希少な南の島豚を使った「あげづき」の「特上ロース」(2592円)

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 食欲の秋とくれば、極上の旨味が溢れ出るグルメを頬張りたくなる。そんなとき、肉よし、衣よし、香りよし、の三拍子で満足させてくれるのが「とんかつ」だ。絶品のとんかつを提供する名店を7店、紹介しよう。

【写真】銀座にあるとんかつ檍の絶品ロース

【あげづき(飯田橋)】

 飯田橋駅にもほど近い神楽坂の名店・あげづきは、探し求めた肉の中でも最高級と店主が胸を張る宮崎県産の希少種「南の島豚」を使用。この肉の脂は融点が低く、胃もたれが少ないという特徴がある。噛むとホロホロとほぐれていくような柔らかな食感。2層になった脂からは、肉汁がジューシーに溢れ出し、上品な肉の甘さが、口の中に広がっていく。

 繊細な柔らかさを実現するために、じっくりと時間をかけて火を通している。油の音も鳴らないような低温で30分ほどかけて揚げた後、約180度の高温でさっと揚げる。こうして油を切り、余熱をかけてから供する。時間をかけることで、柔らかくなるだけでなく、肉の旨味も増すという。

●住所/東京都新宿区神楽坂3-2山ノ内ビルB1
●営業時間/月、水〜金:11時半〜14時、18時〜21時半(L.O.)、土:17時半〜21時半(L.O.)、日・祝:17時半〜20時半(L.O.)
●定休日/火・第3水

【とんかつ檍(あおき)銀座店】

 脂の中に閉じ込められた甘味がじゅわっと口の中に広がる肉は、千葉県産の林SPF豚を使用。ソースをつけても美味いが、この甘味をより濃厚に味わいたいなら、塩がおすすめだ。

 分厚い肉なので、油の中で8割ぐらいの火入れをして、残りは余熱で仕上げるというスタイル。最後の一切れまで柔らかな食感が保たれるよう工夫している。

 パン粉には、専門業者の生パン粉を採用。配合は企業秘密だが、香り高く、揚げた時の香ばしさが際立つ。サクサクとした独特の歯ごたえがたまらない。豚汁にも林SPF豚の木っ端肉が使われており、豚の甘みが味噌の香りをほどよく引き立てる。

●住所/東京都中央区銀座8-8-7 第3ソワレ・ドビルB1
●営業時間/火〜土:11時〜15時、17時〜20時
●定休日/日・月

【とんかつ 成蔵(なりくら)】(南阿佐ヶ谷)

 今年3月の閉店がニュースにもなった高田馬場の行列の絶えない超人気店「成蔵」の店主が7月、南阿佐ヶ谷に移転オープン。完全予約制になったが、伝説店の復活に予約困難な状態が続く。一番人気の「TOKYO X シャ豚ブリアンかつ定食」は、旨味の強いサシが入る銘柄豚「TOKYO X」のヒレ部分の真ん中の最も柔らかい希少な部位を使用。

 110度の低温から徐々に温度を上げて絶妙な加減で揚げた後、余熱で約5分休ませ、内部をロゼ色、ジューシーに仕上げる。

 サクサク、フワフワの衣は口の中で淡雪のように溶けていき、肉厚なのにほろりとほどけるほど柔らかな肉の旨味もたまらない。岩中豚、雪室熟成豚など、他の銘柄豚も美味。

●住所/東京都杉並区成田東4-33-9
●営業時間/11時〜13時30分(L.O.)、17時半〜20時(L.O.)
●不定休

【銀座かつかみ(銀座)】

 日本初のコース専門のとんかつ料理店として昨年8月に開店。厳選した国産豚の様々な部位のかつをコース仕立てで提供するのは、揚げたての最高に美味しい瞬間に各部位の異なる旨味や食感、香りをとことん楽しんでもらうためという。

 主に使うのは、肉の旨味と脂の甘味のコクのバランスが抜群の山形県産ブランド豚「米澤豚一番育ち」。その各部位が入る「夜のBコース」では、メンチカツを含め6種類のジューシーで柔らかなかつを堪能できる。

 断面に浮かぶ透明な肉汁を吸うと凝縮した旨味が広がり、恍惚となる。一口目はそのまま豚本来の風味を楽しみ、次はヒマラヤの岩塩で食べるのがおすすめだ。

●住所/東京都中央区銀座5-6-10 銀座ミヤコビル5階
●営業時間/11時半〜14時(L.O.)、18時〜22時(18時スタート、20時スタートの完全予約制)
●定休日/年末年始、お盆

【とんかつ ひなた(高田馬場)】

 店をオープンする前、プロデューサーの眞杉大介氏は70〜80種類の豚肉の銘柄を食べ歩き、14種類のハーブが入った漢方飼料で育てた宮城県産漢方三元豚に決めたという。養豚場と直接連絡を取り合い、飼育にまで関わるというこだわりようだ。おすすめは全部位を楽しめる「食べ比べコース」。少しずつ広がる食べ比べだが、「元祖はうちです」(眞杉氏)。

 まずは上リブロースを何もつけずに、脂身の断面を舌の上に乗せるようにして食べると、上品で驚くほどの甘味が口一杯に広がる。続く上ロースは「あまみの塩」、上ヒレは「インカ天日塩」との相性が抜群だが、塩にオリーブオイルを加えると肉の旨味が際立つ。

●住所/東京都新宿区高田馬場2-13-9 鈴木ビル1階
●営業時間/月〜土:11時〜14時半(L.O.)、17時〜21時(L.O.)
●定休日/日

【のもと家(大門)】

 鹿児島県産の高級黒豚「六白黒豚」をメインで扱う。サツマイモで育った豚肉は、脂身がほんのり甘く、サッパリしているのが特徴だ。名物は約4cmの厚さの厚切りロースかつ。中粗挽きのパン粉をまぶし、中温で20分ほどかけてじっくり揚げる。衣はサクサクで、きめ細やかな肉は驚くほど柔らかい。

 ソースや塩で食べるのもいいが、茎わさびと甘い鹿児島醤油を合わせるのもおすすめ。主役を引き立てる名脇役もそろう。野菜たっぷりの豚汁に、艶やかで粒感がしっかり残るご飯。手作りのポテトサラダからお新香にいたるまで、味に一切妥協はない。

●住所/東京都港区芝公園2-3-7 玉川ビル2F
●営業時間/月〜金:11時半〜14時(L.O.)、17時半〜20時(L.O.)、土:11時半〜14時(L.O.)
●定休日/日・祝

【ぽん多本家(上野)】

 宮内庁大膳寮で腕を振るっていた島田信二郎氏が1905(明治38)年に創業したこの店のカツレツが、とんかつの発祥といわれる。一般でいうロースカツだが、脂身を落として赤身の部分のみを揚げる創業時からの調理法は、他店と大きく違う。今でもカツレツの名にこだわる所以だ。

 豚肉が本来持っている、あっさりした味わいを引き出すために、糖分の低い、やや粗目のパン粉にくるみ、120度から徐々に温度を上げて揚げていく。

 何もつけずに食べても、豚肉の甘味が口の中に広がり、香りがスッと鼻から抜けていく軽やかな食べ心地で、女性でもぺろりと平らげられること請け合いだ。

●住所/東京都台東区上野3-23-3
●営業時間/火〜土:11時〜13時45分(L.O.)、16時半〜19時45分(L.O.)、日・祝:11時〜13時45分(L.O.)、16時〜19時45分(L.O.)
●定休日/月

◆撮影/岩本 朗、内海裕之、中庭愉生
◆取材・文/小野雅彦、上田千春、戸田梨恵、岡野誠

※週刊ポスト2019年10月4日号