして、一審判決を支持した形です。

 今後、検察側は23日の判決内容を精査し、上告するか検討するとみられます。