「面白くない冗談」を言ったときの反応を見ればだいたいわかる…人生が上々の人とそうでない人の決定的違い
※本稿は、齋藤孝『上機嫌の魔法』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■「不機嫌に見える」は人生損する
自分では不機嫌にしているつもりはないのに、人から「機嫌が悪そうだね」といわれた経験はありませんか。
それで友だちからなんとなく敬遠されたり、仲間に入れてもらえなかったり。相手が親だったら「どうしてそんな態度をとるの?」なんて注意されたりして、本当に腹が立ってきたり……。
自分では「誤解だ」と思っているかもしれないけれど、自分が「人からどう見えているのか」ということはみんな意外とわかっていないものです。
でも、そんなつもりはないのに不機嫌だと思われたくはないですよね。不機嫌だと人生損をします。実際は不機嫌でなくても、不機嫌に見えてしまうときも同様です。
そこで、ここでは、どんなふうだと不機嫌そうに見えてしまうのか、そうならないためにはどうすればいいのかを一緒に考えてみましょう。
■おもしろくなくても「笑う」効果
おもしろいときは笑って、おもしろくないときは笑わない。それはふつうです。
おもしろくもないのに、そうそう笑えるものではありません。
また、なかには「いつも笑っていると、誰にでもいい顔をしている軽い人間のように思われるからいやだ」と考える人もいるでしょう。
しかし、ふしぎなのは、同じ時間を共有しているのに、笑う人と笑わない人がいることです。
なぜでしょうか。
もちろん人によって「おもしろい」と思う基準が違うということはあるでしょう。
たとえば授業で、ぼくが冗談をいったとき、反応はだいたい三種類に分かれます。
ぼくの冗談がおもしろいと思ったときだけ、笑う人。
冗談だとわかれば、おもしろくなくても、笑う人。
どんな冗談をいっても、ほとんど笑わない人。
しかし、笑う量は多いほうが上機嫌になれる、または上機嫌に見えていいと思っているぼくは、ふだんからあまり笑わない学生に対しては、
「人と話すとき、相手の話がおもしろいかおもしろくないかを、自分で決めないほうがいいよ」
「相手が頑張っておもしろいことをいおうとしているときは、笑ったほうがいいよ」
と、指導しています。
せっかくおもしろいことをいってくれたのに、笑わない人がいると盛り上がらないし、反応がないとどうしてもその場の空気が冷めてしまいます。それこそみんながおもしろくなくなります。
また、そういうときに笑わないと、気むずかしい人なのかなって思われることにもなりかねない。不機嫌なんじゃなくて「ふつうにしているだけ」っていう人もいるけれど、「ふつう」というのは、やっぱりおもしろくなさそうに映ってしまうんだよね。
自分がもし、ふだんあんまり笑ってないなと感じるなら、“おもしろさの基準”を、もう少しゆるくしてみてほしい。

■「リアクション女王」は大変な人気者
お笑いを見ていると、観客のリアクションが場の空気をよくするカギを握っていると感じます。
たとえばM-1の決勝に進出するくらいのコンビでも、観客があまり笑わないときは、出だしからすべってしまうことがある。すると次から次へとすべってしまう。
そういうことがあると会場がシーンとして、芸人さんのほうは緊張がひどくなって悪循環が起きてしまう。
逆に、あたたかい観客だと、ちょっとしたことで笑ってくれるので、芸人さんも気持ちがほぐれて、どんどん調子づきます。結果、ドカン、ドカンと笑いが起きて、会場が上機嫌な空気で満たされるのです。
観客にしてみれば、「笑うためにお笑いを見ている」ところもあるはずです。自分が笑って楽しい時間を過ごすためにも、おもしろさの基準をゆるめて「つとめて笑う」ほうがいい、とぼくは思います。
きみも、誰かがちょっと変わったことやおもしろいことをいったときは、自分がどう思うかは置いておいて、「あたたかい感じで、多めに笑う」ことを心がけてみてほしい。
すごくおもしろかったら、手を叩いて笑うのもアリです。
それだけで自分も気分がいいし、まわりの雰囲気も明るくなります。
ぼくの教室にも、そういう女子学生がいました。とにかくよく笑う。おかげで教室の雰囲気が明るくなりました。
しかも学生たちに「もしきみたちが生徒なら、誰に教わりたいですか」とアンケートをとったら、彼女はダントツで票を集めました。
彼女は「リアクション女王」と呼ばれ、大変な人気者であったことをいいそえておきましょう。
■口数が少ない人は相づちを多くする
口数が多い・少ないは、性格的なことも関係しています。
おしゃべりな人とそうでない人がいますからね。
もちろん、無理しておしゃべりになる必要はありません。口数が少ない人って、「ほかの人がしゃべっているんだから、自分はそこであえてしゃべらなくてもいいや」と思ってしまうやさしい人が多いようにも思います。
ただあんまりだまっていると、まわりに「機嫌が悪いのかな」とか、「話を振ってあげなくちゃいけないな」などと気をつかわせたり、場の空気を重くしたりすることがあります。
そんなとき口数が少なくても、「その場を楽しんでいる雰囲気を出す」コツがあります。
一番簡単なのは、相づちを打つ回数を多くすること。話の合間、合間でうなずきながら、
「そうだよね」
「わかる、わかる」
「へえ、すごいね」
「なるほどね」
「それでどうしたの?」
などと言葉をはさむと口数が少ない感じにならないし、すごく機嫌がいい感じになります。
相づちは打てても、うまく会話に入れなくて居心地が悪いときは、相づちのタイミングで、その流れに乗って、
「そういえばね」とか、
「それ、笑える。同じような話があってね」
などといえば、スッと話に入りやすい。
話している人がしゃべり終わって、ちょっと息を吸う直前に、話のシッポを“バトンタッチ”するようにして、自分がしゃべりだす感じです。
「いつ、しゃべろうか。いまかな。いや、まだかな」
などと迷っていると、入るタイミングを逃してしまいます。ですから、日常の会話のなかで、タイミングをつかむ練習をすることをおすすめします。
■「大縄跳び」のイメージで話のタイミングをつかむ
注意してほしいのは、話の流れを考えずに、横からいきなり割り込まないということ。「話は変わるけど」なんていって、いきなり自分の話をはじめる、みたいなことはしないことです。

これをやると、強引に車線変更をして横入りする車が、それまで順調に進んでいた車の流れを乱すみたいな感じになって、みんなに「なんだかなあ」といやがられます。
タイミングをつかむのが苦手な人は、大縄跳びをイメージしてください。まわっている大縄のなかに、大勢の人が順番に飛び込んでいく、あの大縄跳びです。
前の人が大縄のなかに入ってジャンプしたら、足が地面につくかつかないかの、「ちょっと早いかな」ぐらいのタイミングで飛び込む。あの感覚を思い出すと、意外とうまくいきます。
もっともいまの若い人はしゃべるテンポが速いから、入りにくいかもしれませんね。その場合は、ニコニコうなずいているだけでOK。みんなと同じようにリアクションしていれば、不機嫌な感じにはなりません。
たくさんしゃべろうと思わなくていい。「話に参加しよう」という感覚でトライしてください。
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齋藤 孝(さいとう・たかし)
明治大学文学部教授
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー作家、文化人として多くのメディアに登場。著書に『孤独を生きる』(PHP新書)、『50歳からの孤独入門』(朝日新書)、『孤独のチカラ』(新潮文庫)、『友だちってひつようなの?』(PHP研究所)、『友だちって何だろう?』(誠文堂新光社)、『リア王症候群にならない 脱!不機嫌オヤジ』(徳間書店)等がある。著書発行部数は1000万部を超える。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導を務める。
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(明治大学文学部教授 齋藤 孝)
