昔から、異性に気持ちを伝える手段として、“手紙”が多く使われていた。

その中には、相手を想う、数々の言葉がつづられている。

時は、2017年の東京。

男性から山のように送られてくるLINEに対して、現代の姫君たちは何を想うのか。

半年ぶりに来た智也からのLINEに対し、一見、普通の反応を見せていた綾子だが、本心は全く違った。

その真相や、いかに。




A1:モテる女は、1日何人の男性からLINEが来ると思っていますか?


智也からLINEが来たのは、水曜のお昼頃だった。同僚の香織と話している時に、LINEの着信音が鳴ったので何気なく開封した。

でも、携帯の画面を見つめたまま手が止まってしまった。

「ねぇ...これ、誰だっけ?」

LINEの名前のところには“智也”と表示されているが、どの智也か分からない。

妙に馴れ馴れしい感じのLINEだが、アイコンに顔写真もないし、2ヶ月前に携帯の機種変更をした際にトーク履歴は全て消えてしまった。

「またぁ?どうせまた、綾子に惚れた男性のうちの一人じゃない?」

Facebookで“智也”と検索するが、ヒットしない。(正確に言うと、何人か”ともや“という知り合いはヒットしたが、きっと違う。)

誰だろう...記憶を手繰り寄せようとするものの、中々思い出せない。だからとりあえず、当たり障りのない会話で返信を送ってみる。




向こうはあたかも当然のようなテンションでLINEの会話を続けてきたけれど、私は、また不思議な感覚を覚える。

-あれ?私この人と、そんなに仲が良かったっけ?


男が思っているほど女はあなたに興味なし?それに気づかぬ男の自惚れ


A2:当たり障りのない会話は、ただの社交辞令


ここで、初めて誰か思い出した。

大学のゼミの同級生・光一の会社の同期だ。確か半年ほど前に、一度だけ、光一と一緒にいる時に飲んだ記憶がある。

たった、それだけのこと。

それ以降仲が良かった訳でもなく、一度飲んだ以来会っていない。久しぶりのLINEのはずなのに、何故かすごく距離感の近い、この会話は何なのだろうか...

確か、智也という人は最初に会った時も強引に女子会に入ってきた。

こちらとしては女子会を楽しんでいたのに、急に隣に座ってきたことを不意に思い出す。

「男性って、出会った女性は全て自分のこと覚えていると思ってるのかな?」




女性は、好きなもの(人)しか記憶しない生き物である


東京で生きている限り、出会いは毎日のようにある。LINEの交換も、何人ともする。

女性は男性が思っている以上に、1日の間にいろいろな男性からLINEを受け取っている。

でも、全員に返信を打っているほど私も暇じゃない。そして何より、知り合った男性を女性側が全員覚えており、仲が良いと思っているわけではない。

そんなことを思いながら返信を送るかどうか考えていると、香織から話しかけられた。

「綾子、最近何か良い食事会ないの〜?まぁ綾子はモテるからいいよね。」

確かに昔から、男性に困ったことはない。でも、実は先月長い付き合いだった彼と別れたばかりで、意外に立ち直れていない自分がいた。

何か、新しいご縁が繋がるかもしれない。そう思い、智也に返信を打つ。




きっと、半年前の私は、彼に何の興味もなかった。でも、彼氏と別れ、何となく誰かとデートしたい気分になっていたし、もしかしたら良いかもしれない。

そう思い、送別会を提案した。


男はデートだと思っていても、女性はただの食事会と思っている?


女性が気になる男性のモノサシ


「綾子ちゃん、こっちこっち!」

指定された『ダブリュー表参道 ザ セラーグリル』はワインが店頭で選べる、ワイン好きにはたまらないお店だった。

肩肘張らないカジュアルな雰囲気のお店で、久々の再会にはちょうど良い。




「光一、シンガポールへ行っちゃうんだね〜」

そんな会話から始まった送別会という名の食事会は、和やかに進んでいった。そして久しぶりに会う智也は嬉しそうにワインを選んでいた。

正確に言うと、自分の世界観を披露していた。

「このワイン、知ってる?やっぱり最初は白ワインからだよね。オススメはカリフォルニアのシャルドネ...」

あぁ、まただ。

「お肉には赤ワインだよね。またカリフォルニアでいいかな?でもやっぱり、二本目はフランスのメルローにしようか。これは口当たりが滑らかで...」

この人は、自分中心に世界が回っている。相手がワインを知らないとは思っていない。

相手が、自分のことを“全く気にもとめていない”など、思ったことはないんだろうな。

女性は、男性の想像以上に様々な男性と出会い、LINEを送り合っている。

その中で、一度しか会っていない男性など段々と記憶の片隅に追いやられていくことを、きっと智也は知らないのだろう。

「智也くんって、ワイン詳しいんだね♡」

更に饒舌になる智也に対し、聞いている側の私は、智也の会話が右から左へ抜けていく。

「来週金曜日、ワインバー行こうよ。」

そうだね、と微笑みながら、距離感の近過ぎる誘い方に少し引く。

“行こうよ”、ではなく、“行かない?”と誘えないのだろうか。

来週の金曜日、私の予定が空いているわけではない。せめて“金曜日、どうかな”と聞いて欲しい。

でも、彼の中で大前提として“自分は否定されない”と捉えているのだろう。自分のモノサシが全てなんだろうな、きっと。

「いいね〜行きたい♡またワインのこと、教えて。」

社交辞令のような返事をしつつ、LINEを開き、たまっているトーク一覧を見る。

今宵もまた、複数の男性からLINEが来ているが、その中に、見慣れない“Shinya”という名前があった。




おかしくて、思わず笑ってしまう。

「誰だっけ...」

男性は、智也のように“自分は仲が良い”と勝手に勘違いしている人が、意外に多いのかもしれない。

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