ヤンキーたちが本気で恋を探す「ラヴ上等」。波乱の現場でMEGUMIが見つけた「恋の原点」

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本作の参加者は全員ヤンキー。刺青姿の男女が、喜びも嫉妬も全身でぶつけ合う恋愛リアリティショーだ。「何をやっても怒られちゃう世の中。そういう時にヤンキーのむき出しの振る舞いを見たら、元気が出るはず」。想定外のトラブルに見舞われ続けた撮影期間。それでも「いいバランスで着地できた」と語るMEGUMIさん。一体どんな波乱が現場を揺らしたのか? その先に見えた「恋の原点」とは?

ヤンキーたちのキュートさ、真面目さ、優しさ

── メンバーの顔合わせから「何見てんだよ」「かかってこいや」と怒号が飛び交っていて、面食らいました。あれは想定内だったのでしょうか。

いえ、全く予想していませんでした。スタッフも困惑していましたから。セキュリティの配置は最初から決まってたものの、こんなにすぐ稼働してもらうとは思っていなかった。

有識者によると、ヤンキーにとって「初手の喧嘩」は仲良くなるための儀式らしいのですが、そんなことわからないじゃないですか(笑)

── 実際、喧嘩のあとに一気に距離が縮まっていた印象があります。

そうなんですよ。最初に「俺はこれだけ強い」というのを示すんだそうです。尾を引かないのが爽やか。

学校が舞台。メンバーは皆、ここで共同生活を送った

── MEGUMIさんは「自分の中にヤンキー性があるからこそ、この企画につながった」と話していました。彼らのような激しい日常を過ごしていたんでしょうか?

いえいえ(笑)。でも、中学の頃は時代性も相まって、身の回りにヤンキーの先輩がたくさんいましたね。彼らほどいかなくても、自分のアイデンティティの中に「ヤンキー性」はしっかりとあります。

私の場合は、ストリートカルチャーに出会ってから路線が変わってしまったんですね。でも、千鳥の大悟さんとお仕事で一緒になった時に「懐かしさ」を感じて。大悟さんは元ヤンではないかもしれないですが、なんだかヤンキーっぽいので(笑)

ヤンキーの方たちって、好き嫌いをはっきり言う一方で、不器用さも同居させつつ優しさに包まれてる。大悟さんがまとう「居心地の良さ」は中学時代に見てきた空気に似ていました。

恋愛が少し面倒…な現代だからこそ響くヤンキーのスタイル

MEGUMIさんは「自分のアイデンティティの中に『ヤンキー性』はしっかりとあります」と断言する

── とはいえ、ヤンキーと「恋リア」って距離のあるキーワードですよね。

今って周りの目を気にして本音を抑え込んでしまう人って多いじゃないですか。「若者の恋愛離れ」も、自分を取り繕うのに疲れていたり、将来性や未来について考えすぎて面倒になっていることが原因だと思っているんですね。

そんな現代だからこそ、ヤンキーが持つ、本音でぶつかり合うスタイルに可能性を感じました。大悟さんとのロケの帰りにマネージャーに「ヤンキーの恋リアってよくない?」という話をしたんです。

── そこからNetflixの企画として形にするのは、なかなか大変そうです。

ちょうどそのころ、別の企画書をNetflixさんに提出していたんですね。私は不参加だったNetflixさんとの打ち合わせの最後に「そういえば、MEGUMIがヤンキーの恋リアを作りたがっていて」という話をBABEL LABEL(MEGUMIさんが所属するコンテンツスタジオ)の社長がポロッと出してくださって。そこからトントン拍子にことが進み、今に至ります(笑)

私としては「見たことがない恋リア」を作ってみたかったので、美術には力を入れました。全部が全部、ギラギラでバチバチ。「素敵な世界」や「ラグジュアリー」は、恋リアの鉄板ですけれど、その逆を行きたかった。

気になる異性とサウナに入る。入る前と印象が変わる"サウナマジック”も巻き起こる

── 主題歌の『Love again』も光ってますよね。

私がglobeさんのことが好きなのは大前提にありますが、ヤンキーな子たちのジェットコースターのような感情の起伏が、90年代のTK サウンドにすごくリンクしてると感じたんです。今の時代には絶対生まれない歌詞。若い子が聴くと新鮮かもしれません。

── メンバーの個性も豊かです。

いわゆる不良系譜の子もいれば、HIPHOPの文脈の子、キャバ嬢にギャル…いろいろ集まってくれました。

参加者には一人ひとり面談させてもらって「『ラヴ上等』では、パートナーを探すことはもちろん、成長して欲しい」という話をしました。彼らには私たちの気持ちを背負って14日間の共同生活を送ってもらいました。

女子部屋で恋バナが盛り上がる

「打ち切りを覚悟」トラブルの連続で

https://youtu.be/_be-K3glWmA?si=WBvhd4BLMo3CuJ60

── そんな14日では、取っ組み合いの喧嘩のほかトラブルもあったようで…。

喧嘩は多少あるだろうとは思っていましたが、毎日、想定外の問題が起きていました。

特に大きかったのが「退学」という名の“退場”が発生した時。撮影は奥多摩だったので、報告を受けてすぐ頭を抱えながら現場まで急いで駆けつけました。「もう番組は打ち切りだな…」と思いましたね。

出演者の子にとっては、一方的に“帰ってください”と告げられる状況。でも、制作側としてはほかの出演者を守る責任もある。

私だけでも、スタッフだけでも、Netflixだけでも判断できない。非常に重い決断を数時間のうちにしなければいけなくて…。Netflixが最終的にGOを出した時は、本当に驚きました。地上波では絶対にできない対応です。

パワーワードが飛び出した「水はヤベェだろ」事件

── 女の子同士のトラブルもありましたね。

女の子の顔に傷がついてしまったので、弁護士の方など思いつく限りの人に相談しました。車の中で「どうしよう」と逡巡しながら向かったのを覚えています。

傷ついた子のケア、傷つけた子のケア。双方の話を聞きながら、どこに着地させるべきなのかを探る。加害側を切り捨てるのではなく、「どうすれば自分を律していけるのか」を一緒に考えてもらうことにしました。

この時は夜遅くまで現場にいたので、近くのホテルに急遽泊まって、翌朝温泉に入って帰りました。胸がぎゅっとなるような、忘れられない日です。

── MEGUMIさんは何回ぐらい現場に行ったのですか?

揉め事が起きたら行くつもりでいたのですが、14日間の撮影で、4回ぐらい現場に飛んでいきました(笑)。重い判断を続ける中で、自分でもよくわからなくなる瞬間がありましたし、彼ら彼女たちの「魂を鎮める」ような役割もしばしばありました。本当にジェットコースターのような日々でした。

現場では本人たちに「揉め事はいいから恋しろよ!」と喝を入れて、「はい!」といい返事が返ってくるんですよ。みんな真面目だから。「はい、じゃないよ。恋しろよ」って(笑)。私自身も思い詰めてしまって、縁結びの神社で祈祷したりしていました。

「どう思われるか」「将来性は…」なんて考えなくていい!

── 怒涛の14日ではありつつ、しっかりとした成長譚のようにも見えました。

そうですね。彼らはいろんな傷をおってるし、同時にいろんな人を傷つけた過去もある。まずはそこにちゃんと向き合ってもらいながら、成長してもらいたかった。恋愛もしてもらいたかったですけれど、もうひとつ走らせたい軸として「成長」は意識していました。

── 彼らと一緒に「ラヴ上等」を作り上げて、MEGUMIさん自身の変化はありました?

素直が一番だと実感しました。恋愛でも仕事にも言えますけれど、本当は自分の中に答えはあるのに「自分がどう思われるか」が先に立って考えがちだったんですね。そうではなくて「自分がイエスかノーかなんだ」っていうことを認識することが大事なんだと、彼らから学びました。

参加者の子たちが、すごい喋るんですよ。こんなに喋る恋リア見たことないってぐらい口を動かす。

彼らは言葉でも拳でもきちんとぶつかりあってるんですね。気持ちが高ぶっている時に、余計なことを考えずに「好き」とか「気に食わない」とはっきり言う。そういうピュアな姿が一番かっこいい。人が 1番美しい姿なんだなと学びました。

40代が見えてくると「もう自分は恋愛なんて」とおっしゃる方もすごい多いのですが、そうじゃない。年齢とか見てくれとか気にせず、本音をぶつけ合う恋愛ってすごく楽しい。Loveをagainしていいんです。

若い子たちにも言えますね。余計なことを考えなくてもいい。今、この瞬間。この1秒の激しさに身を任せてもいい。彼らの今を生きる姿を見て「もう一度、恋したい」と思ってもらえたら嬉しいです。

MEGUMI

めぐみ 俳優・タレント。1981年生まれ。岡山県出身。雑誌やテレビ番組の他、多くのドラマ・映画に出演。2020年2月に映画『台風家族』『ひとよ』で第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。映像のプロデュースも手がけ、コンテンツスタジオ「BABEL LABEL」にプロデューサーとして参加。

information

『ラヴ上等』

喧嘩上等。羅武上等。恋も喧嘩も命懸け! 純度100% 危険度120%。MEGUMIプロデュース、社会のはみ出し者として生きてきた男女11人が、14日間の共同生活で本気(ガチ)の「愛」を学ぶ、血の気たっぷりな新感覚恋愛リアリティショー。Netflixにて独占配中(配信スケジュール:12月9日 からエピソード1〜4、12月16日から エピソード5〜7、12月23日からエピソード8〜10)

写真・飯本貴子 取材、文・嘉島唯