井上尚弥【写真:荒川祐史】

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決勝のリングアナを務めたフローレス氏「まさに伝説の一戦でした」

 ボクシングのワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSSのバンタム決勝はWBA&IBF王者・井上尚弥(大橋)がWBAスーパー王者ノニト・ドネア(フィリピン)に判定勝ち。WBSS制覇を見事に果たした。この一戦を誰よりも間近で見守ったのはリングアナウンサーのレイ・フローレス氏。試合後のリング上でドネアをマットに沈めた左のボディフックを「獰猛」と絶賛したWBSS名物アナは世紀の一戦をどう見たのか。「THE ANSWER」の単独取材で語った。

 WBSSならでは壮麗な白いライティングから赤く照らされたリング。大興奮のゴング前を名調子で盛り上げたのはWBSS公式リングアナウンサーを務めるフローレス氏だった。

「ミナサン、コンバンハ! レディース・アンド・ジェントルマン、グッドイブニング・アンド・ウェルカム・トゥ・スーパーアリーナ!」。美しい声で決勝開幕を告げると、2万2000人の観衆で埋め尽くされた会場は沸き上がった。

 WBSS、そして、23日に行われる世界ヘビー級タイトルマッチ、デオンテイ・ワイルダー―ルイス・オルティス戦のリングアナも務める同氏。数々の名勝負を一番近くで目撃してきたが、この試合は別格だったという。

「まさに伝説の一戦でした。接戦でしたが、最終的にモンスターが勝利しました。判定は間違いなく正しい。強い方が勝利した。ですが、この試合でノニト・ドネアはさらなるレガシーを残したと思います。彼は負けはしましたが、彼の名声はこれでさらに高まりました。36歳にしてあのハードな戦い。脱帽するしかありません。彼はモンスター相手に勇敢に戦い抜いた。だからこそ、名勝負が生まれた。あのナオヤ・イノウエに全ての試練を与えたのですから」

 試合後、取材に応じて語ったフローレス氏。19戦全勝のモンスターをギリギリまで追い詰めた36歳のレジェンドの獅子奮迅のパフォーマンスに脱帽した様子だった。

井上の左ボディを絶賛「あのショットは凄まじい。獰猛と呼ぶしかない」

 11ラウンドに井上は代名詞の左フックをボディに沈め、この試合唯一のダウンを奪った。12ラウンドの死闘後、井上の勝ち名乗りを上げたフローレス氏は、モンスターの左のボディフックを「獰猛」と絶賛した。

「あのショットは凄まじい。獰猛と呼ぶしかなかった。イノウエはボクシング界で最も致命的なパンチの持ち主です。ブローが決まれば、十中八九ダウン。試合終了です。それなのに、ドネアが立ち上がった。あの姿は現実のものとは思えませんでした。もはや人間業とは思えない。あのボディフックを受けて立ち上がるのは、人間の粋を超えた超人的な強さと呼ぶしかない」

 フィニッシュブローを受けても、なお立ち上がったドネアの執念に名物リングアナも感銘を受けた様子。さらに「名勝負の連続となったWBSSシーズン2で最も印象に残っているのはこの試合です。文句なし」と絶賛した。

「この試合は年間最優秀試合の筆頭候補でしょう。特にあの11ラウンドは狂気です。イノウエは眉の下をカットして流血していた。視界を奪われながら素晴らしい戦いを見せ、ドネアはダウンを喫しながらも戦い抜いた。試合はまさに一進一退。イノウエのビッグヒットが決まった。オーマイガー、普通ならドネアはもう立ち上がれないところ。美しきバイオレンス。私はこう言いたい」

 ボクシング界の数々の名勝負の生き証人となってきたフローレス氏も感動した頂上決戦。ボクシング史に残る一戦としてファンの間でも語り継がれることになりそうだ。(THE ANSWER編集部)