ネット時代の著作権とのつきあい方―ヒントは「iTunes Match」―
5月13日、TPP交渉に参加する12か国が音楽や小説の著作権の保護期間を70年に統一することで合意する見通しだと報じられた。でも、本を出すわけでもCDをリリースするわけでもないから自分には何の関係ないと思っている人が多いだろう。しかし本当にそうだろうか? 私たちが利用するコンテンツにはたいてい著作権がある。

◎そもそも「著作権」って?
著作権とは、わかりやすくいうと、「表現として何らかの形にされたもの」と「その作者を守るための権利」だ。映画や人気アニメなどのコンテンツの違法アップロードが著作権法違反容疑で検挙される、などのニュースもよく聞く。

「自分の作品ではないものを勝手にネットにアップする」ことが違法なのは、感覚でわかるだろう。では見る側はどうだろう? 実は、2010年に改正された著作権法までは、見る側(ダウンロード)は違法とはされていなかった。ダウンロードしたものを再度どこかにアップするなどして、はじめて「違法」となっていた。なお、ここで留意したいのは「動画サイトでそのコンテンツ見る」のは、一般的にストリーミング再生にあたり、ダウンロードを伴わない行為。いわゆる「ダウンロード」とは区別されている。

◎違法かどうかではなく、「コンテンツとその正当な対価」として考えたい

ダウンロードしていないからといって、有料で利用されているコンテンツを無料で視聴し放題する行為が許されるわけではない。正当な対価を払わないということで著作者の権利を侵害していることには変わりないのだから。

5月2日に日本でのサービスが開始された、AppleのiTunes Match。これは、CDなどからPCに取り込んだ楽曲ファイルとマッチしたiTunesストア上の楽曲をiCloudで再生可能にする有償のサービス。音楽好きにとっては待ちになったサービスなのだが、iTunes Matchの新しさは「Magic Money」にある。ユーザーがiCloud上の楽曲をストリーミング再生したり、再ダウンロードしたりする場合、使用料がそのたび著作権者へのロイヤルティとして支払われるのだ。(これを称してMagic Moneyと言う)。Appleから著作権者へ使用料が再分配されるのだ。多くの共有サイトは使用料を支払わない著作権侵害だからNGというのが従来の発想だが、それを再分配する仕組みに転換することでクリアしようというのだ。

iTunes Matchが提示する形が、著作権問題の解決にベストな「解」なのかどうかはまだわからない。しかし、著作権侵害だから共有サイトはNGといってもデータ化や視聴利用の波を止めることはできない。であるなら、この再分配の仕組みは現状でベターな「解」のひとつともいえるだろう。

そもそも利用する側としての私たちは「違法かどうか」「罰せられるから」ではなく、コンテンツには、「正当な対価が発生するのは当然」だと、まずは考えたい。

著作権は自分には関係ないとせず、もっと身近なものとして考えよう。私たちには本もドラマもアニメも音楽も身近な存在なのだから。そして、普段使っているPCやスマートフォンでも楽しめるというのは、この上ない幸福なことのだから。


大内孝子