スマホの「自分で修理」時代が解禁? アップル、グーグル、サムスンがパーツ&サービス提供開始へ

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スマートフォンはコミュニケーションからゲーム、決済まででできる万能な便利ツールだ。
しかし便利過ぎるが故に、スマートフォンが故障した場合は非常に困るうえ、対応が超面倒でもある。

最悪、本体の電源が入らないといった致命的な故障の場合は修理に出して徹底的に直してもらわないとならない。

しかし、本体に傷が入った、画面の保護ガラスが割れた、これくらいは自分で治せたら・・・。そう思ったことはないだろうか?

実は修理のためにキャリアやメーカーの店舗に行かずとも、街中には独自に修理を行う修理店が多数ある。
こうした街の修理やさんは安価で手軽に直せる反面、非正規パーツを使うために後で不具合が発生する可能性や、メーカーの正規保証が受けられなくなるリスクが発生してしまう。

とはいえ年々、
・自分で買ったものだから自分で正しく修理したい。
・昼間は時間が無いため、夜に自宅で修理したい。
こうした「修理する権利」を主張する声が海外では高まっている。

そこで大手メーカーの一部は正規の補修パーツをユーザーが受け取り、自分で修理できるサービスを2022年から開始する予定だ。

アップルが開始する「Self Service Repair」では、ディスプレイ、バッテリー、カメラなど最も故障や破損の多いパーツから利用できるようになる。それ以外の修理パーツは下半期以降に提供される予定だ。
詳細なプログラムはまだ発表されていないが、おそらく診断アプリをiPhoneにインストール後、故障部分を確認してからそのパーツを申し込む、という形になると思われる。


アップルの「Self Service Repair」


ただし、このサービスが始まったからと言っても、誰もが自宅でiPhoneの修理を「簡単に」できるわけではない。

アップルはプレスリリースの中で
「customers who are comfortable with completing their own repairs access to Apple genuine parts and tools」
すなわち自分で修理に慣れている人に純正パーツやツールを提供する、と述べている。

スマートフォンに限らず家電などでも、自分で修理できるようなものがあったとしても、慣れていなければ業者に頼んだほうが、安全で安心だ。

スマートフォンの修理も同様であり、例えば以下のように面倒な作業や道具が必要になる
・ディスプレイの交換:特別な吸盤でディスプレイを引きはがす必要がある。
・バッテリーなど内部パーツの交換:場合によっては接着剤をはがすヒートガンが必要。

アップルがまもなく始めるサービスも、電気工作に慣れている人や、あるいは個人で修理店を開いている人がターゲットになるようだ。

このようにスマートフォンの修理は誰もが簡単に行えるわけではないのだが、海外では最初から自分で修理できるスマートフォンも実は販売されている。
オランダのFairphoneのスマートフォンはねじ止めで本体が組み立てられており、背面カバーやバッテリーも取り外し可能。カメラモジュールなども別途販売されており、ユーザーが自分でパーツを買って交換できる。
Fairphoneは地球環境にやさしいスマートフォンを目指しており、ソフトウェアの5年アップデート保証などを長期間使えるスマートフォンの提供を行っている。


自己修理を考えて設計されているFariphone


しかし、そもそもスマートフォンは自分で修理できるものなのだろうか?

Fairphoneの分解図を見ればわかるが、内部パーツのほとんどがモジュール化されている。
つまり機能ごとのパーツは一体化した部品となっており、本体のフレーム内の窪みや所定のスペースにそれらパーツを配置して組みあげられている。
所定の場所(窪み)には、ほかのパーツへつながる端子も埋め込まれているため、はめ込むだけで電気的にも接続される。

Fairphoneに限らず、そもそも現在のスマートフォン内部はすき間なくあらゆるパーツが埋め込まれるように設計されており、もはやパーツ同士をはんだ付けするような構造にはなっていないのだ。

さてアップルだけでなくサムスンとグーグルもiFixit社と提携して修理パーツの提供を始める予定だ。

iFixit社は、スマートフォンなどの分解ビデオを公開するとともに、修理のしやすさの指標を数値で表している「修理のプロ集団」である。
メーカーのサポートに頼らず独自に端末を分解・再組立てするノウハウが大手スマートフォンメーカーの目に留まり、補修パーツ提供を共同で展開することになったというわけだ。
iFixitが分解マニュアルやビデオを公開するようになれば、個人での修理の敷居も大きく下がるだろう。


グーグルやサムスンのスマホも自宅で修理可能になる


日本ではスマートフォンを修理する業者の登録修理業者制度や、業界として資格を設けるなどの動きがあるが、メーカー側が個人修理を解放するのであれば、ぜひ個人での修理も解禁してほしいものだ。




執筆 山根康宏