去る1月25日、「厚生労働省の集計で、2010年度の民間の職業紹介を通じた就職件数は11.1%増の43万人と3年ぶりに増加し、過去最高となった」と報じられました。

 規制緩和によって人材紹介事業が自由化されつつあった時代から社会に受け入れられ大きく発展を遂げるまでの間、この業に携わった者として、ここまでの劇的な変化に喜びを感じます。

 それまで転職はもっぱら友人知人の紹介や新聞雑誌を通じた求人広告に依存していました。何より転職という行為自体が特殊なものであったと言えます。それが今では転職エージェントと呼ばれる仲介事業者(人材紹介会社)が仲立ちとなって、求人企業と求職者をマッチングすることがメジャーな方法論として定着するに至りました。もはや、過去あった求人広告の市場を完全に飲み込もうとする勢いです。

 一方、転職を生業とするプレイヤーが増加の一途をたどることによって、短絡的な「浅い転職」がますます増加するのではないかと懸念せざるを得ません。もちろん、転職エージェントの増加が「浅い転職」を助長する唯一の原因とは思いません。むしろ、転職そのものを肯定する(あるいは“否定しない”)社会的な風潮こそ根本原因かもしれないのですが、それでも人材紹介事業者数とその行動量の増加が転職者の「浅さ」を加速しているのではないかと思えてならないのです。

 冒頭の報道にもあったように、これだけ景気が悪いと言われているにもかかわらず、不可思議にも人材紹介会社へのオーダーは昨年の震災以降、継続的に回復基調にあります。とりわけインターネット関連、IT関連、また製造業全般にも人材の不足感があるのです。従来から、求人数の増加は景気の先行指標という見方があります。その意味では、あるいは景気の先行きにも明るさが出てきたと言えるかもしれません。

 現時点での求人内容は「猫の手も借りたい」といった逼迫的な人手不足を背景にしていません。むしろ、ピンポイントに必要とされる“組織におけるキーパーツ”が少しずつたくさん必要とされている状態とみられます。つまり、企業にとって欲しい人材がマーケットに存在していないために求人数が高止まりし、そこに少しずつ緩めのマッチングが行われていくことでポジションが埋まっている状態です。

続きはこちら


■関連記事
・青い鳥を追い求める転職ドリーマー
・華麗なる転身のはずが、キャリア崩壊の入り口に…転職5回、管理職の道も遠のいた30代男性の末路
・3人に1人は転職したことを後悔!?なぜ人は前の職場が恋しくなってしまうのか
・転職市場復活で再びブーム到来の可能性も!それでも終身雇用を望むイマドキ若手の事情とは
・キャリア・クライシス時代の「転職の落とし穴」