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Nシリーズのポテンシャルを活かす

5月21日、本田技研工業(以下ホンダ)の新しい小型EV『スーパーワン』(Super-ONE)が発売された。当日行われたメディア向け発表会では、『シティターボII』と並べたディスプレイも展開されている。

【画像】先行予約は7000台超え!新小型EV『ホンダ・スーパーワン』 全72枚

発表会ではまず、同社日本統括部部長の川坂英生氏が日本市場のEV展開について説明した。


新型EV『スーパーワン』(右)はシティターボII(左)を想起させる。    篠原政明

先日発表したビジネスアップデートにおいてホンダは、当面の3年間はハイブリッドに注力すると軌道修正。EVに関しては、日本はもちろん地域ごとの進度に合わせて着実に販売を続け、将来に向けて必要な仕込みを継続していくという。

日本におけるEV販売戦略は、人々の暮らしになじんだ軽自動車の使い方と、クリーンな走りと静粛性の高いEVとの相性が良いことを鑑みて、『N-VAN e:』や『N-ONE e:』といった軽自動車からEVを展開。先日発売された『インサイト』を加えて、EVのラインナップを拡充している。

国内累計販売台数は300万台を超え、11年連続で軽自動車販売台数ナンバーワンを誇るN-BOXを筆頭とする『Nシリーズ』プラットフォームが持つポテンシャルと、発売済みの軽自動車EVのノウハウを活かし、トレッドを拡げたワイドスタンスなどが特徴となるEVがスーパーワンだ。

シティターボIIを想起させる

グランドコンセプトは『e:ダッシュブースター』。単にエコなだけではなく、日常の移動を昂ぶらせてくれるクルマを目指している。往年のホットハッチ、『シティターボII』を想起させるブリスターフェンダーなどからも、その昂ぶりがわかるというもの。

走り以外の部分でも、ボーズ・プレミアムサウンドシステムやグーグル搭載のセンターディスプレイなどが、利便性を高めている。


開発コストを抑制し、価格は339万200円に抑えた。    篠原政明

また、充電ネットワーク『ホンダチャージ』の設置を増やし、充電を特別な行為にしないことも目指している。現時点では200基ほどだが、2030年までには数千基に増やしていく予定で、充電インフラを拡充していく。

スーパーワンは、N-ONE e:のプラットフォームの活用やeアクスルの共通化などで開発コストを抑制し、価格は339万200円に抑えた。しかも国からの補助金は130万円、東京都在住ならさらに60万円の補助金が適用されるから、予算的にはかなり魅力的なものになるだろう。

4月16日の先行受注開始以来、既に7000台もの先行予約があるという。また、日本だけでなく、英国やアジア、オセアニアなどにも今後1年以内を目標に輸出が予定されている。

メインターゲットは50歳代男性

続いて、開発責任者である四輪研究開発センターの堀田英智氏が、スーパーワンの特徴や開発背景を説明した。

まず、開発の方向性はN-ONE e:をベースに、自分たちが創りたかった「ファン(FUN)なAセグメントモデル」だったという。


『ブーストバイオレットパール』と呼ばれる新色を採用。    篠原政明

メインターゲットのユーザーは50歳代男性。新しいモノ好きの先進層で、若い頃はホンダのスポーツハッチに乗っていたり、EVの性能に魅力を感じていて、EVに乗っていることを表現したい。つまり、スーパーワンを『新しいのに懐かしい』と思ってくれる層だ。

また、サブターゲットは20歳代前半の免許を取得したばかりの男性。クルマの知識は多くないけれど1980〜1990年代のモノに興味があり、『ガチより楽しい』ほうが好き。つまり、スーパーワンを『新しくエモい』と思ってくれる層となる。

親子コミュニケーションのキッカケに

スーパーワンはどちらにも響く存在であり、この両者が親子だとコミュニケーションのキッカケにもなるのでは、と堀田氏は考えている。

実際、現在予約している方の半数以上は50歳代男性で、20歳代男性は少ないものの1990年代が好きという層が多いという。


スーパーワンのメインターゲットは50歳代男性となる。    篠原政明

スーパーワンは、魅力的なスタイリングを乗車前に楽しみ、ブーストモードで出力を47kWから70kWにアップして加減速を楽しみ、拡幅シャシーやスポーツシートでコーナリングを楽しみ、そして魅力的なコクピットは降車時にまた乗りたくなる楽しみと、様々なシーンで気持ち昂ぶる愉しさの提供を目指している。

運転に没頭できるブーストモード

エクステリアではエッジを効かせたスクエアなブリスターフェンダーによるロー&ワイドなフォルムが目を引くが、ホイールなど随所にデジタル感のある幾何学的なモチーフを採用して、シャープで未来的な印象も与えている。

『ブーストバイオレットパール』と呼ばれる新色のボディカラーも特徴的だ。これは、上空に向かって高速で伸びる光の柱『ブルージェット』をモチーフにした色だという。これを含めた5色をラインナップし、ブラックルーフの2トーンも3色設定されている。


インテリアはデジタルトリプルメーターなど遊び心を随所に配した。    篠原政明

インテリアでは、高い旋回Gにも耐えられるホールド性の強いスポーツシートをはじめ、デジタルトリプルメーターなど遊び心を随所に配し、『乗るたびに心が弾むもの』を目指した。特にブルーを刺し色にアシンメトリーデザインとしたスポーツシートは、シティターボIIからインスパイアされている。

軽量低重心パッケージに1090kgの車重

そしてスーパーワン最大の魅力は、走りにある。

専用設計のワイドトレッドシャシー、薄型バッテリーによる軽量低重心パッケージ、さらに1090kgという軽量な車重が『痛快なハンドリング』をもたらすという。


発表会に登壇した、タレントの若槻千夏さん。    篠原政明

専用開発のブーストモードは、ステアリング右スポークのボタンを押せば最高出力が47kWから70kWにアップし、フィードバック最大化のため7速の仮想有段シフトモードと仮想エンジンサウンドを採用。『日常を忘れ、運転に没頭できるユニークな体験』を提供する。

発表会では、「人生初の愛車がシティターボIIだった」という安東弘樹氏がMCを務め、タレントの若槻千夏さんをゲストにまじえたトークショーも開催された。

誰もが「可愛いね」、「面白そうだね」と言うであろうスーパーワンは、日常の移動を刺激的な体験に進化させ、EVの新しい価値を提供してくれそうだ。

ホンダ・スーパーワンのスペック

全長×全幅×全高:3580×1575×1615mm
車両重量:1090kg
モーター:交流同期電動機
最高出力:70kW(95ps)
最大トルク:162Nm(16.5kg-m)
バッテリー総電力量:29.6kWh
WLTCモード航続距離:274Km
駆動方式:FWD
タイヤサイズ:185/55R15
価格:339万200円


既に7000台以上の先行予約があったスーパーワンが、EVの新しい価値を提供する。    篠原政明