12日、ワールドカップに向けて道路の制限や地下鉄駅の出口規制が始まっているドーハで、日本代表は前日に引き続き国内組7人がピッチで汗を流した。この日の練習時間は約1時間と、前日に比べると約30分短くなった。明日からは海外組も少しずつ合流した上でのトレーニングとなる。

練習後、相馬勇紀が報道陣の質問に答えた。

相馬は東京五輪の際、負傷を抱えていた三笘薫に代わって左サイドのウイングとして活躍。だが五輪後は三笘が日本代表で活躍したのに対し、相馬が招集される機会は少なかった。それでも7月のE-1選手権でMVPに輝き、さらに9月のヨーロッパ遠征でも存在感を見せてワールドカップメンバー入りを果たしている。

もっともワールドカップでは、ヨーロッパで活躍する三笘か久保建英がファーストチョイスになり、相馬は交代出場となる可能性が高いだろう。

本人も十分に自分の立場を理解している。そして自分と三笘との違いをどこに生み出すか、明確な答えを持っている。

「(久保)建英や(三笘)薫のよさはドリブルが、僕はどちらかといえば相手守備ラインの裏をまず狙ってランニングすることが多い」

「薫は足下で受けて仕掛けるのがうまいタイプ。また足のアウトサイドで持つのが得意。僕はインサイドで持っていくのが得意なんで、持ち方の違いがある」

相馬はさらに立場の違いを生かして躍動するのを目論んでいる。

「(国内組の)僕は他の選手に比べたら相手が持っている情報が少ないと思うので、特に一つ目のプレーを大切にして、一気に畳み掛けてそこで得点を取るところを意識していきたい」

この日、練習開始時のランニングで最初に先頭に立ったのは長友佑都と谷口彰悟だった。だがすぐに相馬が「師匠」と呼ぶ長友の隣に位置取り、何かを聞きながら走っていた。いつも大きな夢を語る長友に刺激されたのか、相馬は並々ならぬ野心も口にした。

「全ての試合で点を取ったら一気に評価が変わる。試合で何ができるかなので」

【文:森雅史@ドーハ/日本蹴球合同会社】