イスタンブールの空港で熱烈な歓迎を受けた香川。その柔和な表情に落ち着きが見て取れた。 (C) Getty Images

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 ここ1か月に渡って続いていた交渉がようやく決した。

 現地時間1月31日、ベジクタシュはドルトムント所属の日本代表MF、香川真司をレンタル移籍で獲得したと発表。期間は今シーズン終了までの5か月間だ。

 今冬の移籍マーケットにおける香川の動向はまさに二転三転した。

 プレシーズンにドルトムントの新指揮官となったリュシアン・ファーブルの信頼を得られず、今季ここまでの香川の公式戦出場はわずか4試合で、昨年10月31日のウニオン・ベルリン戦(DFBポカール2回戦)が最後だ。そうした現状を打破しようと、香川は年末に帰国した際、自身の言葉で移籍を明言。今月1日にマーケットが開いてからは、シュツットガルトやフランクフルト、フランスのボルドーなどとの交渉が報じられたが、いずれも進展は伝わってこなかった。

 そんななか、30日にはフランス誌『France Football』が「カガワを迎えることになりそうだ」と、モナコ入りを決定的と報道。だが、同日中に事態は急変する。モナコがトッテナムからフランス人MFのジョルジュ=ケビン・エヌクドゥを期限付きで獲得することが決まったため、香川との交渉は破談に終わったのだ。
 
 マーケットのデットラインが刻一刻と近づくなか、ついに決着の時が訪れる。

 締切日となった31日に香川は急きょイスタンブール入り。同じタイミングでハノーファーがドルトムントとのクラブ間合意を発表したため、一時は情勢が揺らいだが、当人は無事にメディカルチェックをパスし、ベジクタシュの正式発表に至ったのだ。

 文字通り、駆け込みでの加入。ベジクタシュは国内リーグ15度の優勝を誇る名門で、今季はトルコ・リーグで現在6位と出遅れているが、来シーズンのチャンピオンズ・リーグ出場プレーオフ圏内の2位とは勝点5差とまだまだ狙える位置に付けており、後半戦の巻き返しが期待されている。

 注目度はうなぎ上りだ。トルコの日刊紙『Hurriyet』が、「世界的スター選手であるシンジ・カガワがドルトムントからやってきた」と綴れば、同じくトルコ紙『Haberturk』も「ベジクタシュが最後の爆弾を投下した。黒と白の名門は日本人ミッドフィルダーを正式に迎え入れた」と大々的に報じている。

 ようやく決まった新天地で、香川は不遇をかこったシーズン前半戦の鬱憤を晴らせるか。ハイパフォーマンスが待望される。