「人生は、選択の連続である」

かの有名なシェイクスピアが『ハムレット』内で残したこの言葉。それはまさに、私たちの人生を物語っている。

ひとつの選択が、大きく運命を変えることもある。究極の二択のどちらを選ぶかで分かれる、人生の明暗。

あなたは今、ふたつの分かれ道に立たされている。AorB、果たして正解はどちらなのだろうか。




A:絶世の美女だが性格に難ありの女・美玲


幼い頃から、母から強く言われてきた言葉がある。

ー美しくいることが、女の務めである、と。

その言葉通り、私は自分で言うのもなんだが、かなりの美人の類に入ると思う。

小さい頃から我が家では、正座は足が短くなるという理由で禁止されていたし、足がまっすぐに伸びるようにと、ずっとクラシックバレエを習わされてきた。

そんな努力の甲斐があり、まっすぐ伸びた手足を手に入れた。丁寧に手入れしている髪は艶やかに輝いているし、透き通るような白い肌にも自信がある。生まれ持った長い睫毛はエクステいらず。

さらには、チャームポイントの零れ落ちそうなほど大きいと言われる瞳で、数多の男性を魅了してきた自負がある。

そんな私の美貌が周囲から放っておかれるはずもなく、大学時代には当然の如くミスコンに推薦され、優勝した。

就職活動でも、飛躍的な成長を遂げた大手IT企業の社長秘書にすんなりと決まった。誰が見ても顔採用であることは明白だった。

そして、秘書業務として会合に同席した際に出会ったのが、担当社長の経営者仲間である晃平さんだ。

「藤村さんの秘書、すごい美人ですね」

晃平さんが放ったそのセリフは、明らかに私の耳に届くように言われていた。

そしてそこから、晃平さんの猛アタックが始まったのだ。


美人vs中の中。男はどちらを選ぶのか?


Aの主張:女性は、顔が命。美人であればあるほど結婚には有利


今注目の若手経営者として名を馳せている晃平さんは、完全に私にメロメロだった。

デートは、毎回予約の取れない人気店か、都内屈指の高級店。本人はあまりお酒に強くないのに、毎回無理して高いワインを開けてくれる。

「美玲ちゃんを下手な所には連れて行けないからなぁ」

そう言いながら、晃平さんは常に私のことを姫扱いしてくれた。タクシーでの送り迎えに始まり、デートの度にサプライズプレゼントを貰うことも多かった。

「美玲ちゃんは、こういうこと慣れているかもしれないけれど。喜んで貰えたら嬉しいな」

恥ずかしそうに話す晃平さんは、いつも私に緊張している様子だった。

しかし晃平さんに限らず、大概の男性が同じように私の目を直視できない。3秒も見つめると、皆はにかんで目をそらすのだ。

「晃平さんって、可愛いよね。私と付き合いたいならもう少し頑張ってもらわないと、だけどね」

そうからかうと益々照れて赤くなる晃平さんは、やはりどう見ても私に惚れていた。

-女はやっぱり、顔が命。

私からしても、晃平さんは合格ラインだ。

晃平さんと結婚したら、東京でもトップクラスの暮らしができることは間違いない。

家も、車も、教育も。

欲しいものは全て手に入る。女の幸せは、男性がいかに自分にお金を使ってくれるかにかかっている。晃平さんだったら、間違いない。

デートして3ヶ月経った頃、私は自分から晃平さんに持ちかけた。

「付き合ってあげてもいいわよ。」




B:平凡だが気立ての良い女・さと子


昔から、私は容姿に自信がなかった。

決してあからさまに悪いわけではない。可愛い系の部類には入るかもしれないが、クラスで言うなら10番目、いや真ん中くらいだろうか。中途半端な立ち位置だ。

体型も至って普通で、格段華があるわけでもないことは自覚している。せめてもの救いは、「性格が良いね」とよく言ってもらえることだろうか。

そんな中庸の権化であるような私が、幼い頃から両親に言われ続けてきた言葉はただ一つ。

-自立した人生を歩みなさい、と。

その言葉通り私は勉学に励み、公立の高校を卒業後早稲田大学に進学。

学生時代にはバイトをして貯めたお金で1年間留学し、卒業後もずっと語学の勉強を続けている。

就職はインターンを経て幾多のOB訪問を重ね、都内のIT企業に決まった。

小さいけれどやりがいのある仕事に惹かれ、新卒からずっとその会社に勤めている。

忙しすぎてネイルは剥げ、ヘアサロンにも行けない時がある。

でも決して贅沢はできなくても、自分の足で生きていることに誇りを持ってきたのだ。

とある会合で、絶世の美女・美玲に出会うまでは。


女は中身と外見、どちらを磨くべきなのか??


Bの主張:トロフィーワイフより、今の時代は自立している女の方がモテる


美玲に出会ったのは、同じIT業界に身をおく経営者・晃平さんが呼んでくれた席だった。

晃平さんは34歳独身で、大学時代はアメフトの選手。

語学堪能、頭もキレて仕事のスピードは驚くほど早いのに、普段は温厚で優しい。男の人として完璧な晃平さんに、密かな恋心を抱いていた。

会社は違えども業界は一緒ということで、晃平さんは接待の場に度々私を呼んでくれた。

「さと子は頭の回転が早いから。クライアントのツボを心得て話を盛り上げてくれるし、いてくれると安心なんだ」

そんなセリフを昔言われたことがある。当時、一人で暫く舞い上がっていたことは言うまでもない。




ある日、いつものように晃平さんに呼ばれて参加した席に、思わず息を飲んでしまうほどの美女がいた。

それが、美玲だったのだ。

後光が差しているように錯覚させるほど、彼女は一人だけ輝いていた。

「藤村さんの秘書、すごい美人ですね」

晃平さんは、美玲を見て完全に鼻の下を伸ばしている。

-完敗だ...。

言葉にできないほどの衝撃だった。自分とは比較にならない。

女も、自立している方がいいと教わってきた。努力は必ず報われるはずだ、と。勉強して良い会社に入り、他人に頼らずに頑張っていれば幸せになれると信じて生きてきた。

しかも時代は、働く女がカッコイイと言われている。自立していない女は“人としてなっていない”とレッテルを貼られるくらい、仕事をする女性の方がモテるはずである。

しかし、目の前に座る美玲を見ていると、果たしてそれは正しかったのかと疑問が湧く。

「さと子、美玲ちゃんのことどう思う?」

帰りのタクシーで、晃平さんにそう聞かれた時、私はただこう答えるしかなかった。

「お綺麗な方ですね...」

そこから、晃平さんがどんどん美玲にはまっていくのは側から見てもよくわかった。彼女の美貌に惑わされていく晃平さんを近くで見るのは辛く、胸が締め付けられる一方だった。

-女は、顔が全て。

美玲のことを思うたび、敗北感に駆られる。

もう諦めよう。そう思っていた矢先、晃平さんからの一言に動揺し、私の焦りと悲しみはピークに達した。

「この前、美玲ちゃんから告白されて...」

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男女のAorB~回答編〜:外見or中身。女はどちらが大事?