リンクスインターナショナルは2016年12月1日、エリートコンピューター(ECS)の新製品として、超小型・省電力PC「LIVA」シリーズの新モデル「LIVA Z」「LIVA Z-E」、カメラ付きスティックPC「Smart Camera (スマートカメラ)」、文教・学校法人向けの「小学生用タブレット EG20BA」「お絵かきタブレット TE10EA3」を発表した。発表に先立って製品説明会が行われたので、実機の写真を交えながら、新製品の特徴をレポートする。

インテルの最新省電力SoC“Apollo Lake”を搭載したLIVA Z。LIVA Zベースに2.5インチドライブを組み込めるLIVA Z-Eは法人向けにラインアップ

手のひらサイズのコンパクトなボディと手ごろな価格設定で人気を博しているECSのLIVAシリーズ。最新モデルとして発表されたLIVA Zでは、新たに“Braswell”の後継となる省電力SoC“Apollo Lake”搭載したのが最大の特徴となっている。

インテルの最新省電力SoC“Apollo Lake”を搭載したLIVA Z

インテルの最新省電力SoC“Apollo Lake”を搭載したLIVA Z

“Apollo Lake”は、統合グラフィックがH.265/HEVC(4K/60Hz)のハードウェアデコード/エンコードをサポートした最新の第9世代Intel HD Graphics(Intel HD Graphics 505)になるなど、“Braswell”からパフォーマンスが引き上げられている。これまでのLIVAシリーズだと、要求スペックの高いアプリケーションでの作業や、4Kディスプレイへの表示時にどうしても動作が緩慢になったが、新しいLIVA Zでは、より快適に動作するという。ちなみに、今回の新製品も現行のLIVAシリーズ同様、完全ファンレス仕様となっている。

製品説明会では、各種ベンチマークを使ってこれまでのLIVAシリーズと性能を比較した結果を示し、パフォーマンスの向上を大きく強調していたほか、実機を使ったデモンストレーションでも、統合グラフィックのハードウェアデコード/エンコード機能により、4K動画再生時もCPU負荷が高くならない点などをアピールしていた。

これまでのLIVAシリーズと性能を比較したグラフ

これまでのLIVAシリーズと性能を比較したグラフ

4K動画再生のデモンストレーション。ハードウェアデコード/エンコード機能の搭載により、4K動画再生時のCPU負荷がグッと抑えられている

搭載CPUは、4コア/4スレッドの「Pentium N4200」と、2コア/2スレッドの「Celeron N3350」の2モデルをラインアップしており、それぞれOS搭載モデル(Windows 10 Home 64bit)と非搭載モデルを用意している。メモリーは、DDR3L SO-DIMMスロット×2を用意しており、標準で4GB搭載 (最大16GBまで)。ストレージはeMMC 32GBを標準搭載するほか、拡張用にM.2 SSDスロット×1も用意している。

ディスプレイ出力は、HDMI(1.4b)とMini DisplayPortを各1系統装備しており、HDMIは4K/30Hzまで、Mini DisplayPortは4K/60Hzまでの出力に対応。無線通信機能は、IEEE802.11acとBluetooth 4.0に対応したIntelコンボカードを装備する。このほかインターフェイスとして、ギガビットLAN×2、USB 3.0×3、USB 3.0 Type-C×1、音声入出力用3.5mmコンボジャック、給電用DCポートなどを備える。

本体前面部分には、USB 3.0やUSB 3.0 Type-Cといったよく使うインターフェイスを配置

本体前面部分には、USB 3.0やUSB 3.0 Type-Cといったよく使うインターフェイスを配置

本体背面には、ディスプレイ出力やギガビットLANなどを備えている。ディスプレイ出力に、HDMIだけではなくMini DisplayPortが追加されたのはうれしいポイントだ

発売時期は、Pentium N4200搭載モデルが1月以降、Celeron N3350搭載モデルが1月上旬を予定している。市場想定価格は、、Pentium N4200搭載モデルのOS非搭載版「LIVAZ-4/32(N4200)」が29,800円前後、OS搭載版「LIVAZ-4/32-W10(N4200)」が32,800円前後、Celeron N3350搭載モデルのOS非搭載版「LIVAZ-4/32(N3350)」が23,800円前後、OS搭載版「LIVAZ-4-32-W10(N3350)」が26,800円前後となる(いずれも税込)。

なお、LIVA Zと同等の性能を備えつつ、4つのRS232 COMポートを備えた兄弟モデルのLIVA Z-Eも同時発表された。こちらは、インターフェイスの搭載の関係で筺体の高さが若干増えたことで、筐体下部分に2.5インチサイズのドライブも増設可能となっている。COMポートを搭載した産業用途向けということで、受注ベースで生産予定となっているが、2.5インチドライブを搭載できるのは魅力的だ。こちらもニーズがあれば、一般販売を検討するかもしれない(リンクスインターナショナル阪口氏)とのことだ。

4つのRS232 COMポートを備えたLIVA Z-Eは受注ベースで生産予定とのこと。残念ながら一般販売の予定は今のところないとのことだが、2.5インチドライブが搭載できる点にメリットを感じるユーザーは意外と多そう

世界初のカメラ付きスティックPCや小学生向けに特化した高耐久タブレットPCも

今回行われた新製品説明会では、コンシューマー向けのLIVAシリーズのいほかにも、いくつか新製品が発表された。

まず1つめが、Smart Camera (スマートカメラ)。こちらは、世界初をうたうカメラ付きスティックPCだ。その名の通り、フロント部分に200万画素のカメラモジュールを搭載しており、ディスプレイと組み合わせて顔認証システムやサイネージシステム、遠隔地を結ぶTV会議システムとして使えたり、定点カメラといったセキュリティ用途で利用できるのがウリとなっている。スティックPCとしてのスペックは、CPUがCherry Trail世代の「Atom x5-Z8300」、メモリー2GB、32GB eMMCとやや非力だが、OSにWindows 10をあらかじめ搭載しているので、Windowsベースの顔認証ソリューションを安価に利用できるのが利点だ。ECSの地元の台湾では、レジ前に設置されたSmart Cameraで顧客の性別と年齢を判別し、モニターに最適なインスタント広告を表示するという用途でセブンイレブンに導入されているという。

世界初のカメラ付きスティックPCをうたうSmart Camera。ディスプレイ上部に設置しての利用も可能だ

世界初のカメラ付きスティックPCをうたうSmart Camera。ディスプレイ上部に設置しての利用も可能だ

Windows 10が搭載されており、Windowsベースの顔認証機能を安価に利用できるのが利点

Windows 10が搭載されており、Windowsベースの顔認証機能を安価に利用できるのが利点

2つめは、文教・学校法人向けに展開を予定している11.6型液晶搭載のコンバーチブルタブレット「小学生用タブレット EG20BA」だ。リンクスインターナショナルは、今年4月に文教向けPCを発表しているが、今回の新製品は、用途を小学生向けとよりはっきりさせたものとなっている。小学校での授業で利用することを想定したということで、360度開閉可能なヒンジ設計と手書き入力が可能なスタイラスペンにより、ノートPCとしてだけでなく、タブレットとしても使えるほか、多少乱暴に扱っても大丈夫なように、IP5X等級の防塵耐性や高さ50cmから落としても大丈夫な耐久性も備えたという。

小学生用タブレット EG20BA。インテルが発展途上国向けに展開している「Classmate PC」と非常によく似ている

3つめは、「お絵かきタブレット TE10EA3」。こちらは、ゴリラガラス3を採用したフルHD IPS液晶パネルと、ワコム社製の電磁誘導方式デジタイザを付属し、お絵かきに特化したという製品だ。Bluetoothキーボードが一体となったカバーを付属しており、2 in 1スタイルで利用できるという。こちらも、小学生用タブレット同様、高さ50cmからの落下にも耐えられる耐久性を備えたほか、IP54等級の防塵・防沫性能も備えているという。

お絵かき用途に最適なお絵かきタブレット TE10EA3。Bluetooth接続のキーボードカバーも付いており、2in1スタイルでも利用できる


>> ECSの超小型・省電力PC「LIVA」に“Apollo Lake”搭載モデルが出た! の元記事はこちら