WEリーグと渋谷がタッグ結成。ポジティブな化学変化を期待したい。写真:砂坂美紀

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 JFAハウスの移転に伴い、WEリーグは渋谷に拠点を移した。

 飯田橋と水道橋の中間点にあるJFA(日本サッカー協会)の近くでも、丸の内のJリーグの近くでもないが、たもとを分かったというわけではなく、連携できる体制をとりながらの複数拠点戦略である。

 新たな拠点として、渋谷を選んだ理由は「多様性・国際性を大切にするカルチャーがWEリーグの理念と合致している」「自由な空間で、固定概念にとらわれない新しい発想をしていくことができる」「国際的にも発信力を強める渋谷との連携で世界に向けてのメッセージを発信できる」「WEリーグが今後アプローチしたい若い世代との親和性がある」などが挙げられた。

 WEリーグは、産官学民の連携組織である一般社団法人渋谷未来デザインのパブリックパートナーともなった。渋谷未来デザインは、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受け入れ)を基本に、渋谷に集う多様な人々のアイデアや才能を、領域を越えて収集し、オープンイノベーションにより、社会的課題の解決策と可能性をデザインしている。

 多くの企業とプロジェクト及びイベントなどで、連携、協力しており、WEリーグも「SOCIAL INNOVATION WEEK」「WOMEN’S WELLNESS ACTION」等への参加を視野に入れている。
 
 こうした活動には「新しいもの」への興味が旺盛な企業、団体も参加している。スタートアップ的な性格の強いWEリーグとは、精神的な親和性があると考えられる。将来を見据えた、スポンサー候補との出会いが生まれる可能性もあるのではないか。

 渋谷区の長谷部健区長は、WEリーグとの連携協定の意義を「素敵な機会、期待してわくわくする内容です」と語り始めた。まず、WEリーグと同様に、渋谷区も「ちがいをちからに変える街」というスローガンで、多様性、ダイバーシティを推進している自治体であり、重なる部分がある。

 そして、長谷部区長が特に期待するのは「子どもたちのスポーツ」について。「中学生での女子のスポーツ離れ」や「なかなかスポーツをする場所がない」という問題に対して、部活支援や地域の総合型クラブへの移行、そして将来的な校庭、プールの開放なども検討している。

 そうした場所で、WEリーグに「トップオブトップの姿を見せてもらい、子どもたちが憧れる姿を示してもらうだけで、街の活力になる」(長谷部区長)。

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 郄田春奈チェアも、渋谷区に対して最も寄与できる部分を、サッカーが持つスポーツとしての魅力と捉え、女子サッカーという切り口から、楽しい時間、心豊かな生活につなげてもらいたいと考えている。

「サッカーは世界中で愛されている競技。渋谷区に住んでいらっしゃる方、渋谷区を訪れる方に、サッカーのもう一面である女子サッカーを楽しんでいただくこと。サッカー教室などを通して、みんながワクワクできるような時間を提供できるんじゃないかなと思っています」(郄田チェア)

 また、長谷部区長が語っていた部分に応える施策も用意されている。

「渋谷区に女子サッカーができる場所を作っていく。世界で活躍する選手もたくさんいるので、著名な選手によるあらゆるスポーツの交流会を開催する。渋谷の方々に女子サッカーに触れることができるイベント、具体的には国立競技場で行なわれるWEリーグカップの決勝戦にご招待させていただくようなことを考えています」(郄田チェア)。
 
 そして、7月上旬には、なでしこジャパンの壮行会、中旬には、なでしこ広場の開催が、渋谷区で予定されている。国際的な発信力の強さという部分は、WEリーグが渋谷に期待する部分のひとつだ。

「プロスポーツが地域活性化の力になると強く感じている。お互いの理想図を掛け合わせて、一緒になって盛り上げてもらえれば。期待とワクワクでいっぱいです」と長谷部区長。

 WEリーグ×渋谷。このタッグ結成が、両者にとって、ポジティブな化学変化につながることを期待したい。

取材・文●西森彰(フリーライター)