アライアンス・フォーラム財団・原 丈人代表理事の「会社は社会の公器、豊かな中間層づくりを!」
「会社は株主のものだという考え方を、アメリカのビジネス・ラウンド・テーブル(BRT)が発表(1997)。わたしはその時、これでアメリカの終わりが始まったと思い、中間層を大事にする資本主義、豊かな中間層のための資本主義を考える必要があると。これを公益資本主義と名付けて理論化しました。これは何かというと、会社は社会の公器だと、株主のものではないんだという考え方です」
こう話すのは、アライアンス・フォーラム財団代表理事・原丈人氏。
豊かな中間層をつくる─。現下の経済を見ると、各国・各地域で経済格差が生まれ、社会に不満・批判の声が渦巻く。
それは世界一の経済大国・米国でも例外ではなく、世界2位の中国でも格差問題の解決は国家的課題となっている。
日本は1990年代初めにバブル経済が崩壊。いわゆる〝失われた30年〟と呼ばれるデフレからの脱却が大きな課題だ。年率2%程度の適正なインフレ目標を掲げ、賃上げによる所得向上で、個人消費を引き上げようというのが、現在の政権与党の政策である。
日本は、人口減、少子化・高齢化というデフレ構造を基本的に抱える中で、日本再生・地方創生という課題も抱える。
なぜ今、公益資本主義なのか? 「それは日本で起きていることを見れば明らかです。株主資本主義というのは、会社は株主のものだという考え方です。それが仮に正しいとすると、取締役会で社長、CEO(最高経営責任者)は株主の利益を最大化するような決定をせざるを得なくなります。例えば、10年間で100億円の株主還元をしても、今度はもっと短期間の中で同じリターンを要求します。これは内部収益率が期間が短ければ短いほど上がる図式ですね」
内部収益率(IRR=Internal Rate of Return)。投資の収益性を評価するための指標。投資によって得られるキャッシュフローと、投資額の現在価値が等しくなる割引率を示す数値で、このIRRの数字が高ければ高いほど投資効率が良いとされる。
例えば5000万円の元手で2億円を稼ぐという場合、研究開発段階から手がけ、10年かけてそれを実現させたとなると、内部収益率は15%。ところが、自社で研究開発せずに、他社から買ってきた技術を用いて、利益を5年で実現すると、32%という数字になる。さらに、M&A(買収・合併)などで、1年という短期間で目標を達成するとなると、IRRは300%という数字になる。
「ですから、米アップルなども研究開発は最初からやらないでしょう。他所から(技術を)持ってきたりする。それが、オープンイノベーションです」
原氏は、オープンイノベーションは投資で得られる収益の短期化を加速させるとの認識を示し、「オープンイノベーションはきれいな言葉のようにも聞こえますが、短期収益モデルとも言えます」と問題視する。
とにかく、M&Aなどで収益の短期化を図り、さらに1年以内で収益の最大化を図るといった動きが加速する。
「そうなるとまさに投機です」と原氏が続ける。
「不動産投機でもそうですが、バブルを生みますし、バブルは必ず破裂します。バブルが破裂した後はゼロサムゲームで、中間層の富が富裕層に行き、超富裕層を形成すると同時に、中間層が没落して貧困層になるという分断された社会になってしまう」
そうした弊害を生まないためにはどうすればいいのか?
「会社は株主のものだという人がいるけれども、これはとんでもない間違いです。会社は株主のものだけではない。あくまでも、株券という権利を持つ者が株主なのだと。会社は株主のものだという人は勘違いをしている。ファンドや経営者の中にも勘違いしている人がいますね」と原氏は株主の立ち位置を明確にすべきだと語る。
