日本の「アニメ」が海外でも評価されているのは事実ですが、こと「スケール感」に関しては日本のアニメはアメリカにはかなわないようです。FOXテレビが放送しているアメリカの超人気アニメ番組「ザ・シンプソンズ」に出演する声優は、「それ、年収?」と思ってしまうほどの高額なギャランティーを毎週の放送で稼ぎ出しています。

How Much Does The Cast Of The Simpsons Get Paid? | ScreenRant

https://screenrant.com/simpsons-cast-salary-paid/

ザ・シンプソンズは1989年に放送がスタートした番組で、2018年にはなんと30周年を迎えるという長寿を誇ります。架空の街「スプリングスフィールド」に住むシンプソン一家のドタバタな生活を描くコメディ「シットコム」の代表的作品の一つで、アメリカでは「ファミリー・ガイ」などに並んで常にアニメ部門の人気トップに君臨するお化け番組です。これまでにエミー賞やピーボディ賞などを受賞したこともあり、全世界の視聴者数は6000万人以上、これまでに生み出された利益額は10億ドル(約1100億円)レベルとも言われています。

シンプソン一家は、ドーナツとビールが大好物で原子力発電所で働く夫「ホーマー」と、アメリカの典型的な主婦を描いたとされる妻「マージ」、イタズラ好きで常にトラブルを起こす長男「バート」、8歳にして早熟の「リサ」、そしていつもおしゃぶりを加えている「マギー」の5人構成。ここに、近所に住みシンプソン家とそりが合わない「フランダース家」や、ホーマーが勤める会社の社長で守銭奴・極悪人の「バーンズ社長」など個性だらけのキャラクターが絡み合って、毎回ドタバタを引き起こしています。



主要キャラクターを演じる声優は30年近くも全く変化がなく、ダン・カステラネタ(ホーマー、ピエロのクラスティ)、ジュリー・カブナー(マージ)、ナンシー・カートライト(バート)、イヤードリー・スミス(リサ)、ハリー・シェアラー(ネッド・フランダース、バーンズ社長)、ハンク・アザリア(アプー)の6人がメイン声優を務めます。

1989年に放送がスタートした時点では、6人のメイン声優には1エピソードごとに3万ドル(約340万円)の報酬が支払われていましたが、同じ年にはFOXとの間で賃金をめぐる係争が勃発。FOXは替わりの声優を用意して入れ替えると脅しをかけてきましたが、総合プロデューサーのマット・グレイニングは声優側を支持。これによりFOXは報酬を増額することを受け入れ、声優には1998年から2004年までの間、1エピソードにつき12万5000ドル(約1400万円)の報酬が支払われることになりました。



By Roy Patrick Tan

その後、番組が続いて人気が高まるにつれて報酬額はどんどんと上がり、2008年には1エピソードあたりなんと40万ドル(約4500万円)にまで上昇。その後、2011年になると声優陣が報酬の減額に応じて1エピソードあたり30万ドル(約3400万円)を受け入れており、2018年のシリーズ29でもその単価が引き継がれているとのことです。

とてつもない額の報酬であることももちろんですが、それを可能にするだけの番組の製作費にも驚きを禁じ得ないのが、アメリカの人気番組における予算の規模といったところ。長寿番組であるザ・シンプソンズも高騰する製作費に悩まされているようですが、強欲で知られるバーンズ社長もビックリするほどのお金がこの作品に流れ込み、そして出ていっているようです。



By Marcus Linder

◆オマケ

ザ・シンプソンズは、番組冒頭のオープニングに挿入される「カウチギャグ」に毎回違うものが制作されていることもで有名。「本編よりも気合が入っているのでは?」と言われるほどバラエティーに富むカウチギャグの一端は以下のムービーにて。3分45秒あたりでは、ガッチャマンやセーラームーン、ウルトラマンなどに扮したシンプソン一家が登場します。

Couch GAGs in season 11 - 20 - YouTube

また、有名シリーズだけあって世界を代表するクリエーターがカウチギャグを担当することも。世界的映画監督のギレルモ・デル・トロによるカウチギャグは、ホラー調の短編映像作品といった内容に仕上がっています。

Treehouse Of Horror XXIV Couch Gag By Guillermo Del Toro | Season 26 | THE SIMPSONS - YouTube