(※写真はイメージです/PIXTA)

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3組に1組が離婚する時代。離婚は簡単にできるものだと考える人も増えています。しかし、配偶者を思いやらない行動は、いずれ自分に跳ね返ってくるかもしれません。本記事では、永峰英太郎氏の著書『人はこんなことで破産してしまうのか!』(三笠書房)より一部を抜粋・再編集し、妻の不倫に“周年の復讐”を果たした夫の事例をご紹介します。

妻が浮気…断固として離婚に応じない夫

都内に住む60代の夫婦の関係は冷め切っていた。きっかけは、43歳のときの妻の浮気だ。2人の子供がいたため、離婚にまでは至らなかったが、以来2人は仮面夫婦を演じていた。

夫婦仲が悪かったため、妻は夫の年収を知らなかった。ただ毎月、夫が数十万円を夫婦の共通口座に入れている状況だった。

夫は独身時代から「いつか一戸建てを買おう」と、きっちり貯金をしていた。しかし、妻の浮気を機に、もう賃貸で構わないと考え方を変えていた。それでも貯金は続けており、その額は4000万円を超えていた。

子供が独り立ちすると、2人は別居する。すると夫は、妻への復讐をスタートさせた。まず、離婚をしないことだ。離婚すれば、財産の一部を妻に渡さないといけなくなるからだ。夫は、自分の財産を一銭たりとも渡すつもりはなかった。

妻は離婚を望んだが、拒否した。「お前は浮気をしたんだ。俺の勝手にさせろ」と言えば、妻は何も言い返せなかった。

死んでも妻にお金を残したくない。遺言書を書こうとしたが…

問題は、自分の身に何かが起こったときだ。このままだと自分の死後、法定相続分として、財産の2分の1は妻のものとなる。そこで夫は、遺言書を書こうと考えた。専門家に相談すると、思いも寄らないことを言われる。

「遺言書に『全財産は子供に相続させる』と書いても、遺留分という制度があって、妻は法定相続分(2分の1)の2分の1、つまり4分の1に相当する金額を請求することができるんです」――。

遺産が4000万円ならば、1000万円は妻の手元に渡ることになるのだ。「遺言書なんて意味がないじゃないか。冗談じゃない」と、夫は遺言書を書くのをやめた。

夫の執念がついに妻を破産に追い込む

夫は、金融機関に預けていた4000万円を現金化する。タンス貯金であれば誰の目にも触れないため、妻への相続を阻止できると考えたのだった。4000万円を金庫に入れた。しかし、である。数か月後、隣の家に泥棒が入ると、夫は自宅に大金があることに恐怖を覚える。

そこで夫は、地方の金融機関の貸金庫に目を付ける。規則的には貸金庫に現金を預けてはいけないのだが、「バレはしないだろう」と契約し、こっそり4000万円を入れた。貸金庫のカードやカギなどは、誰もわからない場所に隠した。

しかし1年後、夫は末期がんとなってしまう。医者からは余命を伝えられ、入院すると、あっという間に危篤状態となる。一方妻は、夫に多額の貯蓄があることを知っていた。別居する前、夫の通帳をこっそり見ていたのだ。

夫の末期がんを知ると、妻は贅沢三昧の生活を送るなど散財し始める。消費者金融に手を出すのも気にならなかった。近く遺産が入るからだ。

妻の思惑通り、夫はあっけなく死んでしまう。ところが、意気揚々と通帳のある金融機関に問い合わせをするも、口座は解約されていた。貸金庫の存在はまったく知る由もない。

途端に、妻は借金の返済に追われる身となった。しかし、どうしようもない。妻は破産するしかなかった。

遺留分を渡したくない…「財産を隠す」という復讐

夫婦の財産は、どちらかが亡くなれば、配偶者と子供が相続することになる。子供が2人いれば、配偶者が2分の1、子供は4分の1ずつとなる。

夫婦円満であれば、それでまったく問題はないだろう。しかし、今回の夫婦のように仲が悪い場合は、「あいつには財産を渡したくない」ということになる。その結果、財産を隠すという行動に出るケースもあり得るだろう。

そこで、日頃から相手の口座をチェックし、銀行名、支店名、残高をメモしておきたい。また、銀行や証券会社、保険会社からの郵便物などで隠し財産を把握することも可能だ。

ただし、これらは別居してしまえば知ることは難しくなる点に注意したい。しかし、できるならば夫婦円満を目指してほしい。

永峰 英太郎