最終予選は快勝スタートとなった。
 オマーンを3対0で退けた試合後、多くの選手は渋い表情を浮かべていた。長谷部は「あと2、3点は取らなきゃいけなかった」と話し、本田も「つねに4、5点目を狙いにいく、つねに自分たちがボールを保持するスタンスが足りなかった」と振り返っている。

 ただ、この日行なわれた最終予選の残り3試合は、1対0、1対0、1対1というスコアだった。韓国やオーストラリアはまだ登場していないが、3対0という結果は日本の強さを広く見せつけたものだと言っていい。

 勝敗を分けたのは、序盤の入り方だったと思う。立ち上がりの日本は、シンプルにタテパスを織り交ぜてきた。3分に遠藤が自陣から、9分には今野がハーフライン付近から、ゴール前へタテパスを入れた。タテパス一辺倒ではもちろんないものの、サイドからのクロスも早めに供給されていた。

 先日のアゼルバイジャン戦との変化が分かりやすい。キックオフから15分までのボールタッチ数を比較すると、アゼルバイジャン戦は自陣で64回、敵陣で72回だった。合計では136回である。この時間帯のボール支配率は64・3%だった。

 オマーン戦はタッチ数が少ない。自陣で47回、敵陣では43回なのである。合計でも90回で、ボール支配率は56・6%だ。

 特徴的なのは香川だ。アゼルバイジャン戦では敵陣で13回タッチしているが、オマーン戦は5回にも満たない。オフサイドにかかったプレー、ルーズボールの競り合いなどを除くと、実質的なタッチ数は2回である。

 かといって、彼が機能していなかったわけでなく、攻撃が停滞したわけでもないのは、試合内容が証明する。パスワークのみに依存しない攻撃が、実効性を伴っていたことが分かる。オマーンはサイドからの崩しに弱みを抱えており、「経験豊富なDFがふたり、ケガで欠場していた」(GKアリ・アルハブシ)という相手のチーム事情にも照らせば、序盤に圧力をかけるのはきわめて有効な手立てだった。

 この試合で日本が見せた戦いぶりは、ホームチームならではアプローチだ。すべての試合、すべての試合に当てはまるわけではない。

 ただ、オマーンの選手からすると、予想外のテストを受けるような心境だっただろう。序盤からハイプレッシャーを仕掛けてくる日本は、過去の問題集には載っていないものだったからだ。本田の先制弾は、その意味で必然だった。

 8日に対戦するヨルダンにも、日本は難問を突きつけたことになる。次なる来訪者はオマーン戦のデータを洗い直し、新たな対策を迫られているはずだ。試合前の神経戦では、一歩リードである。