この記事をまとめると

BYDのプレミアムブランド「DENZA」のミニバン「D9」がインドネシアでヒット中だ

アルファードの半分ほどの価格ということも人気の要素だといわれている

■実際はアルファードの納車が追いついていないためにD9が多く見えると推測されている

DENZAはアルファードへの刺客となるか

 今回、インドネシアを訪れる前にタイの現地事情通とメールのやりとりをしていると、「バンコク市内ではデンザD9をよく見かけるようになった」との話を聞いたことが、ヤケに脳裏にこびりつくなか、インドネシアの首都ジャカルタとその近郊を訪れた。

 メインの目的となるGIIAS2025(第32回ガイキンド・インドネシア国際オートショー2025)の取材を終わったあと、ショー会場はジャカルタ近郊なので取材後ジャカルタ市内に入ると、噂どおり、ジャカルタ市内でもデンザD9をよく見かけた。デンザ(DENZA/騰勢)は中国BYDオート(比亜迪汽車)のプレミアムブランドであり、D9はそのなかのプレミアムミニバンとなる。地域によってはBEVのほかPHEVもラインアップされているが、インドネシアではBEVのみの設定だ。

 インドネシアにおいては、「高級ミニバン=アルファード」であり、街には日本かそれ以上の頻度でアルファードが走っているのだが、今回の筆者の滞在中では、そのアルファードより多い頻度でデンザD9を見かけたのである。

 現地メディアでは、2025年1月のインドネシアにおけるデンザD9発売から4月までの累計販売台数が3335台となったのに対し、アルファードが1207台であったことを、驚きとともに報じていた。

 インドネシアだけではなく、東南アジア全体でも絶大な人気を誇るアルファード。そのなかでもとくに人気の高いタイでは、かつて韓国や中国ブランドの高級ミニバンが、アルファードの刺客として登場しては勝負を挑むものの、ことごとく敗れていった背景がある。デンザD9の様子を見て、「今度こそアルファードがピンチか!?」とも考えてしまうのだが……。

D9の価格はアルファードのおおよそ半額!

 デンザD9のインドネシアでの価格は9億5000万ルピア(約865万円)、対してアルファードのHEV(ハイブリッド車)は17億3300万ルピア(約1580万円)となっており、ざっくりいえば、アルファードの車両価格はデンザD9の2台分弱となっている。また、BEVはHEVより税制面で優遇されており、これがインドネシアにおいてデンザD9をよく見かける背景になっているのではないかと考えている。

 デンザD9は大手ライドシェアサービスにて、プレミアム車両としても使われている。アルファードも最大手タクシー会社のプレミアム車両として使われてはいるのだが、現状ではアルファードより価格などの面でメリットがあるとして、デンザD9に対するフリートユースや社用車ニーズは、アルファードより高いように見える。

 いままでの刺客も、登場直後は「ヤバッ」と思うほどよく売れているのだが、早々に一過性のブームとして収束してしまっていた。デンザD9もどこまでいまのペースを維持できるかが、今後に注目していく部分となる。

 現地メディアの報道を見ていると、「アルファードは配車が間に合っていない」といったニュアンスの部分もあるので、受注ベースでは大騒ぎするほどデンザD9がアルファードに迫っているわけではなく、アルファードは配車がやや間に合っていないだけであり、依然として王者の貫禄を感じる人気を持続しているようにも見えた。

 また、タイでもいわれていたのだが、このクラスのオーナーはかなりの富裕層となるので、アルファードをメイン所有し、お試しでデンザD9というように複数保有していることも考えられるので、両者の勝敗(果たして同じ土俵にあげていいのかという話もあるが……)は、とりあえずおあずけとしたほうがいいようだ。