WBO世界スーパーフェザー級王座決定戦、リアム・ウィルソン(左)に攻め込まれるエマヌエル・ナバレッテ【写真:Getty Images】

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WBO世界スーパーフェザー級王座決定戦で思わぬ騒動

 ボクシングのWBO世界スーパーフェザー級王座決定戦が3日(日本時間4日)、米アリゾナ州グレンデールで行われ、エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)がリアム・ウィルソン(豪州)に9回TKO勝ち。4回にKO負け寸前のダウンを喫しながら大激戦を演じ、逆転で3階級制覇を飾った。しかし、敗れたウィルソンは4回のダウンについて明らかに時間稼ぎしたナバレッテと主審に猛抗議。地元メディアも「ライバルを救う27秒のカウントで散る」と擁護した。

 問題となったのは4回。ナバレッテはウィルソンの左フックを浴び、猛ラッシュを食らってダウンした。仰向けに倒れ、ロープを掴んで立ち上がったが、ダメージは色濃かった。そして、カウントが6秒を過ぎたあたりで口からマウスピースを吐き、それがキャンバスに転がった。にもかかわらず、それを拾うことなく、代わりに拾った主審に促されて再度、口に入れたが、どんどんと時間は経過していった。

 この場面について、米スポーツ専門局「FOXスポーツ」豪州版は「豪州のスター、ライバルを救う27秒のカウントで散る」と題した記事で、明らかにダメージを受けたナバレッテが故意にマウスピースを吐いたと指摘。「明らかな時間稼ぎだ」と糾弾し、ダウンから再開までに27秒かかったとした。

 ここを耐え凌いだナバレッテは徐々に回復。逆に9回に強烈な右カウンターでダウンを奪い、さらに連打を浴びせたところでレフリーが試合を止めてTKO勝ちに。大逆転勝ちに会場も騒然となった。ただ、「FOXスポーツ」豪州版の記事によると、敗れたウィルソンは納得がいかず、試合後は「彼は完全に弱ったように見えた。冷静さとメンタルを取り戻し、回復するために時間稼ぎをするのは恥ずかしい」とナバレッテを糾弾したという。

 当該シーンについて「(立ち上がった後に)彼はマウスピースを吐き出した。数秒を買ったんだ」「30秒近くもあった」「それはフェアだとは思わない、正しいことではない」「(審判は)相当長い時間を取り、彼が再び自分の手段を見つけるには十分だった」とすぐに試合を再開させなかった主審を含めて猛抗議。勝利が奪われたのかと問われると、ウィルソンは「27秒というのが本当なら、それは強盗ということだ」と怒りを隠さなかったという。

 米興行大手「トップランク」公式ツイッターとインスタグラムが公開した決着シーンの動画にもファンからは「ナバレッテに15秒カウントを与えた審判は牢屋に入れるべき」「ウィルソンは第4ラウンドにKO!!」「勝負は第4ラウンドで終わっていた」などと主張する声もあり、後味の悪さが残った。

(THE ANSWER編集部)