進む小学校消滅 新入生ゼロの学校も 少子化・韓国で起きている衝撃の現象
まもなく4月の入学シーズンを迎える。小学校では、真新しいランドセルを背負った子どもたちの姿が見られる季節だ。
しかし、急激な人口減少が進む韓国では、その光景そのものが失われつつある。少子化の最初の影響が、教育現場、とりわけ小学1年生の減少として現れているのだ。新入生がおらず入学式ができなかったり、統廃合に追い込まれる学校も増えている。
日本では学校統廃合は過疎地の問題と受け止められがちだ。しかし韓国では首都圏や中規模都市で深刻化している。その象徴が 大邱(テグ)市だ。大邱は韓国南東部、慶尚北道に隣接する中核都市である。韓国紙によれば、今年の同市の小学校新入生は1万3847人で前年比8.89%減。全国平均(7.98%減)を上回った。
かつて全校児童が2000人を超えていた大邱市内の小学校が、昨年は108人にまで減少し、近隣校との統合が決まった例もある。首都ソウルも例外ではない。一部小学校で初めて新入生ゼロとなって入学式が行えない学校が、ニュースとして取り上げられた。新入生ゼロの小学校は、全国で210校に及んでいる。
背景にあるのは、低い出生率と、青年層の首都圏流出だ。
韓国の合計特殊出生率は2015年の1.24から下落を続け、2023年には0.72まで落ち込んだ。2025年には0.80(暫定値)まで持ち直すと報じられているが、依然として世界最低水準にある。
出生数の絶対的減少は学齢人口を直撃している。教育省の推計では、今年の小学校1年生は初めて30万人を下回る見通しだ。1999年の71万3500人から約30年で半分以下となった。単なる一時的減少ではなく、構造的な人口収縮であることを示している。
一方、地方の中核都市からは青年層の流出が続いている。首都圏は賃金が高く、雇用の機会も多いことから、結婚・出産適齢期の若者が、地方からソウルに移住する。その結果、地方の出生数が減り、小学校の空洞化が目立つのだ。
韓国政府も対策に乗り出している。複数校を統合して運営する「統合運営学校」や、都市部の小規模施設を活用する「都市型キャンパス」など教育制度の再編を進めている。さらに若者流出を防ぐため地方都市で文化・医療施設や公共機関を集中整備する戦略を打ち出している。2025年からは育児休業給付金を大幅に引き上げるなど少子化対策も強化しているが、なかなか即効性はないのが実状だ。
では日本はどうか。昨年国内での新生児(外国人含む)の出生数は70万5809人と、10年連続で過去最少を更新した。地方のみならず都市近郊のニュータウンでも学校統廃合が起きている。
経済的不平等の是正、若者の安定雇用の確保、仕事と育児の両立支援などに本腰を入れなければ、日本でも「小学校の新入生ゼロ」という事態が広がりかねない。
文/五味洋治 内外タイムス
