マンション大規模修繕で管理会社主導の「超高額発注」が横行…「不当に高い工事費」を払わないために住民側がすべきこと

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'25年3月上旬、マンション業界に激震が走る事件が起きた。マンションの大規模修繕を巡って談合を行った疑いで、公正取引委員会が、関東エリアの大規模修繕工事会社20社以上に立ち入り検査を実施したのだ。

悪質な管理会社、設計コンサルタント、工事会社がグルになり、マンションの住人からなる管理組合を誘導。特定の工事会社に高値で発注させ、管理会社と設計コンサルタントがバックマージンを受け取る―こうしたやり口が、大規模修繕で横行していると公取委は疑った。談合の規模はあまりにも大きく、同月末、さらに4月にも追加で複数の工事会社に立ち入り検査が行われた。

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「私たちにお任せください」の罠

大規模修繕で管理会社が「濡れ手で粟」を得ていた背景には、大規模修繕そのものが住人にとって「面倒なもの」だという問題もある。

大規模修繕は、管理組合が主導するのが一般的だが、その手順は煩雑だ(左図参照)。普段は仕事や家事に追われる住人が、毎月のように集まって話し合いをし、建物診断、予算見積もり、修繕計画の策定、工事会社の選定、そして総会での承認獲得などを進めるのは、至難の業といえる。

中でも、工事会社を決める作業の負担が大きい。複数の工事会社から見積もりを取り、その中から最も適した会社を選んで、総会で承認を得なければならない。

住人たちが辟易している時に、管理会社が「私たちにお任せください」と救いの手を差しのべる。そして自分たちに有利な形で診断、予算、修繕計画を立て、ツーカーの工事会社から見積もりを取る。もちろん、その見積もりには「バックマージン」が含まれている、というわけだ。前出の須藤氏が続ける。

「通常、修繕工事の見積もりは、7社程度の工事会社に依頼をします。本来であれば、この中から最も適した業者に発注するのですが、実は管理会社や設計会社が工事会社に見積もりを仲介した段階で『チャンピオン』と呼ばれる当選者が決まっています。

チャンピオンが工事金額を決め、ほかの業者はその金額よりも割高な見積もりを出す。そうすることで、管理組合はチャンピオンの見積もりを選ぶように誘導されるわけです。チャンピオンは持ち回り制となっているので、工事会社も文句は言えない仕組みになっているのです」

1社からしか見積もりを取らないと…

こうした談合は公取委の調査によって、一時的に鳴りを潜めた。一見すると、業界全体がクリーンになりつつあるように思えるが、「実態は決してそうではない。むしろ手口が巧妙化し、管理会社がさらに悪質な立ち回りを見せるようになっています」と、「スマート修繕」執行役員の別所毅謙氏は指摘する。

「公取委が問題視したのは、裏で工事業者が結託して高い金額に価格を合わせるという談合行為です。工事金額が高いからダメ、利益を取りすぎているからダメ、というわけではありません。

この点を逆手に取り、管理会社は複数業者から相見積もりを取ること自体をやめ、なんとグループ会社の工事会社1社からしか見積もりを取らないようになりました。そしてこの1社見積もりが、べらぼうに高いのです」

狙われているのは、管理会社に任せっきりにしている管理組合だ。

「管理会社は『うちの系列に任せていただければ安心ですよ』などと言いくるめる。管理組合がのんびりしているところほど、まんまと超高額で発注してしまうのです」(別所氏)

では、どうすれば大規模修繕で大損せずにすむのか。まずは管理会社の言いなりになるのではなく、管理組合が主体となって大規模修繕を進めていくのが大前提だ。そのうえで、1社見積もりは絶対に避ける。

さらに、複数業者による相見積もりでも注意すべきことがある。

管理会社任せにしたがる住人に要注意

「相見積もりの依頼書の書式を見れば、工事会社はどの管理会社が嚙んでいる案件か一目でわかります。すると工事会社は、阿吽の呼吸でバックマージン分を上乗せしてきたりする。管理組合側が、依頼書をワードやエクセルで独自に作り直すことで、こうした不正を防ぐことができます。大切なのは、業者との窓口に管理会社などを挟まないことです」(別所氏)

大規模修繕は面倒で手続きも多い。そのうえ、工事会社とのやり取りも自分たちでやるとなると、負担は増すばかりだ。しかし、「面倒だな」と思ったそのスキを管理会社は虎視眈々と狙っている。

「面倒なことは避けたい、お任せしたい、という空気がマンション全体を支配している限り、管理組合は不当に高い工事費を払い続けることになります。これを防ぐには、まず理事会を正常化させなければならない。

また、理事会の中に、管理会社に過度に依存している人や、声の大きい人が一人でもいると、議論が一方向に引きずられてしまうこともあるので注意が必要でしょう。

さらに、理事会や修繕委員会を一人の担当者に任せきりにせず、複数の人間でチェック機能を働かせ、透明性の高い合意形成を行うことも重要です」(前出の須藤氏)

高騰するばかりの修繕積立金を喰い物にされないためには、自分たちで防衛するしかない。

週刊現代」2026年5月25日号より

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