記事のポイント
ライブ販売への移行で、あるヴィンテージセラーの年商が約375万円から3750万円超に成長した。
ワットノットは評価額約1兆7250億円に達し、ファッションが最速成長カテゴリーとなっている。
イーベイもライブリセールに参入し、ヴィンテージやラグジュアリー分野で展開を拡大している。


ヴィンテージ品の販売市場は長いあいだ、静的な商品リスティングが主流だった。丁寧に撮影された衣服がマーケットプレイスにアップロードされ、適切な買い手を見つけるまで何週間も待たされることが多い。

しかし現在、セラーたちはレアなアイテムを紹介し、一点ものの商品に対する購買意欲を喚起するため、ライブストリーム販売を試みている。

ライブコマースプラットフォームのワットノット(Whatnot)でヴィンテージリセールチャンネル「コストゥーラ(Costura)」を運営するステファニア・ガルシア氏は、Y2Kドレス、アーカイブもののハンドバッグ、装飾が施されたイブニングガウンを週に数回、ライブ視聴者に向けてオークション形式で販売している。

なかには何時間もライブを視聴する人もいる。ガルシア氏はワットノットで2万2200人以上のフォロワーを、インスタグラムでは1万1500人のフォロワーを獲得しており、インスタグラムではインベントリー(在庫)のプレビューや今後のショーの告知を行っている。

「以前はほかのマーケットプレイスに出品していて、写真を撮って、寸法を書き出して待つ、いわゆる静的な出品プロセスをこなしていた」とガルシア氏はインタビューで語った。

「でも正直なところ、私にとってとても退屈だった。もともと販売や人との交流が大好きで、性格的にも明るい。ライブ機能が登場し、もうそれしかないと思った。ビジネスのやり方が完全に変わった」。

約4年前にワットノットに入社して以来、リセールビジネスの年間売上は約2万5000ドル(約375万円)から25万ドル(約3750万円)以上に成長し、すべてがライブストリーム販売によるものだとガルシア氏は語った。

評価額1兆円超、急成長するワットノット



ワットノットはもともとトレーディングカードやスニーカーなどのコレクターズアイテム向けに立ち上げられたが、後にアパレルやアクセサリーにも拡大している。

2025年10月にはシリーズFラウンドで2億2500万ドル(約338億円)を調達し、評価額は115億ドル(約1兆7250億円)に達した。CEOのグラント・ラフォンテイン氏はライブショッピングを「リテールの新しい常識」と表現した

「ファッションは当社でもっとも急成長しているカテゴリーだ。現在では、アプリ上で大きなカテゴリーのひとつになった」と、ワットノットのチーフレベニューオフィサーであるアーマンド・ウィルソン氏は語った。

ワットノットのアクティブユーザーは現在、1日平均95分をアプリ上で過ごしている。同社は2025年に2000万人のユーザーを抱えていると報告した。

そして、このライブ形式はヴィンテージファッションに特に適しているようだ。現行のアパレルとは異なり、ヴィンテージの商品はしばしば説明が必要になる。

「縫製やタグなどのディテールにズームインして、なぜレアなのかを説明できる。静的な商品ページではなかなか伝えにくいことだ」とウィルソン氏は語った。

ライブストリーム販売は、2023年に米国で開始されたTikTok Shopでも勢いを増している。同プラットフォームは急速に成長し、推定158億ドル(約2兆3700億円)規模の米国EC事業に発展した。

2025年には7140万人のアメリカ人がTikTokで買い物をしており、TikTok Shopを通じた売上は前年比120%以上増加したと同社は発表している。

ライブが生む「一点もの」の熱狂



「これまでで最大のショーのひとつは、マンダレー(Mandalay)の大きなロットを手に入れたあとだった」とガルシア氏は語り、同ブランドのスタイルを特集したワットノットのライブストリームについて言及した。

「ビーズ刺繍のシルクドレスやコルセットピースばかりで、とてもY2K的な、ニコール・リッチーやパリス・ヒルトンの時代を彷彿とさせるものだった。あのショーは、これまでで最高の売上を記録したショーになった」。

ガルシア氏はマンダレーのライブストリーム総売上の公表を控えたが、同等のヴィンテージ・マンダレーのドレスは、状態や装飾によって150ドル(約2万2500円)〜500ドル(約7万5000円)で再販されている。

ガルシア氏が販売する衣服の多くは海外から仕入れたもので、特にヴィンテージのイブニングウエアや装飾が施された衣服が見つかりやすいヨーロッパからの仕入れが多い。なかにはデッドストック、つまり数十年前に生産されたものの、一度も着用・販売されなかった商品もある。

「いま、人々はほかの誰も持っていないアイテムを求めている。(パーティーに行って)ほかの誰ともかぶらない、あの1着が欲しいのだ」とガルシア氏は語った。

ライブストリーム形式により、ガルシア氏はそうしたアイテムがショーに登場する前から期待感を醸成できる。

「ヴィンテージでは、本当にワクワク感を高めていかなければならない」と彼女は語った。

「ときには1ドルスタートのオークションを1週間前から宣伝することもある。『十分な視聴者が集まらなければ、まだこの商品は出さない』と伝える。ひとつのイベントになるのだ」。

そうしたイベントは何時間も続くことがある。ガルシア氏は通常、週に2〜3回ライブ配信を行い、ショーの長さは90分から数時間に及ぶ。これまでの最長のライブストリームは約9時間だった。

ライブストリームオークションでは、従来のリスティングよりもはるかに速く在庫を動かせるとガルシア氏は語った。

「静的なマーケットプレイスでは、商品がいつまでもそこに置かれたままになることがある。何カ月も、ときには何年もだ」とガルシア氏は語った。ライブオークションなら、はるかに速く在庫を動かせる。

「150点の商品が入荷したら、1週間以内に売り切ることを目標にしている。たとえ1点あたりの利益が小さくても、在庫を素早く回転させたい。時間はお金だからだ」と彼女は語った。

現在、彼女は月に1000点近くの商品を発送しており、ほとんどが数時間に及ぶライブストリームセッションのあとに行われている。

イーベイも参入。拡大するライブリセール



ほかのリセールプラットフォームも同様のフォーマットを試している。

イーベイ(eBay)は2022年に米国でeBay Liveを開始し、当初はトレーディングカードやコレクターズアイテムに焦点を当てていたが、2025年にはフォーマットを高級時計、ハンドバッグ、ファッションに拡大し、ヨーロッパ全域にも展開した。

ブランドおよびリテール幹部にとって、カテゴリーにもよるが、ガルシア氏やほかのライブストリーマーの成功は、市場の需要形成における商品ストーリーテリングの力を証明している。

イーベイのグローバルファッション部門ゼネラルマネジャーであるカースティ・キーオン氏は、このフォーマットがヴィンテージやラグジュアリーなどのカテゴリーで特にうまく機能すると語った。セラーがリアルタイムで素材や状態を実演できるからだ。

ライブショッピングは「セラーと消費者が、自分が何を売っているのか、何を買っているのかを理解する機会を本当に与えてくれる。素材が何でできているかを見せることができる。静的なリスティングではできない」とキーオン氏は語った。

イーベイでは、ヴィンテージアイテムに対する検索が毎分約1000件行われていると同社は報告しており、リユースに対する消費者の関心の規模を浮き彫りにしている。

ガルシア氏の長期的な目標は、ハウス・オブ・コストゥーラ(House of Costura)を、協力者が24時間体制でショーを主催する継続的なチャンネルへと拡大することだ。

「ワットノットのチャンネルが1日24時間ライブ配信されている状態にしたい。私がいないときでも、ほかの誰かがショーを行っているようにしたい」と彼女は語った。

いまのところ、ガルシア氏はライブストリームを1回ずつ積み重ねてオーディエンスを構築することに集中している。

「ライブ販売を一度経験すると、単に商品をリストアップして待つだけの生活には戻れなくなる」。

[原文:Why vintage sellers are taking resale live]

Zofia Zwieglinska(翻訳、編集:藏西隆介)