経営も「筋肉質」に…前年比6倍の利益を叩き出したRIZAPグループの「次の戦略」

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実質無借金経営に突入

5月14日、RIZAPグループの26年3月期の決算が発表された。連結営業利益は前期同期比6倍、プラス92億円となる111億円に到達。また2027年3月期の連結業績予想は、18年3月期に計上した過去最高益を更新する計画だ。

これに伴い、同グループは「株主還元の3本柱」を掲げる。8期ぶりの復配(1株あたり0.67円)、26億円(1100万株)を上限とする自己株式を取得、サービス利用などに使える株主優待を行う方針だ。

「前例のないチャレンジとスピードで、株主のみなさまはハラハラしたと思う。やっとスタートラインに立てた。持続可能な経営基盤を礎に、邁進していきたい」。瀬戸健代表取締役社長は説明会でそのように語った。

グループ全体では26年3月期をもってネットキャッシュ10億円超となり、実質無借金経営を実現した。当期の「減収増益」、そして27年3月期の「過去最高益更新見込み」という決算に寄与したのはなにか。

第一に、同グループの収益の柱として成長しつつある24時間営業のコンビニジム「chocoZAP」の黒字化によるところが大きい。

2022年7月にサービスを開始した「chocoZAP」は、わずか3年半で国内1800店舗以上にスピード出店を達成し、先行投資の回収を完了、黒字化を達成した。現在、会員数は116万人を誇る。

「選択と集中を加速させる」。決算説明会で瀬戸健社長はそう強調した。低成長・低収益の事業は効率化または売却も検討。リソースを「集中」させるのは、先述したchocoZAPなどのコア事業である。

香港で見つけた「勝ちパターン」

chocoZAPは黒字化の達成とともに「第2章」へと成長フェーズを移した。「スマートな健康の社会インフラ」へと成長させることを目標に、女性専用店舗の設置やサードプレイス化などを実証中だ。

実はchocoZAPは2025年度に入ってからしばらくの期間、新規出店をストップさせていた。サービスのクオリティや収益性を見つめ直す「踊り場」の時間を設けていたという。今後は直営に加えてフランチャイズ(FC)も出店し、さらなる成長をうかがう。国内では最大650店舗を出店する計画だ。

それに加えて、同グループは1900店舗以上ある既存店の「全店リニューアル」を新たに掲げる。月額3278円で24時間通い放題というリーズナブルなプランは徹底した省人化により成り立っているが、結果的にマシンや空調の故障や掃除不足など、無人営業のネガティブな面が利用者の満足度を下げる結果につながっていた。

そこでIoTをフル活用し、会員の利用状況や空調制御、清掃環境を遠隔で管理する「AI店長」構想を掲げる。「人がいなくても快適な環境が保たれるように(弊社は)開発を行ってきた」と瀬戸社長が言うように、同グループはDXについても内製化を追求し、コスト削減につなげている。

国内だけでなく、海外展開でも大規模な投資を盛り込む。すでにchocoZAPはアジアを中心に海外に出店を進めているが、好調の香港をはじめ、台湾などアジア圏で今期最大150店舗の出店を見込む。

香港では、狭小住宅が多い環境などから、サードプレイス需要が他国に比べても高い。chocoZAPのようにジムだけでなくエステやマッサージチェアなど、生活密着型のサービスは、より付加価値があるという。同グループはオールインクルーシブのサブスクリプションを「勝ちパターン」と位置づけ、アジア圏で横展開していく戦略だ。

さらなる拡大のフェーズへ

今回の決算説明会では、主にchocoZAP事業の黒字化と今後の展望についての説明に多く時間が割かれた。だが27年3月期は「選択と集中」が大きなテーマになるとみられる。主要グループ会社の動向や、今年4月に発表された「RIZAP建設」の設立と建設業界への参入など、注目すべきポイントは多い。

説明会では「筋肉質(な経営)」というワードが何度か登場した。実体のない成長を掲げることはない、という同グループの決意のようにも映る。急拡大から一時停止を経て、さらなる投資と拡大のフェーズを迎えることになりそうだ。

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