記事のポイントSmartNewsは、生成AIを活用して複数記事を多角的に要約する「スマニューAIまとめ」をリリースした。出来事・背景・展望の3点提示、出典元リンクの設置など、信頼性と利便性を兼ね備えた設計が特徴。ユーザーの利便性向上だけでなく、提携メディアへの収益還元という新たな協業モデルも構築している。
スマートニュースは7月24日、生成AIを活用し、主要なニュースを複数の記事から要約するSmartNewsの新機能「スマニューAIまとめ」の提供を開始した。全国紙や民放キー局をはじめとする53の提携メディア(7月24日時点)による記事を生成AIで要約し、ひとつのコンテンツにまとめて提供するのは、国内ニュースアプリ初の試み。この新機能によって、ユーザーには知るべき情報を効率よく把握できる「新たなニュース体験」を、そして提携メディアには「新たな協業モデル」として収益機会の創出を実現する。

限られた時間で「ニュースの全体像」を正確に把握できる

デジタル空間にあふれる膨大な情報から、いま知っておくべき情報を選び出し、内容を正しく把握するには相当な労力が必要だ。なかでも背景がわからないと理解しにくいニュースほど、わかりやすく仕立てられた偽情報・誤情報に惑わされてしまいかねない昨今の風潮を多くの人が肌で感じていることだろう。こうしたユーザーを取り巻く情報環境の変化と生成AIの劇的な進化を受け、「良質な情報を必要な人に送り届ける」ことをミッションとする同社が、「信頼性の高い情報」を「整理した形で届ける」仕組みとして生み出したのが、スマニューAIまとめだ。提携メディアが提供する、速報から最終結果までを続報フォーマットで時系列に並べることや、いくつものレイヤーに分かれた情報をひとつに整理することにより、限られた時間でも正確に全体像を把握できるのが、ユーザーにとっては大きなメリットとなる。SmartNewsのトップ画面に設置された「1分でわかる! AIまとめ」がそれに当たるが、記者発表の場でヴァイス・プレジデント 日本プロダクト担当の村上臣氏は、その特長を3つ挙げた。

?国内メディアが報じる同一テーマの主要ニュースを生成AIが要約し、ひとつの記事にまとめて構成。

?記事の冒頭で、「何が起きたか(出来事)」「なぜ起きたか(背景)」「これからどうなるか(展望)」など、内容に応じた3つのポイントを示し、全体像を提示。

?要約には出典メディア名を明示し、元記事へのリンクを設置することで導線を用意。

ニュースという領域においてAI技術を適切に使うにはどうすればいいのか、良い情報をわかりやすく提供するにはどんな方法が望ましいのかを、共同創業者で代表取締役社長CEOの浜本階生氏とも慎重に議論を重ねたそうだ。その結果、導き出されたのは多くのユーザーに届くことを目的とした、いま知るべきテーマを表示すること。スマートAIまとめでは、あえてパーソナライズされていない、ということになる。続けて村上氏は、「多角的な情報をわかりやすく、短い時間で把握できるこの新機能は、ただのまとめではない」と述べ、全体像を理解できれば、ユーザーは「もっと知りたい」と興味を促され、出典元の記事を読む可能性が高まることにも触れた。

提携メディアにも「新たな収益機会」を創出

スマニューAIまとめの独自性は、新たなニュース体験をユーザーに提供し、良質なコンテンツへの架け橋となるだけでなく、提携メディアとの「新たな協業モデル」として考えられている点にある。「すべての要約にリンクを貼っているので、ページ内で発生した広告収益を、出典元の複数メディアへ還元するところが、(これまでと)いちばん大きな違い。ユーザーが新たな体験をするたび、メディアに収益が還元されるので、新たな収益機会を創出することができる」。こう語ったヴァイス・プレジデント 日本リージョン メディアビジネス担当の洪錫永(ホン・ランドン)氏は、許諾を得た記事利用・生成AI活用の要約作成にも対価が支払われることを紹介。現在提携する53メディアは新聞社、テレビ局、通信社のほか、ビジネスや国際、スポーツなどジャンルは多岐にわたり、必要に応じて、提携メディアの数を増やしていきたいと考えているという。今回ローンチされたスマニューAIまとめは、AI活用の第一弾。この先SmartNewsのAI体験を総称する言葉として「スマニューAI」が使われ、新キャラクター「マーキュリーさん」がAI機能をナビゲートする。同社の強みは、もとから優秀な機械学習エンジニアが揃っていることにあるが、AI開発のディープラーニングにおいても、ベースとなる知識がすでにある人材が豊富なことが、アドバンテージとなっているようだ。スマニューAIの第二弾は、いつどのような形で発表されるのか。村上氏は最後に、「AI技術を活用し、ユーザーのニュース体験を継続的にアップデートしていく」と今後の意気込みを語った。文/山本千尋