(C)円谷プロ (C)ウルトラマンオメガ製作委員会・テレビ東京

写真拡大

60周年を目前にひかえるウルトラマンシリーズの最新作、『ウルトラマンオメガ』が現在放送・配信中だ。作品のテーマとなるのは、「ウルトラマンがなぜ地球を守るのか?」というシリーズ全体にも通じる根源的な問い。地球に落ちてきたオオキダ ソラト=ウルトラマンオメガが、ホシミ コウセイやイチドウ アユムといった地球人たちとの交流の中でどのような答えを出すのかが、今作の大きな見どころだ。

『ウルトラマンR/B』『ウルトラマンデッカー』に続いて、3作目のメイン監督作品となる武居正能監督にインタビュー。企画の立ち上げやキャスティングの裏話、『オメガ』から誕生した新怪獣やOP・EDに込めたこだわりなどを伺った。

>>>『ウルトラマンオメガ』場面カットをチェック!(写真7点)

◆『デッカー』の座組で挑むゼロベースのウルトラマン◆

――メイン監督のお話を聞いた段階で、世界観や設定はどの程度決まっていたのですか?

武居 「カプセル怪獣を出したい」「ウルトラマンに人間の相棒がいる」「防衛隊の話にはしない」くらいで、ほぼ決まっていなかったですね。『R/B』は世界観とかが決まっている状態で入って、『デッカー』も『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』の続編で、『ウルトラマンダイナ』の要素を取り入るという前提があった。そういう意味では敷かれたレールがあったわけですが、今回は完全にゼロベースでした。僕は「ウルトラマンはどうして地球を守るのか?」をメインのテーマにした作品をつくってみたいと、スタッフとしてウルトラマンに参加した頃から考えていて、そこをストーリーの大きな基軸にしました。だからこそ、主人公はウルトラマン自身でないといけないと思って、変身者であるソラトとウルトラマンオメガは同一の存在という設定にしたんです。

――確かにウルトラマンが地球を守る理由をフォーカスするというのは、意外と珍しいアプローチだと感じました。

武居 もちろんストーリー上の大事な部分でもあるから、今までの作品でも描かれていると言えば描かれているんですけどね。たとえば『シン・ウルトラマン』でも、そういうテーマはあったと思います。でも、ひとつの決まった答えが出るような問題ではないし、なぜ無関係な宇宙人が地球を守るのだろうという部分を軸にした作品は、ありそうでなかった。僕の今までの集大成として、ゼロベースから携われた3本目のメイン監督作で、本当に自分がやってみたいことに挑戦してみました。

――シリーズ構成は、『デッカー』でタッグを組んだ根元歳三さん、足木淳一郎さんが担当されています。

武居 シリーズ構成に関しては、僕も村山和之プロデューサーも同意見でした。根本さんと足木さんには村山プロデューサーと二人だけで話をした後、2回目の打ち合わせくらいから入ってもらいました。『デッカー』のときに、二人とも同じ方向を向ける作家さんだと感じて、ゼロスタートでやってみたらどうなるんだろうと思ったんです。選択肢はほかになかったですね。

◆ソラトが地球人たちと出会っていく物語に◆

――今作のメインキャラクターはソラト、コウセイ、アユムの3人で、近年の作品と比較すると人数を絞った印象を受けました。

武居 群像劇のように人数を増やすストーリーの作り方もありますが、個人的にシリーズを通して過不足なく描けるのは、2人か3人だと思うんですよ。『デッカー』は準レギュラー含めて6人いるんですが、メインで描いているのは3人なんですよね。ウルトラマンがなぜ地球を守るのか、ウルトラマンがどう考えているのかに焦点を当てるには、レギュラーは少なくてもいいんです。それに今回は成長ではなく、”変革”を描こうとしていて。ソラトは3話まででもかなり劇的に変わっていますが、周りの刺激を受けることで、ドンドン人格が形成されて変わっていくというお話をやるには第3者、ゲストが必要不可欠なんです。なので、ゲストである普通の地球の人たちと出会うお話を作っていくという、シリーズ構成上の狙いとしてもレギュラーキャストを少なくしています。

――ソラトは普段ぼんやりしていて、戦うときはキリっとするメリハリが印象的でした。

武居 主人公がかわいくて、なんか変な人なんだけど(笑)、決めるところはカッコよく決める、愛されるキャラクターであるというのは大事でした。”変革”を描くという意味で、ソラトは多面性がある人で。少し子どもっぽいところがありつつ、物事を忖度なくバシッと言える、ストレートに感情を表現できるところが、彼の魅力なのかなと。話数を重ねる中で精神年齢が上がっていくので、近藤(頌利)さんはいろいろと考えながら演じていたと思います。

――演技経験が豊富な近藤さんをキャスティングした理由も、ソラトの多面性の表現に期待した部分があるのでしょうか?

武居 もちろんそうです。最初の決め手になったのは目で、近藤さんの目が印象的だったからお会いしたんです。で、実際に話してみたら……これは本当にいい意味でなんですけど、独特な間で話したりして、クセがあるというか、特徴的というか(笑)。そういうご本人が持っている魅力をそのまま役に落とし込んでもらったら、面白いものができるんじゃないかなと感じました。

――ソラトのバディとなるコウセイはメテオカイジュウを操る、いわゆる怪獣使いのキャラクターです。

武居 本来は(『ウルトラセブン』の)モロボシ・ダンがそうであったように、仲間怪獣はウルトラマンが使うべきなんですよ。でも、地球人とのバディなら変身前に心の交流があるだけじゃなくて、戦友にもなってほしいなと。コウセイはいざというときの勇気は持っていますが、秀才というわけでも、メチャクチャ身体能力が高いわけでもない、普通の子なんです。そんな子が怪獣と対峙するときに、何か特別なことを与えないと、バディとしては成立しない。それにウルトラマンシリーズってやっぱり、最後に怪獣をどう倒すとか、助けるとか、防ぐというシチュエーションになって、共に戦った、共に成し得た者が真の友達になるところがあって。怪獣を召喚することならコウセイはできるんじゃないかと考えて、メテオカイジュウ周りの設定を担ってもらいました。

――コウセイがメテオカイジュウを操ることで、守るウルトラマンと守られる地球人の関係ではなく、バディになっていると思いました。

武居 相棒の二人には、同じ立ち位置にいてほしいんです。立ち位置に上とか下とかあると、親分と子分になってしまうので。そのためには、お互いに助けられる何かを持ってないといけないんです。

――吉田晴登さんにコウセイ役をお願いした決め手は?

武居 正直、僕の中では来て3秒くらいで半分くらい彼に決めていました。そういうことって、オーディションをやっているとあるんですよ。多少は自分を作っていると思うんですが、会場に入ってきて、椅子に座って、自己紹介をしているところで、その人の素の部分が見えるんです。コウセイのオーディションは難航して、いい子はいたんですけど、ピンと来る子がなかなか見つからなかったんです。最後の2、3人くらいで吉田さんが来て、お芝居をやってもらったときにもキャラクターについて説明していないのに、熱さや無鉄砲さが滲み出ていて、彼にお願いしました。

――アユムは情報収集などを一手に担う、チーム内での頭脳担当です。

武居 国の機関に所属していて、怪獣に関して詳しい役どころなんですが、ほんわかとしていて、とても気持ちがいい人なんです。ソラトとコウセイのバランスを取るアユムもちょっと変な人で、3人の中にまともな人がいないという(笑)。

――(笑)。学者ながらも、エリート然としていないのが素敵だなと。

武居 そこなんですよね。アユム本人はたまごだと言っていますが、実際には独り立ちはしていないにしても、研究員としてそれなりに成果を出しているはずだから、すごく謙虚なんです。そして、しっかりしているようで抜けているところもある。工藤(綾乃)さんがオーディションのときに、アユムのそういう一面が垣間見える受け答えをしていて、「これだな……!」と感じました。オーディションでお芝居をしてもらったときは最初、ツンデレ系な感じで演じていたんです。もっと明るいキャラクターでやってほしいと伝えたら、「そういうキャラクターだと思っていなかったので、ちょっと意外です」みたいなことを言っていたことも印象に残っています。

(C)円谷プロ (C)ウルトラマンオメガ製作委員会・テレビ東京

◆オープニング&エンディングに隠された仕掛け◆

――1話のグライムは地面、2話のドグリドは水辺、3話のペグノスは空と、パイロット編は各話で怪獣が出現する場所が分かれていましたね。

武居 これは狙ってやりました。前半戦は基本的に地球由来の怪獣なので、空のどこかにいる怪獣もいれば、地中にいる怪獣もいると、いろいろなシチュエーションに怪獣がいることを初めに印象づけたかったんです。怪獣自体にも、何かしらの地球の生き物をモチーフにしているんですよ。グライムはモグラに、トカゲやアルマジロとかを足して割っていて。ドグリドは完全に両生類で、サンショウウオとカエルを足して2で割って、イモリみたいに毒を持っている両生類もいるので体から毒が出てくる。ペグノスは名前の通り、コウテイペンギンとハシビロコウがモチーフになっていて、くちばしはハシビロコウで、ペンギンだから冷たいものが出せると。子どもたちにもわかりやすい、イメージしてもらいやすい特徴や能力にしています。

――ビル街、ダム、山奥と戦いのロケーションが毎回違っていたことも印象深かったです。

武居 そこはこだわってやっていますね。2話はとにかくダムがやりたくて、ダムの話を作ったので(笑)。1話はオメガや怪獣が人目に触れるところを描きたくて、屋上のニュースクルーが撮影しているところとかは丁寧にやりました。1話は大仁市(おおひとし)という、物語の舞台になる東京の片田舎方面にある街に怪獣が出てきて、2話はちょっと離れたところにあるダム、3話は2時間くらいかけて行く場所で、ドンドン規模が小さくなっているのもユニークなところなのかなと。

――OPの『BRIGHT EYES』、前期EDの『Missing Link』について、武居監督からオーダーしたことはありますか?

武居 OPは劇伴を作っているNARASAKIさんが作曲で、気づくかどうかわからないんですが、実は劇伴とOPで似たような部分があるんです。EDはMindaRynさんとOPも歌っているASHさんの共作で、全く異なる個性が混ざり合ってユニットになるというところが、今作のバディものであるという部分に引っかかっています。今回の楽曲はそういう仕掛けが節々にあるので、4話以降を観ていただくと気づくこと、わかることがあると思います。

――最後に、ファンに向けてメッセージを。

武居 『デッカー』で手応えを感じたこともあって、シリーズの間にいろいろな仕掛けをしています。観ていけば観ていくほど「あれってああだったんだ」とか、「ここでこういう展開になるのね」となると思いますし、節目節目で面白い展開を用意しています。オメガが地球に落ちてきて記憶を失っていることには必然性がありますし、地球産の怪獣が多いこともキーになっていくので、なんとなく記憶の片隅にあったら、見え方が面白くなってくるはずです。今後の応援もよろしくお願いします!

(C)円谷プロ (C)ウルトラマンオメガ製作委員会・テレビ東京