自然が豊かな皇居には、春になるとふきのとうや蕨、つくし、よもぎや筍などがかわいらしい姿を見せる。緑の芽吹きのなかを散策される陛下や美智子さま、皇族の方々は摘み草を楽しまれる。たくさん摘まれた旬の食材は、他の宮家に「お福分け」されるという。それは幸福を分かち合うお気持ちの表れなのだ。そうして、皇居のお庭産の旬の味覚が食卓を彩る。今回は「お福分け」のお心を大切に、ひと工夫して調理したつくし料理の物語である。