今季初黒星から2連敗――清水の現在地は? ポジティブな要素も多く、戦い抜く“タフさ”は備えている
まず横浜戦に関しては、内容的にも完敗だった。
平岡監督は「(負けなしで来ていたことは)僕自身は気にしてなかったし、逆に(横浜に)完膚なきまでにやられたことによって、選手たちも今、何をやらなきゃいけないかということを感じたと思います」と9日の練習後に振り返っていた。
試合の入りに関しては、「おそらく相手は、前からプレスを掛けて奪うということを考えていたと思うので、選手たちにもシンプルに背後を狙っていくことを意識させて、まずしっかり守備から入ることが大事だと思いました」と指揮官はイメージしていた。
「でもそればかりでは、なかなか攻撃の形にならないので、繋ぐところは繋ぐことを意識しながら」という部分は、実際の試合展開とも一致した。
立ち上がりはロングボールが多くなり、それに伴ってボールを持たれる時間が増えたが、徐々に後方からパスを繋いでポゼッションするシーンを増やしていく。その過程でポジティブだったのは、押される展開になっても焦りは一切なく、我慢強く戦いながら少しずつ流れを引き寄せていったことだ。そこだけを見ても、横浜戦を引きずっていないことは確認できた。
前半終了間際のオウンゴールでの失点は痛かったが、その後も慌てることなく徐々に自分たちの流れを作っていき、54分には狙っていた形から郄橋大悟が清水での初ゴールを決めて同点に。その3分後に再び失点したが、74分にベンジャミン・コロリがビッグチャンスを迎え、これを決めていれば結果もどうなっていたか分からなかった。
83分に一本のパスで裏を取られて失点し、最終的には1-3。シュート数でも枠内シュート数でも相手を上回っていたが、平岡監督は「3点とも簡単に失点してしまい、それが敗因かなと思います」と振り返った。
ただ、C大阪の2得点に繋がった左SB・山中亮輔の左足クロスは、ワールドクラスのスピードと精度だったので、ゴール前での個のクオリティの差が勝敗を分けたとも言える。
こうして振り返ると、同じ2点差でも横浜戦とC大阪戦では負け方の質が異なる。今節のようにどちらに転ぶか分からない試合はシーズン中に何度もあり、そこで勝ちきる回数を増やせるかどうかで最終順位は大きく変わってくる。
その意味では、平岡エスパルスは昨年から五分五分の戦いで負けない粘りや勝ち切るエネルギー量を見せてきた。そこは平岡監督になってチームが変わった部分でもある。連敗したからといって指揮官が方向性を変えることもないだろう。
エースのチアゴ・サンタナをはじめ、カルリーニョス・ジュニオ、西澤健太ら攻撃の重要な駒を欠いていることは“勝ち切る力”という面ではかなり不利な要素だ。そのなかで今は、成長著しい20歳の鈴木唯人(今季ここまで2得点)や新加入の神谷優太(今季ここまで3アシスト)らが不利を補う働きを見せ、結果に繋げている。
たら・ればの話になるが、そこにT・サンタナが復帰し、獲得が発表されたオ・セフンが合流したときにどんな化学反応が生まれるのか。松岡大起やヘナト・アウグストが怪我から復帰すれば、前向きでボールを奪う回数が増え、得意のカウンターもより威力を発揮するだろう。
また試合の翌日、13日に行なわれたJエリートリーグの湘南ベルマーレ戦では、栗原イブラヒムジュニア、千葉寛汰、川谷凪ら若い攻撃陣や、後藤優介が爆発して8-1の大勝を収めている。
もうしばらく苦しい状況が続くという覚悟は必要だろうが、自分たちを曲げずに戦い抜くだけのタフさは、指揮官も選手たちも備えているはずだ。
取材・文●前島芳雄(スポーツライター)
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